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飲酒運転による逮捕|運転免許への影響・刑事罰・刑事手続きの流れなどを解説

弁護士監修記事
交通事故
2023年02月14日
2024年04月22日
飲酒運転による逮捕|運転免許への影響・刑事罰・刑事手続きの流れなどを解説
この記事を監修した弁護士
阿部 由羅弁護士 (ゆら総合法律事務所)
ゆら総合法律事務所の代表弁護士。不動産・金融・中小企業向けをはじめとした契約法務を得意としている。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。

飲酒運転で逮捕されてしまった場合、運転免許が停止または取り消しになるだけでなく、刑事罰を科される可能性があります。

特に被害者を死傷させた場合には、きわめて重い刑事罰が科される可能性が高いです。

今回は飲酒運転による逮捕について、運転免許への影響・刑事罰・刑事手続きの流れなどを解説します。

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目次

飲酒運転とは|酒気帯び運転と酒酔い運転

「飲酒運転」とは、酒を飲んだ状態で運転することを意味しますが、法的には「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2つに分類されます。

酒気帯び運転とは

「酒気帯び運転」とは、呼気中のアルコール濃度が1リットル当たり0.15mg以上の状態で車両等を運転する行為の通称です。ただし、自転車などの軽車両については、酒気帯び運転の対象から除外されています。

何人も、酒気を帯びて車両等を運転することは禁止されています(道路交通法65条1項)。自転車などの軽車両についても同様です。
ただし「酒気帯び運転」という場合には、刑事処分および違反点数加算の対象となるものだけを指すのが一般的です。この意味の「酒気帯び運転」は、呼気中のアルコール濃度が1リットル当たり0.15mg以上の状態で、軽車両を除く車両を運転する行為に限定されています(道路交通法117条の2の2第1項第3号)。

酒酔い運転とは

「酒酔い運転」とは、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転する行為の通称です。

酒酔い運転は酒気帯び運転と異なり、呼気中のアルコール濃度にかかわらず、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがあれば成立します。また、自転車などの軽車両の運転についても、酒酔い運転が成立し得るのが大きな特徴です(道路交通法117条の2第1項第1号)。

飲酒運転で逮捕された場合、運転免許はどうなる?

酒気帯び運転と酒酔い運転は、いずれも刑事罰の対象とされているため、違反者は逮捕される可能性があります。さらに免許の違反点数が加算され、免許停止または免許取り消しの行政処分がおこなわれます。

【参考】
交通違反の点数一覧表|警視庁
行政処分基準点数|警視庁

酒気帯び運転|違反点数13点または25点

酒気帯び運転の違反点数は、呼気中のアルコール濃度に応じて13点または25点です。

呼気中のアルコール濃度

違反点数

1リットル当たり0.15mg以上0.25mg未満

13点

1リットル当たり0.25mg以上

25点

 

違反点数13点は、累積点数がなく行政処分前歴が0回の場合でも、90日間の免許停止の対象となります。

累積の違反点数が15点以上となり、または行政処分前歴が1回以上あれば、酒気帯び運転を摘発された時点で免許が取り消されます。

違反点数25点は、累積点数がなく行政処分前歴が0回の場合でも、2年間の免許取り消しの対象です。

酒酔い運転|違反点数35点

酒酔い運転の違反点数は35点です。

違反点数35点は、累積点数がなく行政処分前歴が0回の場合でも、3年間の免許取り消しの対象となります。累積点数や行政処分前歴によっては、取り消し期間がさらに延びることもあるのでご注意ください。

飲酒運転は必ず「赤切符」が交付される

交通違反については、警察の指示に従って反則金を納めるというイメージをお持ちの方が多いかと思いますが、これは「青切符」の場合です。

酒気帯び運転・酒酔い運転については、青切符ではなく「赤切符」が交付されます。

赤切符は反則金の納付対象ではなく、刑事手続きによって処理されるため、より深刻な状況です。

赤切符・青切符・白切符の違い

交通違反を指摘された際に警察から交付される書面には、赤切符・青切符・白切符の3種類があります。

交付される切符の種類は、違反の程度などによって異なります。

①赤切符

正式名称は「道路交通法違反事件迅速処理のための共用書式」です。酒酔い運転・酒気帯び運転をはじめとして、重大な交通違反について交付されます。

②青切符

正式名称は「交通反則告知書」です。赤切符に該当しない交通違反については、青切符が交付されるケースが大半です。
青切符の交付を受けた運転者は、交付日の翌日から起算して10日以内に反則金を納付すれば、刑事裁判を回避できます(道路交通法128条2項)。

