横領の無料相談先は弁護士がおすすめ|弁護士の探し方やメリットを解説
友人・知人から預かったお金を自分のものにしたり、会社のお金を使い込んだりすると横領罪に問われます。
横領を犯した人は刑事罰の対象になるため、以下のような不安もあるでしょう。
- どこに相談してよいかわからない
- 弁護士に相談したいけどお金がない
- 横領は必ず逮捕されるのか?
- 逮捕されたら有罪になる?
- 横領罪にはどんな刑罰がある?
弁護士に相談すると相談料が発生しますが、無料相談できる弁護士もいるので安心してください。
ただし、逮捕されたあとにできることは限られるので、刑事事件に注力している弁護士を早く見つけておかなければなりません。
ここでは、横領罪が有罪判決になったときの刑罰や、弁護士に無料相談するメリットをわかりやすく解説しています。
横領事件で弁護士の無料相談を活用するメリット
横領罪には3つの類型があり、いずれも刑事罰の対象になっています。
- 単純横領罪:5年以下の懲役
- 単純横領罪:5年以下の懲役
- 遺失物等横領罪:1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料
- 業務上横領罪:10年以下の懲役
単純横領と業務上横領は懲役刑しかないため、実刑判決が下されると刑務所行きが確定しますが、弁護士の無料相談を活用すると逮捕や起訴を回避できる可能性があります。
具体的には以下のようなメリットがあるので、横領事件を起こしたときは早めに弁護士へ相談してください。
相性のよい弁護士を自分で選べる
横領事件の逮捕前であれば相性のよい弁護士を自分で選べるので、刑事事件に詳しいかどうか、熱心な弁護活動を期待できるかどうか判断できます。
弁護士とのつながりがない状態で逮捕された場合、弁護士会が派遣する当番弁護士、または勾留中に面談できる国選弁護人を呼べますが、どちらも自分で弁護士を指定できません。
当番弁護士は刑事事件が専門ではないケースがあり、国選弁護人は国から支払われる報酬が低いため、依頼どおりの弁護活動を期待できない可能性があります。
相性の悪い弁護士は面談や弁護活動の依頼がストレスになり、費用対効果も下がってしまうので、自分に合う私選弁護人を逮捕前に見つけておきましょう。
逮捕前に被害者と示談できる可能性がある
横領の罪を犯した場合でも、弁護士に依頼すると示談がまとまりやすく、警察へ通報される前に事件を解決できるケースがあります。
単純横領や遺失物横領の場合、被害者に謝意を示して十分に反省し、横領した金銭の弁償や示談金を支払えば、「警察沙汰にする必要はない」と判断してもらえるでしょう。
業務上横領では会社側と示談できても懲戒解雇は避けられないかもしれませんが、通報されなければ前科も付かないため、再就職への影響も最小限に抑えられます。
ただし、犯人と被害者は対立関係になってしまい、示談を持ちかけても拒否される場合があるので、弁護士に関わってもらうことをおすすめします。
逮捕されたあとの扱いや対処法を教えてくれる
刑事事件に注力している弁護士に無料相談した場合、逮捕されたあとの扱いや取調べにどう対処してよいか教えてもらえます。
1人で取調べを受けると不安を感じてしまい、ストレスから逃れるために不用意な発言をするなど、警察官に揚げ足をとられる可能性があるので注意しなければなりません。
また、逮捕後は憲法38条や刑事訴訟法198条、および311条に定めのある黙秘権を行使できますが、警察官は黙秘を諦めさせるようにプレッシャーをかけてくることが多いでしょう。
しかし、逮捕前であれば弁護士のアドバイスを受けられるので、取調べに対してどう答えるとよいか、黙秘したほうがよいかなど、ある程度の情報を収集できます。
検察官送致や勾留、起訴になったときの立場など、逮捕後の扱いも聞いておくとよいでしょう。
逮捕後の手続きや家族への影響については逮捕されたらどうなる?逮捕後の手続きの流れや家族への影響とはをご覧ください。
逮捕・勾留になっても弁護活動を依頼できる
横領事件で逮捕されると留置場に入りますが、被疑者には刑事訴訟法39条に定められた接見交通権が認められており、弁護士を呼んで面談できます。
