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公正証書遺言の効力とは?無効になる確率や従わない場合の手続きも解説

弁護士監修記事
遺産相続
2026年05月11日
公正証書遺言の効力とは?無効になる確率や従わない場合の手続きも解説
この記事を監修した弁護士
長谷川 達紀・日吉 加奈恵弁護士 (新静岡駅前法律事務所)
依頼者様のお気持ちに寄り添い、最も良い選択ができるよう、一緒に考え、解決策を提案させていただきます。
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  • 「公正証書遺言には、ほかの遺言形式にない特別な効力があるの?」
  • 「公正証書遺言の内容に不安・不満があっても、従わなくてはいけないの?」

自分で作成する自筆証書遺言に比べ、公正証書遺言は信頼性が高く無効になりにくいと言われています。

そのため遺言内容を確実に実現したいと考え、公正証書遺言をえらぶことを検討している方は多いでしょう。

一方で公正証書遺言に不満があるものの、「反対しても通らないだろう」と諦めてしまう方も少なくありません。

本記事では公正証書遺言の効力やメリット・デメリット、公正証書遺言が無効になる確率やケース、公正証書遺言の効力が無効となる流れについて解説しています。

被相続人の周囲にいる方にとって、公正証書遺言の内容が人生に重大な影響を及ぼす可能性があることはいうまでもありません。

本記事を読めば公正証書遺言の効力を正しく把握し、遺産分割で自分の希望を実現するためにはどうすればよいかがわかります。

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目次

公正証書遺言に特別な効力はある?

公正証書遺言はほかの遺言形式よりも優れていると思われがちですが、実際のところはどうなのでしょうか。

以下、公正証書遺言の効力について見ていきましょう。

公正証書遺言の効力自体はほかの遺言形式とかわらない

結論からいうと、公正証書遺言はほかの遺言形式と比べて特別な効力があるわけではありません。

民法が定める方式と要件をクリアしていれば、どの形式の遺言書でも有効な遺言として同じ効力をもちます。

たとえば自筆証書遺言でも、きちんとルールを守って作成したものであれば遺言者の想いを実現できます。

しかし公正証書遺言でも、遺言者に遺言能力がなかったり要件に合わない証人が関与していたりすれば無効になります。

ほかの形式と同じ公正証書遺言の効力とは?

公正証書遺言をはじめとして遺言書には、主に以下の8つの効力があります。

  1. 自分の財産を誰にどの程度相続・遺贈するかを指定できる
  2. 遺産分割の方法(分け方・分割禁止期間など)を指定できる
  3. 特定の相続人の相続権を奪う「相続人の廃除」や、その取消しができる
  4. 生前に多く援助した者について「特別受益の持ち戻し」を免除できる
  5. 婚外子を認知し、相続権を与えられる
  6. 未成年の子どもの後見人・後見監督人を指定できる
  7. 遺言内容を実行する「遺言執行者」を決められる
  8. 仏壇・お墓・祭具を承継する「祭祀(さいし)承継者」を指定できる

上記は、遺言形式に関係なく法的に認められる「法定遺言事項」です。

法定遺言事項とは、遺言書に記載した内容のうち、法的拘束力をもつものを指します。

相続・身分・遺産の処分に関する事項が該当し、たとえば葬儀の方法や事業承継者の指名といった内容を記載しても法的拘束力は生じません。

ただし法定遺言事項以外の内容でも、「付言事項」として遺言書に記載し、遺言者の想いを相続人に伝えることは可能です。

効力はかわらないが公正証書遺言はほかの形式に比べメリットが多い

特別な効力がなくても、公正証書遺言にはほかの形式にはない実務上のメリットがあります。

公正証書遺言は、裁判官や検察官、弁護士などの経験をもつ公証人が作成し、公証役場で保管される公文書です。

それに対し、自筆証書遺言や秘密証書遺言は遺言者自身が作成する私文書であり、形式不備や紛失・偽造のリスクがつきまといます。

このような違いから、公正証書遺言にはほかの形式にはないメリットがあるのです。

次章では、公正証書遺言の具体的なメリットを詳しく見ていきましょう。

公正証書遺言をえらぶメリット

公文書である公正証書遺言には、ほかの遺言形式にはないメリットが多いです。

以下、具体的にどのようなメリットがあるか見ていきましょう。

信頼性が高く要件の不備によって無効になる不安がない

自筆証書遺言の場合、押印の仕方や訂正方法など細かい要件の不備で無効になってしまうことがあります。

一方で法律の専門家である公証人が作成する公正証書遺言であれば、信頼性が高く要件の不備で無効になるといった不安はありません。

家庭裁判所での検認手続きが必要ない

公正証書遺言はほかの遺言方式とは異なり、家庭裁判所での検認手続きが不要です。

自筆証書遺言でも、法務局の保管制度を利用しているなら検認は必要ありません。

しかし、秘密証書遺言と法務局以外で保管されていた自筆証書遺言は、開封する前に検認手続きをおこなう必要があります。

「検認手続き」とは、相続人に遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の形状や訂正の状態、日付、署名などを確認し、偽造や変造を防ぐための手続きです。

