慰謝料と示談金の違いとは?離婚・不倫での相場や請求時の注意点をわかりやすく解説
不倫やDVで慰謝料を請求したいとき、「示談金と両方もらえるの?」「提示された金額は妥当なの?」と迷う方は少なくありません。
離婚の慰謝料と示談金は、別々に受け取れるお金ではありません。
示談金という枠のなかに、慰謝料が含まれる関係です。
両者の違いや慰謝料・示談金の相場を理解していないと、不利な条件で合意する恐れがあるため、正しい知識を身につけておく必要があります。
本記事では、慰謝料と示談金の違いから離婚・不倫での相場、請求の流れ、請求時の注意点までをわかりやすく解説します。
離婚の慰謝料と示談金の違い
慰謝料と示談金は、まったく別のお金ではありません。
示談金という大きな枠のなかに、慰謝料が含まれています。
| 慰謝料 | 不貞やDVなどで受けた精神的苦痛に対する賠償金 |
| 示談金 | 話し合い(示談)で合意したときに受け取るお金の総称 |
慰謝料も示談金も両方もらえるわけではなく、示談金の内訳のひとつが慰謝料と考えるとわかりやすいでしょう。
それぞれの違いについて説明します。
慰謝料|精神的苦痛への賠償金
離婚の慰謝料とは、不貞やDVなど配偶者の不法行為によって受けた精神的苦痛に対する損害賠償金です。
法律上、他人の権利を侵害した場合は、精神的な苦痛のような財産以外の損害も賠償の対象になります。(民法709条・710条)
離婚の慰謝料は、2種類の精神的苦痛をまとめて評価し、金額を決めるのが一般的です。
原因行為そのものによる苦痛と、離婚に至ったこと自体による苦痛の2つを指します。
示談金|慰謝料を含む金銭の総称
示談金とは、裁判をせずに話し合い(示談)で合意したときに受け取るお金の総称です。
慰謝料のほか、DVによるけがの治療費や、ケースによっては弁護士費用が含まれることもあります。
また示談金は、法律上の正式な用語ではなく、実務で使われている呼び方です。
示談金として提示された金額の内訳はケースによって異なり、慰謝料だけを指す場合もあれば、解決金などが含まれる場合もあります。
たとえば示談金として150万円と提示されても、全額が慰謝料とは限りません。
金額だけを見るのではなく、どのような名目で請求する・されているのかを確認しましょう。
慰謝料と混同しやすい用語との違い
慰謝料と混同されやすいのが、和解金・解決金・財産分与・養育費です。
和解金・解決金は示談金と同じ「支払いの名目」、財産分与・養育費は「慰謝料とは別に請求できるお金」にあたります。
| 名目 | 目的 |
| 慰謝料 | 精神的苦痛への賠償 |
| 示談金 | 示談で合意した金銭の総称 |
| 和解金 | 和解で合意した金銭の総称 |
| 解決金 | 名目を特定せず解決するため |
| 財産分与 | 夫婦共有財産の清算 |
| 養育費 | 子どもの監護・養育費用 |
慰謝料や示談金の請求ができるケース・難しいケース
慰謝料や示談金を請求できるかは、離婚原因に相手の一方的な有責性があるかによります。
請求できる具体例と難しい具体例について、以下でそれぞれ解説します。
慰謝料や示談金を請求できるケース
不貞行為・DV・モラハラ・悪意の遺棄など、配偶者の一方的な有責行為があれば、慰謝料や示談金を請求できます。
代表的な離婚原因は次の4つです。
- 不貞行為
- 身体的DV
- モラハラ・精神的DV
- 悪意の遺棄
いずれも、相手に非があることが前提です。
有責配偶者が精神的苦痛への賠償として支払義務を負います。
不倫の場合は、配偶者と不倫相手の双方に請求できます。ただし、請求を認めてもらうには証拠が欠かせません。
慰謝料や示談金の請求が難しいケース
性格の不一致や価値観の違いなど、どちらか一方に明確な非があるとはいえないケースは、原則として慰謝料を請求できません。
