離婚公正証書の作成費用はいくらかかる?費用相場・誰が払うか・安く抑える方法を解説
離婚の条件を取り決めても、「口約束だけで本当に支払ってもらえるのか」と不安に感じる方は多いでしょう。
「公正証書を作ったほうがよいと聞いたけれど、費用がいくらかかるのか分からない」という方も少なくないはずです。
離婚時の公正証書にかかる費用は、公証役場に支払う手数料・実費と、弁護士などへ依頼する場合の専門家費用で構成されます。
本記事では、離婚公正証書の費用の内訳や計算方法、ケース別のシミュレーション、費用を抑える方法まで解説します。
離婚時に作成する公正証書とは?
離婚時に作成する公正証書とは、養育費・慰謝料・財産分与などの離婚条件を、公証人が公文書としてまとめた書面です。
正式名称は「離婚給付等契約公正証書」。
夫婦だけで作成する離婚協議書が私文書であるのに対し、公正証書は法律の専門家である公証人が本人確認・意思確認をおこなって作成します。
原本は公証役場に保管されるため、紛失や改ざんのリスクも抑えられます。
離婚協議書と公正証書の違い
離婚協議書と公正証書の主な違いは、以下のとおりです。
| 離婚協議書 | 公正証書 | |
|---|---|---|
| 作成者 | 夫婦 | 公証人 |
| 証拠力 | 低い(内容や署名をめぐり争いになる余地がある) | 高い |
| 原本の保管 | 自分たち | 公証役場 |
| 未払い時の強制執行 | 不可(裁判などの手続きが必要) | 強制執行認諾文言があれば可能 |
| 費用 | 原則無料 | 数千円〜数万円の手数料 |
養育費や分割払いの慰謝料など、離婚後も支払いが続く条件は、「言った・言わない」のトラブルになりがちです。
公正証書にしておけば合意内容が客観的な形で残り、離婚後の紛争を防ぎやすくなります。
さらに強制執行認諾文言を入れておけば、未払いが発生した際、裁判を経ずに給与や預貯金の差し押さえなどをする強制執行を検討できます。
ただし、公正証書を作れば必ず未払い分を回収できるわけではありません。
強制執行には、相手の勤務先や財産の情報が必要です。
記載内容に不安がある場合は、作成前に弁護士へ相談すると安心でしょう。
離婚時の公正証書の作成にかかる費用はいくら?
離婚公正証書の作成費用は、公証役場に支払う手数料・実費と、弁護士や行政書士へ依頼する場合の専門家費用で構成されます。
自分で作成する場合、支払うのは公証役場の費用のみです。
| 費用項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 作成手数料 | 3,000円〜(目的価額により変動) |
| 正本・謄本の交付手数料 | 1枚につき300円 |
| 送達・送達証明の手数料 | 合計1,900円〜(郵送の場合は送料実費が加算) |
| 年金分割合意の手数料 | 原則13,000円 |
| 専門家費用 | 依頼先・依頼範囲により変動 |
公証役場の手数料は全国一律で、公証人手数料令という政令に定められています。
2025年10月1日施行の改正後の金額をもとに、費用項目ごとに見ていきましょう。
作成手数料|3,000円〜
離婚公正証書の作成手数料は、記載する養育費・慰謝料・財産分与などの「目的価額」に応じて決まり、最低3,000円から段階的に上がります。
目的価額とは、契約によって一方が受け取る利益(相手から見れば支払う義務)を金銭で評価した金額です。
目的価額ごとの作成手数料は、以下のとおりです。
| 目的価額 | 手数料 |
|---|---|
| 50万円以下 | 3,000円 |
| 50万円を超え100万円以下 | 5,000円 |
| 100万円を超え200万円以下 | 7,000円 |
| 200万円を超え500万円以下 | 13,000円 |
| 500万円を超え1,000万円以下 | 20,000円 |
| 1,000万円を超え3,000万円以下 | 26,000円 |
| 3,000万円を超え5,000万円以下 | 33,000円 |
| 5,000万円を超え1億円以下 | 49,000円 |
| 1億円超 | 金額に応じて加算 |
離婚公正証書では、慰謝料と財産分与を合算して1件分の手数料を算定し、養育費は別個に算定したうえで合計します。