公正証書遺言は公証役場で作成・保管されるため、検認を経ることなく相続手続きに進めます。

その結果、以下のような手続きをスムーズに進められる点が大きなメリットといえます。

  • 預貯金の解約
  • 不動産の名義変更
  • 株式の名義書換え

検認の手続きには通常数週間〜2ヵ月程度かかるため、その間は相続手続きが進められません。

その分、遺産を相続するのが遅れてしまうわけです。

公正証書遺言であれば、速やかに相続の手続きをすすめられます。

偽造・改ざん・紛失のリスクがない

偽造や改ざん、紛失のリスクが極めて低い点も、公正証書遺言のメリットのひとつです。

公正証書遺言は原本が公証役場に保管され、偽造・改ざん・紛失といったリスクはありません。

震災などで原本や正本、謄本が全て失われた場合でも、原本をデータとして保管するバックアップシステムによって内容の復元が可能です。

それに対して自筆証書遺言は、法務局の保管制度を利用していなければ自宅で保管するケースが多く、改ざんや紛失のおそれがあります。

秘密証書遺言も現物は本人が管理する必要があるので、紛失して相続人が見つけられなくなってしまうリスクは否定できません。

ほかの相続人に見つかって、改ざんされてしまうリスクもあります。

【原本・正本・謄本とは】

  • 原本:
    • 公証役場で保管される元の文書
  • 正本:
    • 原本と同じ効力をもつ写し(相続手続きへの利用可)
  • 謄本:
    • 原本の写しだが、内容確認用で原本と同じ効力はない(相続手続きへの利用不可)

手が不自由な方/外出が困難な方でも作成できる

体調の問題で自筆や外出が難しい方が作成できることも、公正証書遺言のメリットとしてあげられます。

自筆証書遺言は、原則として全文を自筆する必要があります。

そのため、手が震えて文字が書けない人や、ペンを握れない人などにとってはハードルが高いでしょう。

公正証書遺言なら、口頭で伝えた遺言内容をもとに公証人が作成してくれるため、本文を自筆する必要がありません。

手が不自由で自らペンや印鑑を持てないような場合は、公証人が代わりに署名・捺印することも可能です。

また、費用はかかりますが、外出が困難なときは、管轄区域内であれば公証人が自宅や病院、介護施設まで出張してくれます。

さらに、離島や感染症予防などの事情があるときは、Web会議で公証人と面談して作成することも可能です。

公正証書遺言をえらぶデメリット

公正証書遺言をえらべば多くのメリットがある反面、ほかの形式に比べ手軽とは言えずいくつかのデメリットがあるのは否めません。

以下、公正証書遺言をえらぶデメリットについて、ほかの遺言形式と比較しながら詳しく見ていきましょう。

作成するのに手間や費用がかかる

公正証書遺言のデメリットのひとつは、作成に手間や費用がかかることです。

公正証書遺言は、公証役場の窓口に行けばすぐ公証人に作ってもらえるわけではありません。

財産と相続人を調査したうえで資料を公証役場に持ち込み、公証人と文案の打ち合わせをおこなう必要があります。

その後作成日が指定されるため、余命宣告を受けていて時間がない、今すぐに遺言書を残したいといった緊急性の高いケースでは、時間的なハードルが高くなるでしょう。

費用については、財産を受け取る相手ごとに以下の手数料がかかります。

そのため、財産を渡したい相手が多い場合や財産の総額が多いときは、手数料が高額になる可能性があります。

相続・遺贈する財産の価額 手数料
50万円以下 3,000円
50万円超100万円以下 5,000円
100万円超200万円以下 7,000円
200万円超500万円以下 1万3,000円
500万円超1,000万円以下 2万円
1,000万円超3,000万円以下 2万6,000円
3,000万円超5,000万円以下 3万3,000円
5,000万円超1億円以下 4万9,000円
1億円超3億円以下 4万9,000円+超過5,000万円ごとに1万5,000円
3億円超10億円以下 10万9,000円+超過5,000万円ごとに1万3,000円
10億超 29万1,000円+超過5,000万円ごとに9,000円
算定できないもの 1万3,000円