逮捕前に相談している私選弁護人がいる場合、すでに事件の状況が伝わっているのですぐに弁護活動を開始してもらえます。
また、私選弁護人は勾留中でも面談できるので、被害者との示談交渉や家族への連絡などを依頼しておきましょう。
勾留阻止や不起訴獲得を期待できる
横領の罪を犯した場合でも、すぐに弁護士へ相談すると逮捕後の勾留阻止や不起訴獲得を期待できます。
刑事事件で逮捕されると警察官の取調べを受けることになり、釈放されなかった場合は48時間以内に検察官へ送致されます。
検察官は24時間以内に起訴・不起訴を決定しますが、被疑者を解放すると証拠隠滅の恐れがあるなど、引き続き身柄拘束が必要だと判断した場合は裁判所へ勾留請求します。
勾留請求が却下されるケースはあまりないため、検察官のもとへ送致されると高確率で10日間の勾留となり、さらに最長10日間の勾留延長になる可能性もあるでしょう。
また、刑事事件で勾留された場合は起訴されるケースが多いので、被告人として刑事裁判を受けなければなりません。
しかし、弁護士に依頼すると準抗告や勾留取消しの申し立てをおこなってくれるため、勾留や起訴を阻止できる可能性が高くなります。
刑罰を軽くしてもらえる可能性がある
弁護士は起訴されたあとも弁護活動を継続してくれるので、量刑を軽くする意見書や陳述書などを裁判官に提出してくれます。
被害者との示談成立も量刑に影響するため、弁護士に事件解決を依頼した場合は執行猶予付きの判決になる可能性も高いでしょう。
横領罪の無料相談に応じてくれる弁護士の探し方
横領事件で起訴されると有罪判決になる可能性が高いので、無料相談できる弁護士を以下の方法で探してください。
なお、弁護士に相談できる窓口には法テラスや各自治体の無料法律相談もありますが、どちらも刑事事件は受け付けていないので注意しましょう。
日弁連の法律相談センター|近くに法律事務所がない方
日本弁護士連合会では全国約300ヵ所に法律相談センターを設置しており、民事や刑事の法律相談を受け付けているので、近くに法律事務所がない方は利用してみましょう。
弁護士の相談料は基本的に有料ですが、一部の地域ではデパートなどの商業施設やオフィスビル内に無料の法律相談窓口を設置しています。
過疎地域の場合は公共施設などを利用した法律相談会もあり、週1回や月に2~3回など定期的に開催されています。
日弁連の公式サイトには以下の予約システムもあるので、日時を指定して弁護士に相談したい方は利用してみましょう。
- ひまわり相談ネット:ネット上から地域や相談内容を指定して面談日を予約
- ひまわりお悩み110番:0570-783-110へ電話して面談日を予約
なお、日弁連の法律相談センターでは相談内容に応じた弁護士を紹介してくれますが、自分で指名はできないので、相性のよい弁護士が担当してくれるとは限りません。
無料の相談窓口も民事の問題や交通事故のみ、または刑事事件の被害者の相談しか受け付けていないケースがあるため、相談できる内容をよく確認しておく必要があります。
【参考】全国の弁護士会の法律相談センター(日本弁護士連合会)
弁護士のポータルサイト|逮捕の可能性が高く緊急対応が必要な方
弁護士のポータルサイトは弁護士探しの窓口になり、複数の弁護士情報をまとめて閲覧できます。
横領罪の相談をしたい場合、刑事事件に特化したポータルサイトを利用すると効率的に弁護士が見つかるので、ベンナビ刑事事件で弁護士検索してみましょう。
ベンナビ刑事事件では地域や専門分野の絞り込み検索が可能となっており、以下のような情報がわかりやすく表示されます。
- 法律事務所の住所や連絡先
- 相談方法:直接面談や電話、LINE・メール・オンライン面談など
- 無料相談の対応
- 土日や祝日、夜間の対応
- 専門分野
- 刑事事件の解決事例
- 弁護士費用
- 弁護士の経歴 など
弁護士選びに必要な情報がほとんど網羅されているので、自分に合った弁護士を見つけやすいでしょう。
刑事事件の相談は刑事事件について無料で電話相談できる弁護士の探し方|無料相談するメリットも解説をご覧ください。
横領罪の解決はどんな弁護士に依頼するとよい?