養育費だけを定める場合と、慰謝料・財産分与もあわせて記載する場合とでは、手数料の総額が変わる点に注意してください。
なお、証書の枚数が4枚(横書きの証書は3枚)を超えると、1枚ごとに300円が加算されます。
【参考元】12 手数料 | 日本公証人連合会
正本・謄本の交付手数料|1枚300円
公正証書の正本・謄本の交付には、作成手数料とは別に、用紙1枚につき300円の交付手数料がかかります。
公正証書を作成すると、原本は公証役場に保管され、当事者には正本や謄本が交付されます。
| 正本 | 強制執行の申立てなどに使用できる書面 |
|---|---|
| 謄本 | 謄本は内容確認や保管に使う写し |
交付手数料は「枚数×部数」で計算されるため、記載する条件が多くページ数が増えるほど実費もかさみます。
全体で数千円程度を見込んでおくとよいでしょう。
将来の強制執行に備えるなら、支払いを受ける側が正本を保管しておくのが一般的です。
作成前に、必要な部数を公証役場へ確認しておいてください。
送達・送達証明の手数料|合計1,900円〜
未払いに備えて公正証書の謄本を相手方へ送達する場合、送達手数料1,600円と送達証明手数料300円、合計1,900円がかかります。
送達とは、公正証書の謄本を支払義務者(債務者)へ正式に送り届ける手続きです。
養育費や慰謝料の未払いで強制執行を申し立てるには、原則として事前の送達と、送達済みを証明する「送達証明書」が必要になります。
送達の方法は、以下の2種類です。
| 種類 | 概要 | 費用 |
|---|---|---|
| 交付送達 | 公正証書の作成当日に、公証役場で相手へ手渡す方法 | 1,900円 |
| 特別送達 | 郵送で届ける方法 | 1,900円+郵送料 |
相手本人が公証役場に出向いて作成するケースでは、当日に交付送達まで済ませられ、費用と手間を抑えられます。
強制執行を見据えるなら、作成時に送達もあわせておこなっておきましょう。
年金分割合意の手数料|原則13,000円
年金分割合意を単独で公正証書にする場合の作成手数料は、原則として1万3,000円です。
別途、公正証書の正本・謄本の交付手数料などがかかる場合があります。
年金分割を盛り込む際は、年金事務所で取得できる「年金分割のための情報通知書」や、基礎年金番号がわかる資料を事前に準備しなければなりません。
なお、年金分割の合意は、公正証書ではなく私署証書の認証(手数料6,500円)で対応できるケースもあります。
どちらが適しているか迷うときは、公証役場や弁護士に確認してみてください。
【参考元】公証人手数料|日本公証人連合会
離婚の公正証書の作成費用を計算する際のポイント
離婚公正証書の作成費用は、以下のポイントを意識して整理すると見積もりやすくなります。
それぞれについて、詳しく解説します。
費用は養育費・慰謝料・財産分与などの内容で変わる
離婚公正証書の費用は、どの離婚条件をいくらで記載するかによって変わります。
養育費・慰謝料・財産分与などに関する公正証書は、それぞれの金額をもとに目的価額が算定されるためです。
記載する項目が多く、金額が大きいほど、手数料も高くなると考えておきましょう。
一方、面会交流のルールや清算条項など、金額に換算できない条件には、それ自体の手数料はかかりません。
ただし、記載事項が増えれば証書の枚数が増え、枚数加算や交付手数料が上がる可能性はあります。
養育費は最長5年分を基準に手数料が計算される
養育費を公正証書に記載する場合、手数料計算の基準となる目的価額は、支払総額のうち最長5年分です。
たとえば月額4万円の養育費なら、「4万円×12ヵ月×5年=240万円」が目的価額の目安になります。
子どもが成人するまでなど、実際の支払期間が5年を超える場合でも、全期間分では計算されません。
仮に15年間支払う取り決めでも、手数料の算定上は5年分が上限です。
なお、「5年分」の基準は、2025年10月1日施行の公証人手数料令の改正によるものです。
改正前は10年分が基準だったため、古い情報をもとに試算しないように注意しましょう。
個別の事情により扱いが異なる場合もあるため、正確な手数料は公証役場に確認してください。
弁護士・行政書士に依頼する場合は専門家費用が加わる
公正証書の作成を弁護士や行政書士に依頼する場合、公証役場に支払う費用とは別に専門家費用がかかります。