 

参考:公証人手数料|日本公証人連合会

このほか証人への謝礼なども必要です。

一方で自筆証書遺言であれば、自宅で保管する場合は無料、法務局の保管制度を利用しても3,900円で済みます。

2人の証人を用意しなくてはならない

自筆証書遺言と異なり、公正証書遺言を作成する際は証人2人の立会いが必須です。

また証人は誰でもよいわけではなく、以下のような人は証人になれません。

  • 未成年者
  • 推定相続人・受遺者・その配偶者・直系血族
  • 公証人の親族・事務所関係者

たとえば、将来遺言者の相続人になる予定の人や遺言によって財産を渡される予定の人には、証人になる資格がありません。

そのため、利害関係のない親族や友人に依頼したり、公証役場に証人を手配してもらったりするのが一般的です。

証人を探す際は遺言内容を知られても問題ないかどうかを検討する必要もあります。

(公証人や証人には守秘義務・秘密保持義務が課せられるので、基本的に遺言内容が漏れる不安はありません)

また公証役場から証人を紹介してもらう際は、1人あたり5,000円〜1万円程度の謝礼を支払うことも必要です。

身近に適任がいない人や、できるだけ費用をかけたくない人にとっては、証人の確保がハードルになる可能性があります。

遺言の訂正や取り消しがしにくい/そのたびに費用と手間がかかる

遺言書は一度作成して終わりではなく、以下のような事情の変化が生じるたびに内容を見直す必要があります。

  • 相続人との関係の変化
  • 再婚や離婚、子どもの誕生
  • 事業の売却や不動産売買などによる財産状況の変化

自筆証書遺言なら、自分で訂正すれば問題ありません。

しかし公正証書遺言の場合、原本が公証役場で保管されるため自分では修正できません。

内容を変更したいときは、前回の遺言書を取り消し(撤回)する旨を記載した公正証書遺言を新たに作成する必要があります。

公証人手数料については、前回の遺言を取り消すだけなら1万3,000円で済みますが、新たな内容で作成し直すときは財産額に応じた手数料がかかる点に注意が必要です。

作り直すたびに初回と同等の費用がかかるため、見直しの頻度が多いとそれだけ費用負担が大きくなるでしょう。

公正証書遺言が無効になる確率はある?

公正証書遺言が無効になる確率は、極めて低いといえます。

法律の専門家である公証人が作成することで、形式不備で無効になるリスクを大幅に抑えられるためです。

また、公正証書遺言の原本は公証役場に保管されるため、第三者による偽造や改ざんも防げます。

公正証書遺言はほかの遺言形式に比べて確実性が高く、安心して利用できる形式といえるでしょう。

公正証書遺言が例外的に無効となるケースとは?

公正証書遺言が無効になる確率は低いですが、なかには無効と判断されるケースも存在します。

ここでは、公正証書遺言が無効となる可能性のある主なケースを紹介します。

遺言者に遺言能力がなかった

遺言が有効であるためには、遺言者が遺言の内容やその影響を理解できる力・遺言能力をもっていなければなりません。

作成時点で遺言者に遺言能力がなければ、公正証書遺言であっても無効になります。

たとえば、認知症や精神疾患によって判断能力を失った状態で作成された遺言書は無効です。

公証人が遺言作成時に、遺言者が認知症であったなどと気付けない可能性もあり、結果的に公正証書遺言が無効とされるケースも考えられます。

証人が不適格だった

立ち会った証人が条件に反していた場合、その遺言は無効になります。

前述のとおり以下に該当する方は、公正証書遺言の証人にはなれません。

  • 未成年者
  • 推定相続人・受遺者・その配偶者・直系血族
  • 公証人の親族・事務所関係者

証人のうちひとりでも不適格な人物が含まれていれば、その証人が立ち会った遺言は無効です。

実際に、配偶者や子どもといった推定相続人が証人を務めていたことが原因で、遺言が無効になった裁判例も存在します。(東京高等裁判所 昭和60年6月26日判決)

遺言者の口頭で遺言が作成されていなかった

公正証書遺言は、遺言者が口頭で伝えた内容に基づいて作成されます。

これを「口授(くじゅ)」といい、口授をおこなわなかった遺言は無効です。(民法第969条第2号)

たとえば、事前に公証人と打ち合わせ、当日には内容に間違いがないかどうかを確認するだけにしておくことも、遺言者が内容を理解して自分の意思で回答していれば口授として認められます。