請求が難しいケースは、以下のとおりです。
- 性格の不一致
- 信仰・価値観の違い
- 双方に非がある場合
有責行為があった場合でも、証拠がない、あるいは時効が過ぎていると認められにくくなります。
ただし、慰謝料を請求できない場合でも、離婚に伴う金銭の取り決めが一切できないわけではありません。
円満に離婚するために、解決金が支払われるケースもあります。
なお、財産分与や養育費は、慰謝料とは別に請求できます。
離婚慰謝料・示談金の相場
離婚慰謝料や示談金の相場は、原因によってもかわりますが、50万円~300万円程度です。
なかでも不貞やDVは、高額になりやすい傾向があります。
| 離婚原因 | 相場 |
| 不貞行為(不倫) | 100万円~300万円 |
| DV・モラハラ | 50万円~300万円 |
| 悪意の遺棄 | 50万円~300万円 |
| セックスレス | 0円~100万円 |
ただし、上記はあくまで目安です。
婚姻期間の長さや子どもの有無、被害の程度によって、実際の金額は大きく変わります。
協議で解決する場合は、相場を超える金額で合意できることも少なくありません。
一方で、証拠が乏しい場合は、相場より低い金額に落ち着くケースもあります。
【関連記事】離婚における精神的苦痛の慰謝料相場は?請求できるケースや手順、必要な証拠を解説
慰謝料・示談金の請求の流れ
示談は、証拠収集→請求→交渉→示談書の作成・支払いという4ステップで進みます。
全体の期間は数週間~数ヵ月程度が目安です。
各ステップの進め方について、順番に解説します。
ステップ1 慰謝料請求の証拠を集める
慰謝料や示談金の請求では、不貞やDVを裏付ける、証拠集めから始まります。
有効な証拠は、以下のとおりです。
- 不貞相手とのメッセージや写真
- ホテルの利用履歴・宿泊記録
- DVによるけがの診断書
- 暴言・暴力を記録した音声や日記
可能な限り、客観的かつ決定的な証拠を集めましょう。
曖昧な証拠しかないと、相手に事実を否認され、請求自体が難しくなることもあり得ます。
一方で、盗聴や不法侵入など、違法な手段での証拠収集は避けましょう。
違法収集した証拠は、かえって不利になる可能性があります。
ステップ2 内容証明などで請求する
相手に「慰謝料を請求する」という意思を明確に伝えるため、内容証明郵便を送ります。
内容証明郵便とは、いつ・誰が・誰に・どのような内容の文書を送ったかを、郵便局が証明してくれるサービスです。
内容証明郵便を利用することで、口頭やメールで発生しやすい「言った・言わない」の水掛け論や、相手に無視されるリスクを減らせます。
記載する内容は、下記のような項目です。
- 離婚原因となった事実や精神的苦痛を受けたこと
- 請求する慰謝料の金額
- 支払い期限
- 振込先 など
相手が請求に応じない場合は法的措置を取る旨も明記しておくと、交渉を有利に進めやすくなります。
【関連記事】【例文付き】内容証明郵便とは?効力・書き方・出し方をわかりやすく解説
ステップ3 金額・条件を交渉する
相手と、慰謝料の金額・支払い方法・接触禁止などの条件を交渉しましょう。
離婚そのものを話し合う協議離婚のなかで慰謝料を決める場合と、離婚は成立済みまたは別問題で慰謝料だけを交渉する示談交渉の場合があります。
いずれも相場や過去の裁判例を根拠に金額を主張すると、説得力が増すでしょう。
また、感情的にならず、冷静に進めることも大切です。
話し合いが平行線をたどり、相手が金額に納得しない、あるいは話し合い自体に応じないケースも見られます。
話し合いが進まない場合は、調停や訴訟へ進むことになります。
ステップ4 示談書を作成し支払いを受ける
金額や条件について合意できたら、示談書を作成し、署名・押印して支払いを受けます。
口約束だけで済ませるのはおすすめできません。