行政書士に依頼できるのは、夫婦間で合意済みの内容を書面化する業務が中心です。
一方、弁護士には書面化に加えて、離婚条件の妥当性チェックや法的助言、相手方との交渉まで依頼できます。
費用は「文案の作成・チェックのみ」か「交渉・相談込み」かで大きく変わり、依頼範囲が広いほど高くなるのが一般的です。
離婚条件について揉めている場合や、提示された条件が不利でないか確認したい場合は、交渉や法的判断に対応できる弁護士への依頼が適しています。
総額を比較する際は、金額だけでなく対応範囲もあわせてチェックしてください。
離婚時の公正証書の費用シミュレーション
離婚公正証書の費用は、記載する内容ごとにシミュレーションすると把握しやすくなります。
代表的な3つのケースの費用感は、以下のとおりです。
| ケース | 作成手数料の目安 |
|---|---|
| 養育費のみ(月5万円) | 13,000円 |
| 養育費(月3万円)+慰謝料200万円 | 14,000円 |
| 養育費(月5万円)+慰謝料200万円+財産分与500万円 | 33,000円 |
上記に加えて、正本・謄本の交付手数料や送達関連の実費が数千円程度かかります。
それぞれの計算過程と、弁護士に依頼した場合の総額目安を見ていきましょう。
養育費のみを公正証書にする場合
養育費のみを記載する場合は、月額をもとに5年分の支払総額を目的価額として試算します。
たとえば月額5万円の養育費を子どもが18歳になるまで支払う取り決めなら、目的価額は「5万円×12ヵ月×5年=300万円」です。
手数料表の「200万円を超え500万円以下」に該当し、作成手数料は13,000円になります。
これに正本・謄本の交付手数料(1枚300円×枚数×部数)と、送達・送達証明の手数料1,900円を加えた、2万円弱が総額の目安です。
養育費と慰謝料を記載する場合
養育費と慰謝料を記載する場合は、それぞれ別個に手数料を算定して合算します。
たとえば月額3万円の養育費と慰謝料200万円を取り決めるケースの計算は、以下のとおりです。
| ①養育費 3万円×12ヵ月×5年=180万円 → 手数料7,000円 ②慰謝料 200万円 → 手数料7,000円 ③作成手数料の合計 14,000円 |
慰謝料は一括払い・分割払いを問わず、合意した金額をもとに目的価額を算定します。
分割払いにする場合は、支払期限に加えて、支払いが遅れた際に残額を一括請求できる「期限の利益喪失条項」も検討しておきましょう。
養育費・慰謝料・財産分与を記載する場合
養育費・慰謝料・財産分与を全て記載する場合は、目的価額が大きくなり、手数料も高くなりやすい傾向にあります。
たとえば月額5万円の養育費、慰謝料200万円、財産分与500万円を取り決めるケースの計算は、以下のとおりです。
| ①養育費 5万円×12ヵ月×5年=300万円 → 手数料13,000円 ②慰謝料 200万円+財産分与500万円=700万円 → 手数料20,000円 ③作成手数料の合計 33,000円 |
財産分与に不動産や退職金が含まれる場合は、登記簿謄本や査定書などの必要資料が増えます。
とくに不動産は、名義変更の登記や住宅ローンの残債の問題も絡み、条項の設計を誤ると離婚後のトラブルにつながりかねません。
費用が高いか安いかだけでなく、将来の紛争を防げるかという観点から、弁護士に内容を確認してもらうのがおすすめです。
弁護士に依頼した場合の総額目安
弁護士に依頼する場合は、公証役場の手数料・実費に加えて、相談料や書面作成費用、交渉を依頼する場合はその費用がかかります。
依頼範囲ごとの費用の目安は、以下のとおりです。
| 依頼範囲 | 費用の目安 |
|---|---|
| 法律相談 | 1時間あたり5,000〜1万円程度 |
| 公正証書の作成サポート・内容チェック | 3万円〜10万円程度 |
| 相手との交渉+離婚協議書の作成 | 30万円〜60万円程度 |
公正証書の作成サポートだけを依頼する場合と、離婚条件の交渉まで依頼する場合では、費用が大きく変わります。
養育費・財産分与・慰謝料・面会交流などの条件で争いがある場合は、有利な条件を引き出すためにも弁護士に交渉代理まで依頼するほうがおすすめです。
【関連記事】離婚の弁護士費用の総額はいくら?内訳・相場・抑える方法・注意点を解説
離婚時の公正証書の費用は誰が・いつ払う?完成までの期間は?