問題になるのは、公証人が原案を読み上げ、遺言者が「はい・いいえ」だけで応じるようなケースです。

実際に、このような事例では、遺言者が内容を理解したうえで返事をしたとは認められず、口授の要件を満たさないと判断されました。(大阪高等裁判所 平成26年11月28日判決)

なお、耳が不自由な方や話せない方でも、公正証書遺言の作成は可能です。

そのようなケースでは、手話通訳や筆談で内容を伝える方法が認められています。(民法第969条の2第1号)

詐欺・錯誤・強迫によって遺言者の意図と異なる遺言が作成されていた

遺言形式にかかわらず、騙されたり脅されたりして作成されたのであれば、公正証書遺言であっても取り消せます。

民法では、詐欺や強迫による意思表示は取り消せると定められているためです。

ただし遺言者本人が亡くなったあとに、相続人が「遺言者は騙されていた」と主張して遺言を取り消すのは、証拠の収集が難しいためハードルが高いでしょう。

遺言者が重大な勘違いをしていたときも、錯誤として取り消せる場合があります。

たとえば、実子だと信じて全財産を譲る遺言書を作成したものの、死後のDNA鑑定で血縁関係がなかったと判明したようなケースです。

このような場合、実子という前提が遺言の根幹部分であると考えられるため、錯誤による無効が認められる可能性があります。

ただ、錯誤の場合も、遺言者の思い込みがどれほど遺言に影響していたかを証明する必要があり、簡単に認められるわけではありません。

遺言の内容が公序良俗に反していた

遺言の内容が公序良俗に反していると、無効になる可能性があります。

公序良俗とは、社会の秩序や一般的な倫理観のことをいい、これに反する法律行為は無効になると定められています。

たとえば、配偶者や子どもがいるにもかかわらず、不倫相手に全財産を譲ろうとするような遺言です。

この場合、遺言者がどれだけ不倫相手を大事に思っていても関係ありません。

ただし、遺言によって家族の生活が脅かされるわけではなく、不倫相手が遺言者の生計に頼って生活していたようなケースであれば、公序良俗に反しないと判断される場合があります。

より新しい日付の自筆証書遺言が発見された

複数の遺言書が存在するときは、より新しい日付のものが優先されます。

たとえば、公正証書遺言よりも日付の新しい自筆証書遺言が見つかり、その内容に食い違いがあった場合、自筆証書遺言が優先されて古い日付の公正証書遺言は撤回されたものとみなされます。

優先順位に遺言形式は関係ないため注意しましょう。

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公正証書遺言の効力が無効となる流れ

公正証書遺言の効力は、どのようにして無効になるのでしょうか。

以下、その流れを見ていきましょう。

まずは相続人や受遺者全員で話し合う

公正証書遺言の効力を争う場合、まずは相続人や受遺者といった利害関係のある人全員で話し合います。

その全員が遺言書と異なる内容での遺産分割に合意すれば、その内容で遺産を分け合うことが可能です。

しかし、ひとりでも「遺言は有効だ」と主張する人がいるなら、話し合いだけでは公正証書遺言の効力は否定されません。

話し合いで合意できなかった場合は遺言無効確認請求調停を申し立てる

話し合いで合意できなかった場合は、「遺言無効確認請求調停」を申し立てます。

調停とは裁判官と調停委員が当事者の間に入り、それぞれの言い分や事情を踏まえて話し合いを進める手続きです。

あくまでも話し合いの場であるため、最終的に相続人や受遺者全員が納得すれば合意内容に基づいて相続手続きを進めますが、合意できなければ調停は成立しません。

この場合は、訴訟で決着をつけるしかなくなります。

なお、相手方の所在がわからないときや調停に出席しないことがわかりきっている場合などは、調停を経ずに訴訟を提起することも可能です。

調停でも解決しなければ遺言無効確認訴訟を提起する

調停が不成立に終わったときは、「遺言無効確認訴訟」を提起し、遺言が有効か無効かを裁判所に判断してもらいます。

訴訟では、遺言の無効を主張する側と有効だと主張する側がそれぞれ証拠を提示し、主張し合います。

裁判所が無効と判断し判決が確定すれば、その遺言ははじめからなかったものとして扱われ、相続人は遺産分割協議によって相続手続きを進めます。

一方で有効と判断された場合は、その遺言に従って遺産を分配することになるわけです。

裁判所の判断に納得できないときは、控訴するかどうか検討します。

遺言無効確認請求訴訟の手続きの流れについては、以下の記事を参考にしてください。

【関連記事】遺言無効確認請求訴訟とは?無効できるケースや裁判手続きの流れを解説

公正証書遺言は絶対か?不満があるなどで従わない場合はどうなる?

