家族信託の無料相談はどこにするのがおすすめ?メリット・デメリットを紹介
親が認知症になってしまったときに備えて、家族信託という方法で財産の管理を任せることができます。
まだ始まって間もない制度のため、世間での認知度は低めです。
そのため、この記事を見ている方のなかにも「そもそも家族信託が何なのかわからない」「とりあえず相談してみたい」と考えている方は多いのではないでしょうか。
相談する専門家によってできること・できないことがあるため、相談先は慎重に決める必要があります。
そこで、この記事では家族信託について無料で相談する方法や専門家の選び方、家族信託する際の注意点についてわかりやすく解説します。
家族信託の無料相談先4選
家族信託について無料で相談する方法は、主に次の4つです。
ベンナビ相続
おすすめはベンナビ相続を使って、相談料が無料の弁護士を探す方法です。
ベンナビ相続は家族信託や生前贈与など、相続案件を得意としている弁護士を専門に検索できるサービスです。
使い方は簡単で、自分の住んでいる地域と相談したい内容で家族信託を選びます。
あとは絞り込みの条件で初回の面談相談無料を選択するだけで、家族信託について無料で相談できる弁護士が一覧で表示されます。
オンライン面談可能や休日の相談可能など要望を細かく設定できるので、依頼したい弁護士が手間なく見つかります。
利用料はかからないので、無料で相談できる弁護士を探しているなら、まずはベンナビ相続で検索してみるとよいでしょう。
法テラス
法テラスとは国が設置した法律の相談窓口のことです。
日本全国に事務所を構えており、収入や資産など所定の条件をクリアすれば、ひとつの問題につき3回まで無料で相談できます。
また、弁護士費用を支払うことが経済的に厳しい方を対象に、弁護士費用の立て替え払いにも対応してくれます。
無料相談や立て替え払いを受けるための条件は、法テラスの公式ホームページを参考にしてください。
法テラスの無料相談は法テラスで無料相談できる内容はどこまで?利用するための条件や注意点も解説をご覧ください。
弁護士会の法律相談
各都道府県が実施している無料の相談会を活用するのもおすすめです。
弁護士会とは弁護士同士の監督・指導や一般人に向けた法教育などを目的に設置された、法人組織です。
弁護士会では弁護士に無料で相談できる相談会を開いています。
事前予約制で各都道府県によって場所や予約の枠数が異なります。
地域によってはしばらく先まで予約がいっぱいになっているケースもあるので、早めに予約しましょう。
参考:日本弁護士連合会
市役所・区役所などの自治体の無料相談窓口
地方自治体が実施している法律の相談窓口でも、無料で相談できます。事前予約制で、ひとつの問題につき最大3回まで相談可能です。
地域や日にちによっては、担当者が弁護士だったり司法書士だったりするので、専門家に強い要望がある場合は事前に確認しておくとよいでしょう。
家族信託の無料相談が可能な専門家
家族信託について相談できる専門家は、弁護士、司法書士、税理士、行政書士の4種類がいます。
それぞれ相談できる内容とできない内容があるので、特徴や強みを理解したうえで専門家を選ぶようにしましょう。
弁護士|家族信託全般について相談したい方
弁護士は家族信託に関するあらゆる業務を相談・依頼したい方におすすめです。
信託契約書の作成や不動産の登記など、あらゆる業務をワンストップで依頼できます。
また、依頼人に代わって交渉することもできるので、うまく自分の意志を伝えらる自信がない方は、弁護士に相談して不利益にならないようサポートしてもらうのがよいでしょう。
司法書士|争いに発展する可能性が低い方
司法書士の特徴は、家族信託についての一般的な相談や書類のサポートなど、非常に幅広い業務を依頼できるのが特徴です。
相続登記や成年後見などを日常的に扱っているため、専門性の高いアドバイスを受けられます。
また、弁護士に比べ費用が安めな点も魅力です。弁護士と司法書士では役割が異なる部分があるので一概に比較はできませんが、20~30万円ほど費用が安くなることもあります。