離婚公正証書の費用を誰が払うかについて、法律上の決まりはありません。
夫婦の話し合いで自由に決められるため、離婚条件とあわせて費用負担も取り決めておくのが一般的です。
支払いのタイミングは、原則として公正証書の完成時(正本・謄本の交付時)。
完成までの期間は約1ヵ月が目安です。
費用負担・支払時期・完成までの流れを、順に確認していきましょう。
費用は当事者のどちらかが負担する
公正証書の作成費用は、夫婦のどちらが負担しても問題ありません。
「夫が払う」「妻が払う」といった法律上のルールはなく、話し合いで自由に決められます。
実務上よくある負担パターンは、以下のとおりです。
| 負担パターン | 具体例 |
|---|---|
| 折半 | 夫婦で2分の1ずつ負担する |
| 一方が全額負担 | 養育費・慰謝料を支払う側、または作成を強く希望した側が負担する |
| 項目ごとに分担 | 作成手数料は折半し、送達費用は受け取る側が負担する など |
注意したいのは、費用負担で揉めて公正証書の作成自体が頓挫するケースです。
数千円〜数万円の負担をめぐって作成が遅れると、その間に相手の気が変わるリスクもあります。
離婚条件を話し合う際に、費用負担についても合意し、書面に残しておくとスムーズでしょう。
支払いは公正証書が完成したとき
公証役場に支払う手数料は、原則として公正証書の正本・謄本が交付されるタイミングで支払います。
支払方法は現金またはクレジットカードです。
つまり、公証役場への相談や文案調整の段階で、先にお金を求められる心配は基本的にありません。
作成当日に、作成手数料・交付手数料・送達関連の手数料をまとめて精算するイメージです。
【参考元】「クレジットカード決済」について | 日本公証人連合会
公正証書完成までの期間は約1ヵ月
離婚公正証書の完成までの期間は、合意内容の整理から数えて約1ヵ月が目安です。
一般的な流れは、以下のようになります。
- 夫婦で離婚条件を話し合い、合意内容を整理する
- 公証役場へ相談・申し込みをする
- 公証人が文案を作成し、夫婦双方が内容を確認する
- 予約した作成日に夫婦(または代理人)が公証役場へ出向き、署名・押印する
- 正本・謄本の交付を受け、手数料を支払う
夫婦間で条件がすでに固まっていれば、手続きはスムーズに進みます。
一方、条件が曖昧なまま相談した場合や、公証役場の予約が混み合っている場合は、1ヵ月以上かかるケースも珍しくありません。
離婚届の提出日や引っ越し、子どもの転校などの予定があるなら、そこから逆算して早めに動き出すのが大切です。
約1ヵ月はあくまで目安であり、正確な所要期間は公証役場や合意状況によって異なる点も押さえておきましょう。
費用をかけてでも離婚時に公正証書を作成するメリット
離婚公正証書の作成には数千円〜数万円の費用がかかりますが、離婚後の金銭トラブルを防ぐ効果を考えると、費用をかける価値は十分にあります。
ここでは、離婚時に公正証書を作成する3つのメリットについて詳しく解説します。
離婚協議書よりも証拠力が高い
公正証書は公証人が作成する公文書であり、夫婦間で作成する離婚協議書よりも証拠力が高いのが特徴です。
離婚協議書はあくまで私文書のため、離婚後に「そんな内容に合意していない」「署名は本人のものではない」といった争いになる余地が残ります。
一方、公正証書は公証人が夫婦双方の本人確認と意思確認をおこなったうえで作成する書面です。
原本は公証役場に長期間保管され、紛失や改ざんの心配もありません。
離婚後の「言った・言わない」の水掛け論を防ぐうえで、公正証書は強力な備えになるといえるでしょう。
養育費・慰謝料の未払いリスクを抑えられる
公正証書を作成する過程では、支払金額・支払日・支払方法・支払期間を具体的に定めるため、離婚後の認識違いによる未払いを防ぎやすくなります。
特に注意したいのが、長期にわたる養育費や分割払いの慰謝料です。
口約束のままだと、数年後に「そこまで払う約束はしていない」と主張され、支払いが止まってしまうケースもあるでしょう。
