労働問題の弁護士費用はどれくらい?相場や安く抑える方法を解説
労働問題の解決を弁護士に頼みたいと思っても、気になるのは費用です。 一般的に弁護士費用というと高額なイメージがあり、弁護士に相談するのはちゅうちょしてしまうという方も少なくないでしょう。
労働問題の解決にかかる弁護士費用は事案によって大きく開きがあるため、一概にいくらとはいえません。 しかし、少なくとも30万~50万円程度はかかるでしょう。決して安いものではありませんが、労働に関する問題は弁護士に依頼するのが賢明です。
弁護士に依頼すれば、法律や過去の裁判例を参考に正しい慰謝料を請求してもらえるからです。 結果的に自分で解決するよりも高額な慰謝料を獲得できるケースも少なくありません。
この記事では、労働問題の解決にかかる弁護士費用について解説するほか、弁護士に依頼した場合の解決までの流れや弁護士に依頼すべき理由について解説します。
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労働問題の解決にかかる弁護士費用とは
弁護士に依頼しようと思っても、弁護士費用が心配だという方も多いでしょう。
労働問題の解決を弁護士に依頼した場合にかかる弁護士費用について解説します。
労働問題の解決にかかる弁護士費用の相場
労働問題の解決にどれくらいの弁護士費用がかかるかは、一概にはいえません。 弁護士に支払う着手金や報酬金は、依頼者が得られる経済的利益に応じて決まるからです。
また、一口に「労働問題」といっても未払い賃金の請求や不当解雇、パワハラやセクハラなどさまざまな問題がありますし、会社側に請求する金額もケースに応じて大きく変わります。 そのため、相場がいくらであるかは一概にはいえないのです。
労働問題の解決にかかる弁護士費用の内訳
弁護士費用とは以下のような内訳からなります。
相談料
その名のとおり、弁護士に法律相談をした際にかかるものです。 相談料の相場は30分あたり5,000円程度でしょう。
ただし初回などに限定し、相談料がかからない費用体系の事務所も多く存在します。 なお、ほとんどの場合、その場で弁護士に委任すればかかりません。
また、初回の相談料は無料としている事務所も多くあるので、弁護士を比較、検討するのに上手く活用するとよいでしょう。
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着手金
弁護士に依頼した際にかかる費用です。 事件が希望どおりに解決してもしなくても返金されることはありません。 事件の段階が変わるごとにかかり、交渉から裁判や審判に移行した場合は、もう一度請求されることになります。
交渉時の着手金の相場は10万~50万円ほどです。ただしこれは事件の内容や性質によります。 一方、裁判になった場合は以下の「(旧)日本弁護士連合会弁護士報酬基準」に従って計算する事務所が多いでしょう。
また、中には完全成功報酬型で着手金を請求しない事務所もあります。
【(旧)日本弁護士連合会弁護士報酬基準 訴訟事件(手形・小切手訴訟事件を除く)・非訟事件などの着手金】
経済的利益の額 |
着手金額 |
300万円以下 |
経済的利益の額の8% |
300万円を超え3,000万円以下 |
経済的利益の額の5%+9万円 |
3,000万円を超え3億円以下 |
経済的利益の額の3%+69万円 |
3億円を超える |
経済的利益の額の2%+369万円 |
「経済的利益」とは弁護士への依頼によって得られる見込みの利益のことです。 たとえば未払い給与として200万円を請求するなら、経済的利益は200万円になります。
この場合、上の表にしたがうと、着手金は200万円×8%=16万円となります。
報酬金
事件が解決した際に支払う費用です。 以下の「(旧)日本弁護士連合会弁護士報酬基準」に準じて算出する事務所が多いでしょう。 また、交渉に失敗したり、敗訴したりするなどして、依頼者の経済的利益が得られなければ報酬は発生しません。
【(旧)日本弁護士連合会弁護士報酬基準訴訟事件 (手形・小切手訴訟事件を除く)・非訟事件などの報酬金】
経済的利益の額 |
報酬金額 |
300万円以下 |
経済的利益の額の16% |
300万円を超え3,000万円以下 |
経済的利益の額の10%+18万円 |
3,000万円を超え3億円以下 |
経済的利益の額の6%+138万円 |
3億円を超える |
経済的利益の額の4%+738万円 |
経済的利益とは最終的に会社から得られた金額のことです。 たとえば、セクハラの慰謝料として100万円の支払いが認められたとすると、報酬金は100万円×16%=16万円となります。