公正証書遺言には一定の効力があり、一般的にはその内容に従って遺産分割をおこないます。

それでは、公正証書遺言は絶対で、必ず従わなくてはならないのでしょうか。

また不満があるなどして従わないと、ペナルティなどが発生するのなら知っておきたいところです。

以下、公正証書遺言に従わないとどうなるか見ていきましょう。

公正証書遺言に従わないこと自体は違法ではない

遺言に従わないこと自体は違法ではなく、罰則を受けることもありません。

ただし、内容に不満があるからといって何をしてもよいわけではありません。

たとえば、勝手に相続財産を処分したり使い込んだりしてはいけません。

万が一、こういったことをしてしまうと、財産の返還を求める不当利得返還請求や、不法行為に基づく損害賠償請求を受ける可能性があります。

遺言を破棄したり隠したりしたら刑罰を受ける可能性がある

遺言書を破棄したり隠したりすると、私文書毀棄罪(しぶんしょききざい)で処罰される可能性があります。

公正証書遺言はほかの遺言形式とは異なり、公証役場に原本が保管されます。

そのため、手元にある正本や謄本を破棄しても遺言書そのものがなくなるわけではありませんが、遺言をなかったことにしようとする行為自体が違法なので注意ください。

また、民法第891条第5号では、遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者は「相続欠格」に該当し、相続権を失う旨が定められています。

相続欠格とは、民法が定める悪質な行為をおこなった相続人が、相続人としての権利を剥奪される制度です。

このようなペナルティを受けるおそれがあるため、内容に不満があったとしても、遺言書を破棄・隠匿する行為は絶対に避けましょう。

公正証書遺言の効力で遺留分は無効にならない

公正証書遺言があっても、その効力によって遺留分がなくなるわけではありません。

「遺留分」とは、配偶者や子ども、父母などの一部の法定相続人に最低限保障される遺産の取り分のことです。

たとえば「◯◯に全財産を相続する」というような遺留分を侵害するような遺言書でも、形式的に問題がなければ有効です。

しかし、遺留分は遺言よりも優先されるため、侵害された遺留分は遺留分侵害額請求をおこなうことで取り戻せます。

遺留分の詳細や遺留分侵害額請求の手順については、以下の記事を参考にしてください。

【関連記事】遺留分とは?割合と受け取れる人・遺留分侵害額請求の手順を解説

公正証書遺言の取り扱いについて弁護士に相談・依頼するメリット

公正証書遺言の取り扱いについて、不安や不満があれば弁護士に相談・依頼することが強く推奨されます。

以下のとおり、弁護士に相談・依頼するメリットが多いためです。

【公正証書遺言作成時】

  • 遺言内容についてアドバイスしてもらえる
  • 原案の作成を依頼できる
  • 遺留分を侵害しないかチェックしてもらえる
  • 証人として立ち会ってもらえる
  • 必要書類の準備や公証役場とのやりとりを任せられる
  • 相続人調査や財産調査もサポートしてもらえる

【遺言内容に従わず、遺産分割協議をおこなう場合】

  • 遺産分割協議の進め方について教えてもらえる
  • 相手方との交渉を任せられる
  • 調停や審判への同席・代理を依頼できる
  • 遺言書の有効性を判断してもらえる
  • 遺産分割協議書を作成してもらえる
  • 不動産登記や相続税申告の際に提携する専門家を紹介してもらえる

遺言や遺産相続について、無料相談に応じる弁護士も少なくありません。

少しでも不安・不満があれば、まずは弁護士の無料相談を申し込み、法律の専門家からアドバイスをもらうとよいでしょう。

さいごに|公正証書遺言の取り扱いに疑問や不満があれば弁護士に相談を!

公正証書遺言自体に特別な効力があるわけでなく、効力の面では自筆証書遺言などとかわりません。

ただし公証人と呼ばれる公務員によって作成されることから、信頼性が高く無効になってしまう可能性は非常に低いです。

また、公正証書遺言がある場合でも、相続人や受遺者全員が合意すれば、遺言と異なる内容で遺産分割をすることも可能です。

公正証書遺言の取り扱いに疑問や不満があるなら、ひとりで悩まず早めに弁護士に相談することをおすすめします。

相続・遺言問題が得意な弁護士であれば、ほかの選択肢やリスクを踏まえたうえで適切な対応を一緒に考えてくれるでしょう。

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