厚生労働省の調査でも、養育費を継続して受け取れている母子世帯は3割に満たないとされており、取り決めを明確な形で残す重要性がうかがえます。
【関連記事】養育費を払わないとどうなる?払わないでよいケース・払わない場合の対処法も解説
強制執行認諾文言を入れれば未払い時に備えやすい
強制執行認諾文言とは「支払いを怠った場合は直ちに強制執行を受けても異議がない」と債務者が認める条項です。
この文言を入れた公正証書があれば、養育費などが未払いになった際、裁判を起こさずに給与や預貯金の差し押さえを申し立てられます。
通常、強制執行には、裁判や調停を経て取得する債務名義(判決や調停調書など)が必要です。
強制執行認諾文言付きの公正証書はそれ自体が債務名義となり、時間と費用を大幅に節約できます。
逆にいえば、この文言がない公正証書では、未払いが起きても直ちに強制執行はできず、改めて法的手続が必要になりかねません。
養育費や分割払いの慰謝料を定めるなら、記載漏れがないか必ず確認してください。
【関連記事】離婚の公正証書は作成すべき理由とは?作成しないリスクや作成手順も解説
離婚時の公正証書の費用を抑える方法
離婚公正証書の費用を抑えるには、夫婦で合意内容を整理したうえで、専門家に依頼する範囲を必要な部分に絞るのがポイントです。
ただし、安さだけを優先すると、条項の不備による未払いや不利な合意につながるおそれもあります。
費用と安全性のバランスを意識しながら読み進めてください。
夫婦で合意内容を整理してから公証役場へ相談する
公証役場へ相談する前に、夫婦で離婚条件を整理しておくと、手続きがスムーズに進み、余計な手間や専門家費用を抑えやすくなります。
最低限、以下の項目をメモにまとめておきましょう。
- 養育費の金額・支払日・支払期間・支払方法
- 慰謝料の有無と金額、支払方法
- 財産分与の対象と分け方
- 面会交流の頻度やルール
- 年金分割の有無
合意内容が曖昧なままだと、公証役場での確認や文案の修正が何度も発生し、完成までの期間が延びる原因になります。
整理の段階で条件に不安が出てきた場合は、公証役場へ行く前に弁護士へ確認しておくと安心です。
専門家に依頼する範囲を必要な部分に絞る
専門家費用を抑えたい場合は、依頼範囲を必要な部分に絞るのが有効です。
夫婦間で条件がすでにまとまっているなら、文案のチェックや公正証書作成のサポートのみを依頼する選択肢があります。
一方、条件の交渉や相手方とのやり取りが必要な場合は、弁護士への依頼範囲が広がり、費用も上がりやすくなります。
ただし、費用を絞る場合でも、強制執行認諾文言や財産分与などの重要な条項については、専門家のチェックを検討してください。
数万円の節約が、将来の数百万円の未回収につながっては本末転倒です。
複数の専門家に見積もりを取る
弁護士や行政書士に依頼する場合は、複数の専門家から見積もりを取ると、費用や対応範囲を比較しやすくなります。
同じ「公正証書作成サポート」という名目でも、事務所によって以下の点が異なります。
- 相談料の有無
- 文案作成料に含まれる修正回数
- 公証役場との調整を代行してくれるか
- 作成当日に代理出席してもらえるか
比較の際は、金額だけでなく、離婚問題の解決実績や説明のわかりやすさ、リスクをきちんと指摘してくれるかも確認しましょう。
安さだけで決めるのではなく、将来のトラブル防止に必要なサポートを受けられるかの見極めが大切です。
離婚時の公正証書を自分で作成する場合の注意点
離婚公正証書は、専門家に依頼せず、自分たちで作成準備を進める方法もあります。
ただし、条項に不備があったり、相手の協力を得られなかったりすると、費用をかけた公正証書が十分に機能しないおそれもあります。
自分で作成する場合は、以下の4つの注意点を押さえておきましょう。
離婚条件の交渉は自分で進める必要がある
公証役場は、夫婦が合意した内容を公正証書にする機関であり、離婚条件の交渉を代わりに進めてくれる場所ではありません。
養育費・慰謝料・財産分与・面会交流などの条件は、原則として夫婦間の話し合いで決める必要があります。