③白切符

正式名称は「告知票」です。軽微な交通違反について交付されます。
白切符は青切符と異なり、反則金を納付する必要がなく、免許の違反点数が1点加算されるにとどまります。

赤切符は直ちに刑事手続きへ|逮捕の可能性も

酒気帯び運転・酒酔い運転によって赤切符が交付された場合、反則金の納付によって刑事裁判を回避することはできません。

検察官による正式起訴または略式起訴がおこなわれてしまいます。

特に飲酒量が多い場合や、他人を死傷させた場合などには、酒気帯び運転・酒酔い運転をした運転者が逮捕される可能性もあります。

最終的に刑事罰を受ければ、前科がついてしまい、今後の仕事や生活に影響が出るかもしれません。

飲酒運転で捕まると、きわめて高確率で刑事裁判にかけられてしまいます。

それだけ悪質な行為であることを正しく認識し、飲酒運転は厳に控えてください。

飲酒運転に科される刑事罰

飲酒運転によって検察官に起訴され、刑事裁判で有罪判決を受けた場合、罪状に応じて科される刑の重さが変わります。

酒気帯び運転の刑事罰

酒気帯び運転は、被害者がいなくても犯罪とされています。

酒気帯び運転の法定刑は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です(道路交通法117条の2の2第1項第3号)。

初犯であれば起訴猶予または罰金刑となることが多いですが、再犯の場合は懲役の実刑となることもあります。

酒酔い運転の刑事罰

酒酔い運転も酒気帯び運転と同様、被害者がいなくても犯罪に該当します。

酒酔い運転の法定刑は「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」です(道路交通法117条の2第1項第1号)。

初犯でも起訴される可能性が高く、懲役刑が科されるケースも多いです。再犯の場合は、ほぼ確実に懲役の実刑となります。

飲酒運転によって他人を死傷させた場合に成立する犯罪

飲酒運転によって他人を死傷させた場合、罪状に応じて以下の犯罪が成立します。

  1. 危険運転致死傷罪
  2. 過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪
  3. 過失運転致死傷罪

危険運転致死傷罪

アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、よって他人を死傷させた場合には「危険運転致死傷罪」が成立します(自動車運転処罰法2条1号、3条1項)。

「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」とは、正常な運転ができない可能性がある状態では足りず、現実に道路・交通の状況等に応じた運転操作をおこなうことが困難な心身の状態をいうと解されています。運転者がこのような状態にあったか否かは、以下の要素などを考慮して判断されます(最高裁平成23年10月31日判決)。

  • 事故の態様
  • 事故前の飲酒量および酩酊状況
  • 事故前の運転状況
  • 事故後の言動
  • 飲酒検知結果 など

危険運転致死傷罪の法定刑は、他人を負傷させた場合は「15年以下の懲役」、死亡させた場合は「1年以上の有期懲役」です。

特に被害者を死亡させた場合は、初犯でも長期の実刑判決となる可能性が極めて高いと考えられます。

過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪

飲酒運転をした者が、運転上必要な注意を怠ったことにより他人を死傷させた場合において、以下の①②をいずれも満たす場合は「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」が成立します(自動車運転処罰法4条)。

  1. アルコールの影響により、走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態だったこと
  2. 運転時のアルコールの影響の有無・程度の発覚を免れるために、以下のいずれかの行為をしたこと
    ・さらにアルコールまたは薬物を摂取する行為
    ・その場を離れて身体に保有するアルコールの濃度を減少させる行為
    ・その他、アルコールの影響の有無または程度が発覚することを免れるべき行為

過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪の法定刑は「12年以下の懲役」です。危険運転致死傷罪に準じて重い法定刑が設定されており、初犯でも実刑判決が十分あり得ると考えられます。

過失運転致死傷罪

危険運転致死傷罪や過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪に該当しない場合でも、飲酒運転により他人を死傷させた場合、自動車の運転上必要な注意を怠ったものとして「過失運転致死傷罪」が成立します(自動車運転処罰法5条)。