実費
郵送代や交通費など、弁護士が事件の解決に実際にかかった費用です。 事件終了後に報酬と併せて請求されることが多いでしょう。
日当
事件解決のために弁護士が遠方へ出張したり、裁判所に出頭したりした分について請求されるお金です。 事務所によっては請求しないところもあります。
労働問題の種類と弁護士費用の目安
労働問題にはさまざまなものがあり、その種類によって弁護士費用を定めている事務所もあります。 事件ごとの弁護士費用の目安を紹介します。
残業代請求
残業代請求にかかる費用は次のとおりです。
費用の目安 |
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着手金 |
0~30万円程度 |
報酬金 |
経済的利益の額の20~30%程度 |
事務所の中には着手金が無料のところもあります。
一見すると、お得なように感じられるかもしれませんが、着手金が無料である分、報酬金を高く設定している場合もあります。 最終的にほかの事務所と同じくらいの金額になることも多いので、注意が必要です。
残業代請求の相談窓口は残業代請求の相談窓口|無料相談できる窓口や弁護士に相談するメリットを解説をご覧ください。
不当解雇・退職勧奨(勧告)
不当解雇や退職勧奨(勧告)の場合にかかる費用は次のとおりです。
費用の目安 |
|
着手金 |
0~30万円程度 |
報酬金 |
経済的利益の額の15~30%程度 |
労働災害
労働災害の場合にかかる費用は以下のとおりです。
費用の目安 |
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着手金 |
5万~30万円程度 |
報酬金 |
経済的利益の額の15~30%程度 |
また、労災申請が認められ補償金の給付を受けられれば、報酬金はさらに加算されます。 加算される報酬金の相場は50万円程度です。
パワハラやセクハラなどのハラスメント
パワハラやセクハラなどで慰謝料を請求する場合の弁護士費用の目安は下記のとおりです。
費用の目安 |
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着手金 |
10万~30万円程度 |
報酬金 |
経済的利益の額の15~30%程度 |
またパワハラ等による相談はパワハラは労働局に相談できる?労働局の活用方法やその他の解決方法も紹介をご覧ください。
労働問題を弁護士に依頼した場合の解決の流れ
労働問題の解決を弁護士に依頼すると、一般的に次のような流れで進められます。
まずは会社側と交渉
弁護士に依頼したからといって、最初から裁判手続きをおこなうわけではありません。 まずは、弁護士が依頼者に代わって会社と話し合い、解決の道を模索します。
交渉で話がまとまれば、会社と合意書を交わし、事件は終了となるでしょう。
話がまとまらなければ裁判所手続き
直接話し合いをしてもまとまらなければ、裁判手続きによる解決を試みることになります。 労働事件で利用する裁判手続きには、訴訟や審判、仮処分などがあり、どの手続きを利用するかは事件の内容によって異なります。
また、事件解決までにかかる時間も手続きによります。 労働審判であれば2~3か月で終了しますが、労働訴訟の場合は1年以上かかるケースも多いでしょう。
長い場合は数年を要することもあります。
交渉が決裂し裁判所を利用すれば再度着手金が必要に
交渉の段階から弁護士に依頼し、交渉が決裂して裁判手続きに移行すれば、再度着手金を請求されます。
そのため、すぐにまとまったお金が用意できない場合は、着手金を無料としている事務所への依頼を検討するのもよいでしょう。 また、弁護士に相談すれば、事件終了後に報酬金と併せて請求してもらえることもあります。
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弁護士費用を安く抑えるには
弁護士費用は決して安いものではありません。 少しでも費用を抑えるためにできることをご紹介します。
早い段階で弁護士に依頼する
弁護士費用が最も安く済むのは、交渉だけで問題が解決した場合です。 交渉段階で解決するためには、弁護士への依頼はできるだけ早くおこなうのがよいでしょう。
自分で交渉して問題をこじれさせてしまい、裁判になってしまっては大変です。 裁判手続き分の着手金も支払わねばならず、弁護士費用が多くかかってしまうでしょう。
完全成功報酬制を採用している弁護士を選ぶ