ただし、弁護士のように当事者同士の間に入って交渉することや、話し合いに参加することはできません。
そのため、争いに発展する可能性が低く、手続きのサポートをしてもらう程度でよいなら、司法書士に依頼するのがよいでしょう。
税理士|税金の相談をしたい方
家族信託は税金に関連する部分が非常に多いため、節税や財産の分割方法といった税務のアドバイスがほしい場合は、税理士に相談するとよいでしょう。
ただし、税理士は法律の専門家ではないため、有効な契約書の作成や不動産登記といった業務に関する相談はできません。
そのため、税務上の観点から家族信託をするか否かのアドバイスがほしい場合は候補に入る、といえるでしょう。
行政書士|書類作成を依頼したい方
行政書士は、法律に関する手続きや書類の作成といった業務を専門とする専門家です。
成年後見や家族信託に関わる書類の作成、必要書類の取得など、家族信託にかかわる相談だけでなく事務的な手続きをサポートしてもらうことができます。
ただし、書類の作成は可能でも法務局で登記できる訳ではありません。
また、弁護士のように代理人となって交渉することもできないので、最終的には弁護士や司法書士の力を借りる可能性が高いといえるでしょう。
家族信託は弁護士に相談・依頼するのがおすすめ
さまざまな専門家を紹介してきましたが、弁護士に相談するのが最もおすすめです。
ほかの専門家との違いを踏まえ、なぜ弁護士がおすすめなのかを解説します。
契約締結からその後のサポートまで一貫して対応できる
弁護士に依頼するメリットは、家族信託のあらゆる相談や業務の依頼ができる点です。
前述のとおり、弁護士は依頼人の代理人となってあらゆる業務を代行できます。
また、家族信託はまだできて間もない制度のため、あまり前例がありません。
そのため、相続や税金などあらゆる方面に対して深い知見をもち、常にアンテナを貼っている必要があります。
弁護士は法律の専門家でありながら、高い税務知識を有している方も多く、困ったことがあった際の相談先として最有力候補といえます。
相続時のトラブルを防ぎやすい
法的な観点でトラブルが起きないような提案ができるのも弁護士の強みです。 家族信託で起こりがちなのが遺留分の侵害です。
遺留分とは特定の法定相続人に認められている、最低限財産を相続できる取り分のことです。
家族信託によって不動産を意図的に相続財産から外すことは、遺留分の侵害でありトラブルの元になります。
このような争いが起こらないよう、弁護士や家族と相談しながら財産の託し方を考えるのがよいでしょう。
法定相続人の範囲については法定相続人の範囲|相続順位・法定相続分などを詳しく解説をご覧ください。
家族信託を弁護士に無料相談する際のポイント
家族信託を弁護士に無料で相談する際、大抵の場合は時間や回数に限りがあるため、工夫をしないと何も話が進まないまま終わってしまいます。
ここでは家族信託を無料で相談する際に気をつけてほしい3つのポイントについてしょうかいします。
質問や相談したいことの優先度を決めておく
まず大事なのは、話の優先順位をきちんとつけておくことです。
時間が限られているのでその面談ごとに「これを解決する」といったテーマを決め、それに基づいて話す順番を整理してみてください。
また、当日の相談がスムーズに進むよう家族信託を考えている住居の所在や価値のわかる資料を事前に準備しておくことも重要です。
家族信託する目的や希望を明確にしておく
相談をする際は、「なぜ家族信託をしたいのか」「家族信託をして叶えたい希望はなんなのか」をある程度明確にしておくことが重要です。
というのも成年後見や生前贈与など、もしかしたら別の方法のほうが意図にマッチしているということもあり得るからです。
また、希望や質問が具体的なほど弁護士の回答も具体的になるので、自分の希望やそうしたい意図をメモしておくとよいでしょう。
弁護士を選ぶ際のポイント
弁護士は誰に頼んでもよいという訳ではなく、一定の基準を満たした弁護士に依頼するのがおすすめです。
ここでは家族信託を相談する弁護士を探す際に注意してほしい3つのポイントについて紹介します。