過失運転致死傷罪の法定刑は「7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」です。

特に飲酒運転が認められる場合、過失運転致死傷罪に当たるケースの中でも悪質と判断されやすく、実刑判決を含む懲役刑が科される可能性が高いと考えられます。

飲酒運転で逮捕された場合の刑事手続きの流れ

飲酒運転で逮捕された場合、その後の刑事手続きは以下の流れで進行します。

  1. 逮捕~検察官による勾留請求|最長72時間
  2. 起訴前勾留~起訴|最長20日間、保釈なし
  3. 略式手続きによる罰金・科料
  4. 起訴後勾留|2ヵ月間、1ヵ月毎に更新、保釈あり
  5. 公判手続き|通常は2・3回、死傷者がいれば長引くことも
  6. 判決・上訴
  7. 判決確定|実刑、または執行猶予、または無罪

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逮捕~検察官による勾留請求|最長72時間

飲酒運転で逮捕された場合、逮捕による身柄拘束は最長で72時間続きます(刑事訴訟法205条2項)。その間、警察官および検察官による取調べがおこなわれます。

検察官は、被疑者による罪証隠滅または逃亡のおそれがあると判断した場合には、裁判官に対して勾留請求をおこないます。

勾留請求を受けた裁判官は、罪証隠滅および逃亡のおそれの有無を検討した上で、勾留の可否を判断します。

起訴前勾留~起訴|最長20日間、保釈なし

裁判官により勾留状が発せられた場合、逮捕から起訴前勾留へと移行します。

起訴前勾留の期間は、当初は最長10日間ですが、さらに10日間の延長が認められています(刑事訴訟法208条)。

したがって、起訴前勾留の期間は最長20日間であり、逮捕と通算すると最長23日間です。

起訴前勾留の期間中は、起訴後勾留とは異なり保釈が認められません。

警察・検察はこの期間に捜査を尽くし、検察官が起訴・不起訴の判断をおこないます。

嫌疑がないもしくは不十分の場合、または起訴することが適当でないと判断した場合、検察官は被疑者を不起訴処分とします。この場合、身柄が解放されて刑事手続きは終了です。

検察官が被疑者を起訴する場合、「略式起訴」と「正式起訴」のふた通りに手続きが分かれます。

略式手続きによる罰金・科料

100万円以下の罰金または科料に限り、簡易裁判所が略式命令によって刑を科すことが認められています(刑事訴訟法461条)。

検察官が簡易裁判所の略式命令を求めることを、一般に「略式起訴」と呼びます。

検察官は略式起訴をおこなうに当たり、被疑者に対して略式手続を理解させるために必要な事項を説明し、正式裁判を受けられる旨を告知して、略式手続によることに異議がないかどうかを確認しなければなりません( 刑事訴訟法461条の2第1項)。

被疑者から異議がない旨の書面が提出された場合には、簡易裁判所によって略式命令がおこなわれます。

検察官の求刑どおりの刑が言い渡されるケースが多いです。

略式命令に従って罰金または科料を納付すれば、身柄が解放されて刑事手続きは終了となります。

起訴後勾留|2ヵ月間、1ヵ月毎に更新、保釈あり

検察官によって被疑者が正式起訴された場合は、自動的に起訴前勾留から起訴後勾留へと移行します。

起訴後勾留の期間は当初2ヵ月間で、1ヵ月毎の更新が認められています(刑事訴訟法60条2項)。

起訴後勾留の期間中は、被告人・弁護人等の請求により保釈が認められることがあります(刑事訴訟法89条、90条)。
保釈が認められた場合、被告人は保釈保証金を裁判所に納付すれば、身柄が一時的に解放されます。