完全成功報酬制を採用し、着手金無料としている弁護士なら、手元にお金がなくても依頼可能です。 費用の請求は事件解決後となるので、会社から得られたお金から支払えます。
さらに、万が一上手くいかずに経済的利益を得られなければ、一切の費用を支払う必要がありません。 無駄となった費用を支払わずに済むため、損はしないでしょう。
ただし、完全成功報酬制を採用している法律事務所は、着手金を請求する事務所よりも報酬金が高くなる場合が多くあります。 結局損をしてしまう可能性もあるので、見積もりを取得のうえ、メリットとデメリットをよく検討してから依頼しましょう。
労働問題に精通した弁護士に依頼する
会社側からより多くの支払いを受けられれば、必然的にかかる費用は抑えられます。 そのためにもできるだけ労働問題の解決実績が豊富な弁護士を選んで依頼するのがよいでしょう。
ホームページを調べたり、弁護士検索サイトで探したりするのがおすすめです。
弁護士費用保険を利用する
弁護士費用保険に加入しているなら、ぜひ利用しましょう。 弁護士費用の一部、または全額を補償してもらえます。
労働問題は、保険期間中であれば適用を受けられる可能性が高いので、保険会社に問い合わせてみてください。
法テラスを利用する
弁護士に相談したくても経済的に難しい場合、法テラスの利用を検討するのもよいでしょう。 法テラスでは、一定の資力基準や収入要件を満たせば民事法律扶助制度が利用できます。
弁護士費用を立て替えてもらえるため、一般的な弁護士費用よりもかなり安くすむでしょう。
労働問題の解決は弁護士に依頼すべき!その理由とは
労働トラブルに巻き込まれたら、以下の理由から自分で解決するよりも弁護士に依頼することをおすすめします。
自分で交渉をおこなうと感情的に対立しかねない
労働トラブルでは会社の担当者と直接話をしても、双方が感情的になりやすいものです。 お互いに不満が次から次へと噴出するなどして、話がまとまらないことも少なくありません。
お互いが当事者であるがゆえに冷静に話し合うのが難しいケースも多いのです。 弁護士に依頼すれば、第三者であるために感情的になることもなく、粛々と話を進めてくれます。
感情ではなく法律に則って進めてくれるので、早々に決着がつくことも珍しくありません。
正しい金額を請求してもらえるので損をしない
悪質な会社は自社の利益を多く確保するために、たとえ支払うべきお金であっても、その正当性を認めず拒むことがあります。 特に、退職金については法律で義務付けられているわけではありません。
就業規則で規定されているなら支払わなければなりませんが、会社に丸め込まれてしまうケースも少なくないでしょう。 また、残業代請求では、タイムカードなどの証拠を隠ぺいするなどして会社が認めないケースもあります。
弁護士に依頼すれば、会社が支払うべき金額をきちんと支払うように交渉してもらえます。 法律に基づいて正しく主張し、必要な資料があれば提示を求めるので、正当な金額を受け取れる可能性が高まるでしょう。
自分では思いつかなかったお金も請求してもらえる
弁護士に依頼すれば、退職金や残業代、未払い賃金などのほかに遅延損害金など元金以外の請求もしてもらえます。
遅延損害金は、在職中の残業代については、 民法第404条に従い年3%の法定利率、退職後は 賃金の支払の確保等に関する法律第6条に基づいて年14.6%の法定利率で計算した金額です。
ほかにも、裁判を起こす場合には付加金といって会社に対する罰金も請求してもらえたり、会社の営業不振などによる整理解雇の場合は退職金を上乗せして請求してもらえたりするケースがあります。
会社側の態度が変わることもある
本人が会社に労働問題の解決を訴えても、法律知識がないからと、いい加減な対応をされたり、まるで取り合ってもらえなかったりするケースも少なくありません。 しかし、そのような会社も、弁護士が出てくると途端に態度を変えることがあります。
弁護士が相手ではいい加減な対応やごまかしは通用しませんし、あまり頑なに応じずにいて裁判を起こされては大変だからです。 会社が悪質で、まるで取り合ってもらえないようなら弁護士に依頼することをおすすめします。 弁護士に依頼すれば、迅速に適切な結果に導いてもらえるでしょう。
労働問題の解決を弁護士に依頼する場合のFAQ
弁護士に依頼したいけれど、まだ疑問が残るために二の足を踏んでいるという方もいるかもしれません。 ここでは、労働問題の解決を弁護士に依頼するにあたり、よくある質問とその答えをご紹介します。
社労士と弁護士ではどちらに相談するのがよいでしょうか?