家族信託や相続に関する実績が豊富か
まず確認すべきは、家族信託に関する実績の有無です。
弁護士事務所の公式ホームページを確認すれば、扱ってきた案件の実績が確認できます。
また、不動産や贈与ともやや近い分野なので、相続に関する案件が豊富かどうかもあわせてチェックしましょう。
提携している専門家がいる
不動産や税金といった幅広い知識が求められるため、各方面に提携している専門家がいるかどうかも見極めるポイントのひとつです。
相談から契約後の対応まで、より一貫してフォローしてもらうことができます。
もし公式ホームページなどに書かれていない場合は、相談した際に直接尋ねてみるとよいでしょう。
相場に比べ費用が高すぎないか
弁護士費用が高すぎないかどうかも重要です。
可能であれば複数の弁護士に見積もりを依頼し、どこにいくらくらい費用がかかりそうなのかを確認したうえで、納得できる金額を提示してきたところで契約するのがおすすめです。
弁護士に依頼する際の費用
弁護士費用は各事務所まちまちで、依頼する案件の難易度や解決までにかかる時間などさまざまな要因で決めている事務所もあるため、一概にいくらとはいい切れません。
ただし基本的には信託財産の額によって決まり、信託財産の評価額が1億円以内であれべその1%が弁護士費用としてかかるのが一般的です。
たとえば信託財産が1億円の場合、1%である100万円が弁護士費用ということになります。
家族信託の流れ
家族信託をする流れは次のとおりです。
家族と信託する内容について話し合う
まずは家族とどういう目的で・誰に・何を託すのかについてよく話し合いましょう。
ここをおろそかにしてしまうと、後々トラブルになったり本来意図していた目的とかけ離れた形で家族信託してしまう可能性があります。
弁護士に家族信託の内容について相談する
ある程度要望や目的が固まったら、弁護士に相談しましょう。
相談する時も、誰に何を贈与しようとしていて、そもそも目的は何なのかを伝えることが重要です。
その際、実現したい目的に対して家族信託という選択肢が本当に合っているのかどうかを確認することをおすすめします。
契約書を作成し契約を締結する
弁護士と正式に契約を結んだら、家族信託の契約書を作成してもらい家族信託の契約を交わします。
財産を受託者に託す
受託者へ財産を託します。家族信託によって不動産の名義を変更する場合は、信託登記といってその物件が信託によって託されたものであることがわかるようにします。
預金の場合であれば予め信託用に解説しておいた口座にお金を移し、受託者の管理が開始します。
信託による財産の管理が開始する
これ以降は委託者の意向に沿って、受託者が財産の管理をしていきます。
家族信託をする前にやるべきこと
家族信託を検討し始めたら、まずは次のふたつのことを考えてみましょう。
資産の状況や信託したい人を明確にしておく
繰り返しになりますが、まずはなぜ家族信託をしたいのか、誰に何を管理してほしいのかなどをよく考えておきましょう。
この段階で家族信託が正しいかどうかを判断する必要はなく、自分の意図していることが本当に実現できるかどうかは弁護士に相談すればいいのです。
そのためにも、家族信託をする目的や資産の状況をよく整理しておくことが重要といえます。
受託者は長期的な目線で信頼できる人を選ぶ
受託者は自分の財産を預かる重要なポジションです。
そのため、長い目線で見て本当に信頼できる方かどうかをよく考えて判断するようにしましょう。
まとめ|家族信託の無料相談先でお困りならベンナビ相続
家族信託は非常に高度な法律の知識が求められるため、あらゆる面でサポートできる弁護士に依頼するのがおすすめです。
また、家族信託はまだ始まってから10年ちょっとしか経っていない比較的新しい制度です。
そのため、あらゆる領域で深い知識をもち、常に新しい情報にアンテナを貼っているような弁護士に相談できると非常に心強いでしょう。
まずは自分がなぜ家族信託をしたいのか目的を明確にし、それが正しい方法なのかどうかを弁護士の無料相談を活用して確認するのがよいでしょう。