なお、裁判所の許可があれば、保釈保証金を被告人以外の人が納めることも可能です(刑事訴訟法94条2項)。

起訴前勾留の期間は、公判手続きに向けた準備期間でもあります。

被告人は弁護人と相談しながら、公判手続きに臨む際の方針を決め、必要な準備を整えます。

公判手続き|通常は2・3回、死傷者がいれば長引くことも

被告人の有罪・無罪および量刑は、裁判所の公開法廷でおこなわれる公判手続きで審理されます。

公判手続きでは、検察官が被告人の犯罪事実を立証し、求刑をおこないます。

被告人は、罪を認める場合は情状酌量を求め、無罪を主張する場合は検察官立証に対する反論をおこないます。

被害者がいない飲酒運転の公判手続きは、2回または3回程度で終了するのが一般的です。

これに対して被害者がいる場合、被害者やその家族などの証人尋問がおこなわれるため、公判手続きが長引く可能性があります。

判決

裁判所は、検察官がすべての犯罪要件を立証できたと判断した場合に限り、被告人に対して有罪判決を言い渡します。

立証されていない犯罪要件が一つでもあると判断した場合は、無罪判決を言い渡します。

有罪判決には、直ちに刑を科す「実刑判決」と、一定期間刑を猶予する「執行猶予付判決」の2種類があります。

執行猶予付判決は、刑の全部の執行を猶予する「全部猶予」と、一部のみの執行を猶予する「一部猶予」に分かれます。

上訴・判決確定

判決に納得できない場合は、高等裁判所に対して控訴をすることができます。控訴期間は、判決が言い渡された日の翌日から起算して14日間です(刑事訴訟法373条)。

控訴審判決に納得できない場合は、最高裁判所に対する上告も認められています。上告期間は、控訴判決が言い渡された日の翌日から起算して14日間です(刑事訴訟法414条)。

控訴・上告期間に適法な控訴・上告がおこなわれなかった場合、または上告審判決が言い渡されてから原則10日間(刑事訴訟法418条)が経過した場合には、判決が確定します。

実刑判決の場合、判決確定後に刑が執行されます。

飲酒運転の量刑を左右する事情

飲酒運転に関する罪で刑事裁判にかけられた場合、被告人の量刑は以下の事情によって左右されます。

  1. 死傷者の有無、人数、傷害の程度
  2. 飲酒量
  3. 速度超過など、他の交通違反の有無
  4. 飲酒運転の常習性
  5. 被害者との示談状況
  6. 反省の態度
  7. 前科の有無

死傷者の有無、人数、傷害の程度

飲酒運転によって被害者を死傷させた場合、道路交通法違反の酒気帯び運転や酒酔い運転に加えて、さらに重い自動車運転処罰法違反の罪が成立します。

特に被害者が死亡した場合は、初犯でも実刑判決を受ける可能性が高くなります。

傷害にとどまる場合でも、負傷者の人数が多い場合や被害者に後遺症が残った場合などには、重い刑が科される可能性が高いといえるでしょう。

飲酒量

飲酒量が多ければ多いほど、飲酒運転の悪質性が高いと判断され、重い刑を科される可能性が高くなります。

飲酒量は、主に呼気中のアルコール濃度から判断されます。

酒気帯び運転の基準値である「1リットル当たり0.15mg」を大幅に超える場合は、初犯でも起訴され、有罪判決を受ける可能性が高いでしょう。

また、多量の飲酒によって正常な運転が困難な状態に陥り、事故を起こして被害者を死傷させた場合は「危険運転致死傷罪」が成立します。

危険運転致死傷罪はきわめて重罪であり、初犯でも実刑判決を受ける可能性が高いのでご注意ください。

速度超過など、他の交通違反の有無

飲酒運転のほか、それ以外の交通違反を同時に犯した場合には、悪質性が高いと判断されて重い刑が科される傾向にあります。

たとえば大幅な速度超過や信号無視などを犯した場合、きわめて危険な運転をしていたものとして、厳しく処罰される可能性が高いでしょう。

また、重大な交通違反を犯していた事実は、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態に陥っていたことの証左と評価されることがあります。

この場合、危険運転致死傷罪の成立が認定され、きわめて重い刑が科される可能性があるので要注意です。

飲酒運転の常習性

常習的に飲酒運転をしていた場合、規範意識に著しく欠けるものと判断され、通常よりも刑が加重される可能性があります。

特に、過去に酒気帯び運転または酒酔い運転で免許停止・免許取り消しの処分を受けている場合は、飲酒運転の常習性が認定される可能性が高いです。

被害者との示談状況

飲酒運転によって死傷させた被害者やその遺族との間で示談が成立した場合、被告人にとって有利な情状となります。

適切な被害弁償がおこなわれたこと、および被害感情が一定程度緩和されたことによって、処罰の必要性が低下するためです。

飲酒運転によって被害者を死傷させたケースで、実刑判決を含む厳しい刑事処分を避けるには、被害者側と誠実に交渉して示談を目指すことが重要になります。

一般的には、逮捕・勾留により身柄拘束されているか否かにかかわらず、弁護士が被疑者・被告人の代理人として示談交渉をおこなうことが多いです。

反省の態度

被告人に真摯な反省の態度が見られる場合、被告人にとって良い情状として考慮され、刑が軽くなる可能性があります。

反省の態度を示す方法としては、裁判所に反省文を提出することや、更正に向けた取り組みをおこなうことなどが考えられます。

更正に向けた取り組みの例としては、アルコール依存に関する更生プログラムの受講や、社会奉仕活動への参加などが挙げられます。

前科の有無

被告人に前科がある場合は、犯罪傾向が強いものとして、重罰を科すべきと判断される可能性が高くなります。
反対に前科がなく初犯の場合は、今後の更生可能性に期待して、執行猶予付判決や罰金刑などの軽い刑が科されることが多いです。