解決策の提示だけでなく、会社との交渉や裁判手続きなども依頼したいなら弁護士に相談すべきでしょう。逆に言うと、これらの手続は弁護士以外が扱うことができません。
社労士も弁護士もどちらも労働問題に関する法律の専門家ですが、両者の大きな違いは代理権の有無です。 社労士には労働局でのあっせん手続きを除き、代理権がありません。 自分自身で行動して解決する必要があります。
一方、弁護士に依頼すれば解決まで全て任せられます。 会社との交渉もおこなってもらえるほか、訴訟や労働審判、仮処分といった裁判手続きも一任できます。 法律に則った正しい方法での解決が期待できるでしょう。
労働問題が得意な弁護士に依頼したいのですが、どうやって探せばよいでしょう?
弁護士を探す方法としては下記のような方法が挙げられます。
- 知人に紹介してもらう
- 弁護士会に紹介してもらう
- インターネットで探す
知人に紹介してもらう
弁護士の知り合いがいたり、弁護士に依頼したことがあったりする方が身近にいるなら、紹介してもらうのもひとつの方法です。 自分で探す必要がないうえ、知人をとおしてその人柄もわかるので安心して依頼できるでしょう。
ただし、紹介を受ける前に、その弁護士が労働問題に精通しているかどうかは確認すべきです。 知人を通して尋ねたり、ホームページで実績を確認してみたりした方がよいでしょう。
弁護士会に紹介してもらう
周りに弁護士を紹介してくれるような知人がないなら、弁護士会を利用するのもよいでしょう。 弁護士紹介制度を利用するか、有料の法律相談を利用し、担当してくれた弁護士に依頼する方法があります。
ただし、法律相談を利用する場合は労働問題を得意とする弁護士が対応してくれるとは限らないので注意しましょう。
インターネットで探す
自分で弁護士を探すなら、インターネットを利用すれば、労働問題の解決実績が豊富な弁護士を探しやすいでしょう。 最近では、ホームページのコンテンツが充実している法律事務所も多く、その情報を見て判断することができます。
労働問題についてのコラムが多く掲載されている事務所なら、労働問題に注力していると考えてよいでしょう。
また、弁護士検索サイトを利用するのもおすすめです。 労働問題を多く取り扱う、全国の弁護士が掲載されています。 都道府県や相談内容から探せるので、近くで頼りになる弁護士を見つけやすいでしょう。
労働審判など裁判所での手続きは自分でおこなえますか?
裁判手続きは必ず弁護士に依頼しなければならないという決まりはありません。 自分でおこなってもかまいませんが、希望どおりの結果を得たければ弁護士に依頼することをおすすめします。
特に労働審判は裁判期日が最大でも3回しかありません。 通常の裁判以上に論理的で的確な主張をおこない、それを裏付ける有効な証拠を準備して臨む必要があります。 有利な結果を勝ち取るためには、専門家である弁護士に依頼するのが望ましいといえるでしょう。
弁護士に依頼しても費用倒れになることはあるでしょうか?
弁護士に依頼しても希望どおりの結果を得られないケースもあります。 十分な証拠がなかったり、法的に争いようがなかったりする場合は、残念ながら弁護士でも手の打ちようがありません。 そのような場合、相談に訪れた際に弁護士が依頼されても難しい旨を伝えてくれるはずです。 費用倒れにならないよう配慮してもらえるでしょう。
まとめ
労働問題の解決を弁護士に依頼した場合にかかる費用は、内容によって大きく異なるため、一概にどれくらいともいえないものです。 しかし、最低でも30万~50万円は必要となり、決して安い金額とはいえません。
それでも労働問題の解決は弁護士に依頼する方がよいでしょう。 弁護士に依頼すれば、会社との交渉も全ておこなってもらえるため、会社はいい加減な対応をできなくなります。 法に照らして正しい金額を請求してもらえるため、損をすることもありません。
場合によっては、遅延損害金や付加金なども請求してもらえ、自分で対処するよりも多くの金額を受け取れることもあるでしょう。 労働問題で悩んでいるなら、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。
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