言った・言わないのトラブルを防ぐためにも、必ず書面に残してください。
示談書には、一括か分割かなどの支払方法や支払期限を具体的に記載します。
分割払いを選ぶ場合は、強制執行認諾文言付きの公正証書にしておくと安心です。
万が一支払いが滞っても、裁判を経ずに、相手の給与や財産を差し押さえることができる強制執行の手続きに進めます。
慰謝料・示談金を請求するときの注意点
慰謝料や示談金を請求するときは、時効・示談のやり直し不可・書面化の3点に注意が必要です。
順番に解説します。
慰謝料や示談金の請求時効は3年
慰謝料や示談金の請求には時効があり、原則3年で消滅します。
起算点は慰謝料の種類によって異なり、不貞行為による慰謝料は不貞の事実と相手を知った時から、離婚自体に対する慰謝料は離婚が成立した時から、それぞれ3年です。
なお、不法行為から20年が経過すると、知らなかった場合でも請求できなくなります。
「証拠集めに時間をかけすぎて、気づけば時効が近い」というケースも少なくありません。
時効が迫っている場合は、内容証明の送付や訴訟提起によって、時効の完成を防げます。
【関連記事】不倫の時効は何年?慰謝料を逃さないため把握しておくべき知識まとめ
一度成立した条件を覆すのは難しい
示談は一度成立すると、原則としてやり直せません。
あとから条件を変更したり、追加で請求したりすることも難しくなります。
多くの示談書には、清算条項が盛り込まれているためです。
清算条項があると、示談書に書かれていない請求は、以後できないとみなされます。
内容を十分に理解しないまま署名すると、あとから「もっと請求できたはずなのに」と後悔する場合もあるでしょう。
不利な条件で合意しないためにも、署名前に弁護士へ相談するのがおすすめです。
決定した条件は口約束にせず書面で残す
合意した内容は、必ず書面に残してください。
口約束のままだと水掛け論になったり、あとから相手に「そんな約束はしていない」と言われたりするリスクがあります。
書面があれば、金額や支払い方法の内容を証明する証拠になります。
トラブルが起きたときも、書面をもとに主張できるでしょう。
慰謝料・示談金について弁護士に相談・依頼するメリット
慰謝料・示談金について悩んでいる場合、弁護士に相談することも1つの手段です。
弁護士に依頼すると得られる主なメリットを、順番に解説します。
適正な相場で交渉できる
弁護士に依頼すると、裁判例を踏まえた適正な相場で慰謝料の交渉ができます。
もしも相場を把握しないまま交渉すると、不利な金額で合意してしまう事態を招きかねません。
実際に相手方からの提示額が相場より低いことも珍しくなく、弁護士が入ることで、増額・減額の要素を踏まえた適正な主張が可能になります。
適正な相場での交渉は、慰謝料を請求する側だけのものではありません。
請求された側にとっても、過大な請求に対して適正な金額まで下げる交渉に活かせます。
相手と直接やり取りせずに済む
弁護士に依頼すると、配偶者や不倫相手と直接やり取りする必要がなくなります。
離婚の交渉は、感情的な対立が起きやすいのが特徴です。
相手と直接話すこと自体が、大きなストレスになる方も少なくありません。
窓口を弁護士に一本化すれば、対応も冷静かつ正確に進みます。
「相手からの連絡が怖い」「顔を合わせたくない」という場合も、弁護士が間に入れば、距離を置いたまま交渉を進められます。
示談書・公正証書を作成できる
弁護士に依頼すると、清算条項・接触禁止条項・求償権放棄など、盛り込むべき条項を漏れなく示談書に反映できます。
| 条項 | 内容 | 効果 |
| 清算条項 | 示談書に記載のない請求について、以後おこなわない旨を定める | 合意後の蒸し返しを防ぐ |
| 接触禁止条項 | 相手や不倫相手に対し、以後連絡・接触しない旨を定める | 再発防止やトラブル防止につながる |