ただし、被害者を死亡させたなど犯罪結果がきわめて重大なケースでは、初犯であっても実刑となる可能性があるのでご注意ください。

飲酒運転で逮捕された場合に弁護士ができること

もしご家族が飲酒運転で逮捕されてしまった場合は、速やかに弁護士へ相談することをおすすめします。

飲酒運転で逮捕された被疑者やその家族のために、弁護士は以下のようなサポートをおこなっています。

  1. 取調べに関するアドバイス
  2. 早期の身柄解放に向けた弁護活動
  3. 被害者との示談交渉
  4. 公判手続きの準備
  5. 家族との窓口

取調べに関するアドバイス

飲酒運転により逮捕されると、警察官や検察官による取調べがおこなわれます。

取調べで話したことは、刑事裁判における証拠として用いられることがあるので、話す内容は慎重に検討しなければなりません。

弁護士に相談すれば、取調べに臨む際の心構えや注意点などについてアドバイスを受けられます。

弁護士のアドバイスを踏まえて対応すれば、不用意な発言をしてしまい、刑事裁判において不利益に取り扱われる可能性が低くなります。

早期の身柄解放に向けた弁護活動

飲酒運転で逮捕されてしまった場合、第一の目標となるのが、一刻も早い身柄の解放です。

弁護士は、被疑者・被告人の身柄を早期に解放するため、以下のような活動をおこないます。弁護士の尽力により、被疑者・被告人の身柄が早期に解放されるケースは非常に多いです。

(起訴前)勾留処分に対する準抗告

裁判官による勾留処分について、裁判所に対する準抗告をおこなって取り消しを求めます(刑事訴訟法429条1項2号)。

不起訴に向けた弁護活動

検察官に対して、被疑者が十分に反省していて更正の可能性があることを訴え、不起訴処分(起訴猶予)処分を求めます。

(起訴後)勾留処分に対する抗告

裁判所による勾留決定について、上級裁判所に対する抗告をおこなって取り消しを求めます(刑事訴訟法419条)。

保釈請求

起訴後勾留中の被告人につき、裁判所に対して保釈請求をおこない、身柄の一時解放を求めます(刑事訴訟法89条、90条)。

被害者との示談交渉

飲酒運転により被害者を死傷させた場合、被害者との示談が成立するかどうかが、刑事裁判における量刑を左右する要素となります。

しかし、逮捕・勾留によって身柄を拘束されている状態では、被害者との示談交渉をおこなうことができません。

弁護士は、被疑者・被告人の代理人として、被害者との連絡や示談交渉を代行します。

被害者が加害者に対して強い拒否反応を示している場合でも、弁護士を通じて連絡することで、示談交渉を受け入れてもらえる場合があります。

示談交渉についての詳細は交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するべき6つの理由|交渉の流れも解説をご覧ください。

公判手続きの準備

検察官によって起訴された場合、公判手続きによって有罪・無罪と量刑が決定されます。

被告人は保釈が認められない限り、身柄拘束された状態で公判手続きの準備を整えなければなりません。

また、公判手続きの流れやルールを把握していないと、適切に準備することは難しいでしょう。

弁護士に相談すれば、公判手続きに臨む際の方針についてアドバイスを受けられます。

裁判所に提出する書面や証拠についても、弁護士が代わりに作成するか、または準備をサポートしてもらえます。

家族との窓口

逮捕・勾留によって身柄を拘束された状態では、家族とも自由にやり取りすることができません。

面会時間の制限がなされる場合や、接見禁止処分によって面会が不可能となる場合もあります。

弁護士は、被疑者・被告人と家族の窓口としての役割も果たしています。弁護士はいつでも被疑者・被告人と面会(接見)できるため、その立場を活かして、本人と家族の密なコミュニケーションをサポートすることが可能です。

まとめ

飲酒運転で逮捕された場合、罪状によっては重い刑罰が科される可能性があります。一刻も早い身柄の解放や、重い刑罰の回避を目指すためには、弁護士のサポートを受けましょう。

また無料相談は刑事事件について無料で電話相談できる弁護士の探し方|無料相談するメリットも解説をご覧ください。

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編集部
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