横領罪を犯したときは逮捕を回避する必要があり、もし逮捕された場合でも不起訴を獲得しなければならないため、弁護士の選び方が事件解決の成否に影響します。
事件解決を依頼するときは、以下の基準で弁護士を選ぶと失敗しないでしょう。
土日や祝日、夜間でも相談できる
横領罪はすぐに発覚しないケースもありますが、バレていないと思っていても水面下で捜査が進み、逮捕まで秒読みになっている可能性があります。
逮捕に曜日や時間は関係ないので、横領罪を犯したときは土日や祝日、夜間でも相談・依頼できる弁護士を探しておきましょう。
スピーディに対応してくれる
刑事事件の解決は初期対応が重要になるため、対応がスピーディな弁護士を選ぶようにしてください。
すぐに被害者へ連絡して示談交渉の段取りをしてくれるかどうか、折り返しの電話やメール返信が早いかどうかなど、対応状況をチェックしてみましょう。
なお、優秀な弁護士は常に数十件の案件を抱えているケースが多く、緊急案件に対応している場合はすぐに弁護活動を開始できないことがあります。
少しでも早く横領事件に対応してほしいときは、所属弁護士の人数が多い法律事務所を選んだほうがよいかもしれません。
弁護士費用をわかりやすく説明してくれる
弁護士費用は一般的にはあまり知られていないため、内訳や算出基準をわかりやすく説明してくれる弁護士を選びましょう。
ほかの弁護士にくらべて割高な場合でも、逮捕後の面談回数が無制限であったり、相談と依頼が同時だったときは相談料が無料になったりするケースがあります。
良心的な弁護士は費用の内訳を丁寧に説明してくれるので、予算を組みやすく支払時のトラブルもありません。
なお、弁護士費用を問い合わせても説明してくれない、または料金表を提示してくれない弁護士の場合、あとで想定外の費用を請求される可能性があるので注意してください。
また、一般的な相場にくらべて極端に料金が低い場合、十分な弁護活動を期待できない可能性もあります。
依頼者の意向を尊重して弁護方針を決めてくれる
弁護士の業務にはサービス業の性質もあるため、依頼者の意向を尊重してくれるかどうかも重要なポイントです。
たとえば、示談を望んでいるのに「必ず不起訴にするから示談は必要ない」と勝手に弁護方針を決められた場合、不起訴になったとしても被害者との和解は実現しないでしょう。
依頼者の意向を聞き入れず、勝手に弁護方針を決める弁護士とは信頼関係が築けないので、無料相談の際にしっかりチェックしておかなければなりません。
不起訴獲得などの解決実績がある
横領事件の解決を弁護士に依頼するときは、不起訴獲得や無罪判決などの実績を確認してみましょう。
刑事事件の解決実績は法律事務所のホームページやベンナビ刑事事件に掲載されており、どのように不起訴を獲得したかわかりやすく解説されている事例もあります。
ただし、解決件数が過去の累計なのか年間実績なのか確認し、複数の法律事務所を比較するときは「解決実績÷弁護士人数」も計算しておくことをおすすめします。
1人あたりの年間実績が多い法律事務所であれば、優秀な弁護士集団といえるでしょう。
横領罪の解決を依頼したときの弁護士費用
現在の弁護士費用は自由設定になっていますが、多くの弁護士は2004年まで採用されていた弁護士会の報酬基準を参考にしています。
横領罪の解決を依頼したときは60~100万円程度の弁護士費用になるケースが多く、内訳は以下のようになっています。
弁護士費用の内訳 |
一般的な相場 |
法律相談料 |
30分5,000円または1時間1万1,000円程度 |
着手金 |
30~50万円程度 |
報酬金 |
30~50万円程度 |
逮捕・勾留中の接見費用 |
1回あたり2~5万円程度 |
実費 |
交通費や通信費、検察や裁判所へ提出する書類作成費用など |
日当 |
1時間あたり1万円程度のタイムチャージ制 |
法律相談料は初回のみ無料にしている弁護士がほとんどです。
着手金と報酬金は依頼者が受ける経済的利益によって変わるので、示談成立や勾留阻止、不起訴処分など、依頼内容や事件解決の成否によって金額が決まります。
ただし、着手金は事件解決の成否に関わらず発生するため、委任契約を結ぶときに支払わなければなりません。
接見費用が割高な弁護士は回数無制限になっていることがあるので、相談時によく確認してください。
また刑事事件の弁護士費用の詳細は刑事事件の弁護士費用はいくら必要か|私選弁護人と国選弁護人の費用の違いもをご覧ください。
弁護士費用をできるだけ抑える方法
弁護士費用は決して安くありませんが、以下のように出費を抑える方法もあります。
経済的な余裕がない方でも弁護士に依頼できるケースがあるので、手元にまとまった資金がない場合でも相談だけはしてみましょう。
無料相談を活用する
無料相談についてはすでに触れているところですが、ほとんどの弁護士は初回の相談を無料にしており、加害者専門で依頼を受けてくれる弁護士もいます。