| 求償権放棄 | 不倫相手や配偶者が慰謝料を支払った後、もう一方に負担を求める権利を放棄する旨を定める | 離婚しない場合に、実質的に同じ家計へ請求が戻ることを防ぐ |
自分だけで作成すると、必要な条項が抜け落ち、あとから合意内容を蒸し返されたり、支払いが滞ったりすることもあるでしょう。
公正証書にする場合の公証役場でのやり取りも、弁護士がサポートしてくれます。
【関連記事】離婚の公正証書は作成すべき理由とは?作成しないリスクや作成手順も解説
精神的な負担が軽くなる
弁護士に依頼すると、手続きや交渉を任せられる分、精神的な負担が軽くなります。
見通しが見えないまま一人で交渉を進めるのは、大きな不安を伴うものです。
法律の専門家が味方についているという安心感は、思っている以上に支えになります。
生活の立て直しに専念できるのも依頼するメリットのひとつです。
まずは無料相談から、気軽に話してみてください。
慰謝料・示談金の相談はベンナビ離婚がおすすめ
慰謝料や示談金に不安があるときは、離婚問題にくわしい弁護士を探せる「ベンナビ離婚」の利用がおすすめです。
地域や相談内容から、条件に合った弁護士を検索できます。
無料相談やオンライン相談に対応する事務所も多く、まずは気軽に話を聞いてもらえます。
相談時には、証拠や経緯をまとめたメモ、相手の情報を準備しておくと、話がスムーズに進みます。
ここからは解決事例を紹介します。
ベンナビ離婚で弁護士に慰謝料や示談金を依頼した解決事例
本章では、実際に「ベンナビ離婚」の弁護士が、慰謝料や示談金の解決をした事例を紹介します。
解決事例1|不貞慰謝料300万円を取得して解決
依頼から13日間という短期間で、慰謝料300万円の合意に至った事案です。
配偶者の携帯電話に表示された通知から、不貞が発覚しました。
依頼者は、金額よりも早期の解決を優先したいという意向でした。
担当弁護士は双方の自白を得られる程度の証拠があることを確認したうえで、浮気相手との交渉に着手。
結果として、300万円での合意書作成に至っています。
【参考記事】不貞慰謝料300万円を取得して解決した案件
解決事例2|交渉で不倫慰謝料300万円以上を獲得
訴訟に発展することなく、2ヵ月という短期間で300万円以上の慰謝料が認められた事案です。
入院中の配偶者の不倫が発覚し、依頼者本人による交渉を試みましたが、相手が弁護士を立てて事実を否定したため、解決には至りませんでした。
担当弁護士は速やかに事実確認をおこない、離婚時に交渉していたほうが慰謝料は増額しやすい傾向があると助言しています。
すでに離婚に同意していた配偶者と離婚届を作成し、離婚を成立させました。
離婚届が受理された当日に相手方の弁護士へ通知を送付し、不貞の証拠と離婚が慰謝料の増額事由にあたる点を示して交渉しました。
その結果、訴訟に発展することなく、300万円以上の慰謝料が認められました。
【参考記事】【交渉で不倫慰謝料300万円以上を獲得】2ヶ月で解決できた実例
まとめ|慰謝料や示談金を請求したい場合は弁護士へ一度相談を
慰謝料は示談金の一部であり、両方をもらえるという関係ではありません。
まずは、この違いを正しく理解することが第一歩です。
金額をそのまま受け入れる前に、原因ごとの相場や請求の流れ、時効・書面化といった注意点を踏まえておきましょう。
解決金のように法的根拠のない名目が使われるケースもあるため、内訳の確認は欠かせません。
慰謝料や示談金の請求は、金額の見立てから証拠集め・交渉・書面の作成まで、いくつもの判断が必要になります。
一人で抱え込まず、弁護士へ相談し、負担を減らしながら適正な解決を目指しましょう。
「ベンナビ離婚」では、地域や相談内容から、離婚問題にくわしい弁護士を探せます。
無料相談を実施している事務所も多いため、まずは気軽に話を聞いてみてください。