着手金だけでもわかれば予算を組めるかどうか判断できるので、まとまった資金がなくても諦めずに相談してみましょう。
なお、無料相談するときは事前準備が必要になるため、後半の解説も参考にしてください。
近くの弁護士に相談・依頼する
弁護士が事務所を離れて活動するときは日当や交通費が発生するので、自宅や会社、または警察署などに近い弁護士を選ぶと出費を抑えられます。
弁護士が車や電車で移動している時間も日当の対象になり、移動中は弁護活動もできないため、費用対効果も下がってしまうでしょう。
なお、法律事務所が警察署や裁判所のすぐ近くにあるなど、移動時間がほとんどかからない場合は日当を請求しない弁護士もいるので、相談時によく確認してください。
刑事事件に注力している弁護士に依頼する
刑事事件に注力している弁護士は弁護活動に無駄がないため、少ない予算で横領事件を解決できます。
一方、専門分野が異なる弁護士に依頼した場合、示談交渉の回数や逮捕・勾留中の面談回数が増えてしまい、結果的に弁護士費用の支払総額が高くなる可能性があります。
不起訴を獲得できなかったときは身柄拘束の期間が長くなり、裁判の結審までに数ヵ月かかってしまいます。
専門性の高い弁護士は最短ルートで問題解決してくれるので、横領事件を起こしたときは必ず刑事事件に注力している弁護士に依頼してください。
分割払いに応じてくれる弁護士に依頼する
弁護士によっては着手金の分割払いに応じてくれるケースがあり、まとまった資金がなくても横領事件の解決を依頼できます。
分割払いは最長12回になることが一般的ですが、できるだけ少ない回数で支払いを終えたほうがよいでしょう。
なお、一部の弁護士は着手金無料で事件解決に対応してくれますが、報酬金が高めに設定されているので、トータルコストに大きな差はありません。
横領罪の解決には示談金の支払いも必要
横領罪を犯すと民事の責任も負わなければならないため、示談を成立させるときは示談金の支払いも必要です。
示談金は慰謝料や逸失利益などの総称です。ちなみに、横領罪では被害者に以下のような損害が発生するケースがあります。
- 現金を横領されたために目的物を仕入れることができず、利益を得る機会を失った
- 横領の犯人を調べるために本来業務が遅延し、残業代も発生した
- 免許証入りの財布を横領されたために車の運転ができず、重要な商談に間に合わなかった
- 犯人が顧客の金銭を横領していたため、会社の社会的信用を著しく損なった
業務上横領は被害額が高額になるため、示談金が1,000万円以上必要になることもあるでしょう。
また、業務上横領は社会人としてのモラルを問われるので、被害額が少なくても懲戒解雇の対象になります。
ただし、弁護士は示談金の減額や分割払いについて交渉してくれるので、弁済負担が軽くなるかもしれません。
懲戒解雇や減給・降格など、社内の処分は避けられないかもしれませんが、警察への通報を踏みとどまってもらえる可能性もあるでしょう。
弁護士の無料相談前に準備しておくべきこと
弁護士の無料相談は長くても1時間程度なので、事件解決とは無関係な話をするとすぐにタイムリミットになってしまいます。
また、自分で対応できることも知っておく必要があり、仮に逮捕されても「どのような行動をとったか」が検察官や裁判官の判断に影響する可能性もあります。
弁護士に無料相談するときは以下のように準備をおこない、自分でできることは可能な限り対処しておきましょう。
事件の概要や依頼内容を整理しておく
弁護士の無料相談を活用する場合、以下の内容をメモ書きにして渡すと短時間で事件の概要が伝わります。
- 横領した金品の内容と金額
- 横領した理由
- 横領した回数と時期
- 被害者が横領に気付いているかどうか
- 被害者が刑事告訴しているかどうか
- 被害者側に弁護士が付いているかどうか
- 何を弁護士に依頼したいか
弁護士は何も知らない状態で依頼者の相談に応じるため、事件解決に必要な情報はできるだけ多く提供してください。
横領した理由は刑罰の重さに影響しやすく、弁護方針も変わるので正直に伝えておきましょう。
たとえば、ギャンブルやキャバクラ通いのための横領は刑罰が重くなりますが、給料が極端に低く生活苦に陥ったための横領であれば刑罰が軽くなる傾向もあります。
また、刑事告訴されている場合はすでに捜査が始まっている可能性が高いので、LINE相談やオンライン面談など、時間をロスしない方法で相談しましょう。
供託の利用を検討しておく
横領の発覚によって被害者との関係が破たんした場合、示談金を支払って損害賠償しようとしても拒絶される可能性があります。
ただし、被害者が示談交渉に応じてくれない場合でも、法務局の供託を利用すれば刑罰を軽くしてもらえるかもしれません。
供託には金銭などを預かってもらう意味があり、犯人が被害回復につとめた実績になるので、検察官や裁判官も「再犯の可能性が低く実社会で更生可能」と評価してくれるでしょう。
なお、供託は手続が複雑なので、自分で対応できないときは弁護士に依頼してください。