公証人は中立の立場のため、「どちらに有利か」「相場より安すぎないか」といった助言もおこないません。
条件がまとまっていない状態では、そもそも公正証書の作成まで進めないのが実情です。
相手と直接話し合うのが難しい場合や、金額で揉めている場合は、交渉を代理できる弁護士への相談を検討してください。
支払金額・期限・方法が曖昧だとトラブルになりやすい
「できる範囲で支払う」「余裕があるときに払う」といった曖昧な記載は、離婚後のトラブルの火種になります。
金額・支払日・支払方法・支払期間は、必ず具体的な数字で定めてください。
たとえば養育費なら、「毎月5万円を毎月末日限り、○○名義の口座に振り込む。支払期間は子が18歳に達した後の3月まで」といった形です。
分割払いを定める場合は、支払いが遅れたときの扱いや、残額を一括請求できる期限の利益喪失条項も検討しましょう。
文案に不安があれば、公証役場へ持ち込む前の弁護士チェックが安心です。
【関連記事】離婚協議書の書き方ガイド|無料テンプレートや自分で作成する際のポイントも紹介
相手が公証役場へ出向くことを拒むと作成できないことがある
公正証書の作成には、原則として当事者双方の意思確認が必要です。
夫婦本人(または委任を受けた代理人)が公証役場に出向かなければならず、相手が協力を拒めば作成は進みません。
特に注意したいのが、公正証書よりも先に離婚届を提出するケースです。
離婚が成立した途端に相手が態度を変え、「もう払う気はない」と作成を拒否される例も少なくありません。
できる限り、離婚届の提出前に合意内容を固め、公正証書を完成させておきましょう。
相手がすでに拒否している場合は、弁護士による交渉や、家庭裁判所の調停の利用を検討してください。
強制執行認諾文言がないと未払い時にすぐ差し押さえできない
せっかく公正証書を作成しても、強制執行認諾文言が入っていなければ、未払いが起きたときに直ちに強制執行できない可能性があります。
強制執行認諾文言のない公正証書は債務名義にならず、差し押さえするためには改めて裁判や調停などの手続きが必要です。
特に注意したいのが、ネット上のテンプレートをそのまま利用するケースです。
文言の有無や記載方法、対象となる条項に不安があるなら、作成前に弁護士へ確認しておきましょう。
離婚時の公正証書の作成を弁護士に相談したほうがよいケース
弁護士に相談すれば、離婚時の養育費・慰謝料・財産分与の金額が妥当か、不利な条件になっていないかを法的な観点から確認できます。
また、相手方との交渉は弁護士にしか依頼できず、行政書士や公証役場では対応できない領域もカバー可能です。
ここでは、離婚時の公正証書の作成を弁護士に相談したほうがよいケースについて詳しく解説します。
養育費・慰謝料・財産分与の金額で揉めている
金額面で揉めている場合、相場や算定根拠がわからないまま合意すると、不利な条件を受け入れてしまうおそれがあります。
弁護士に相談すれば、双方の収入や婚姻期間・子どもの人数・財産状況などをもとに、裁判所の算定表や過去の裁判例を踏まえた妥当な金額を検討できます。
話し合いが平行線をたどっている場合は、交渉の代理や、調停への移行も見据えた相談が可能です。
揉めたまま自己流で公正証書を作るより、早い段階で専門家を入れたほうが結果的に早く解決するケースも少なくありません。
相手が支払いに応じない可能性がある
以下のような場合は、離婚後の未払いリスクは高いといえます。
- 相手の収入が不安定
- 過去に約束を守らなかった
- 連絡が取りにくい など
こうしたケースでは、強制執行認諾文言を入れるだけでなく、支払条件をより具体的に設計しておく必要があります。
たとえば、ボーナス月の増額や、遅延時に一括請求を求める条項などです。
また、実際に強制執行するには、相手の勤務先や財産の情報が欠かせません。
差し押さえの実効性まで見据えて備えるためにも、公正証書の作成前に弁護士へ相談しておくと安心でしょう。
不利な条件で合意しそうになっている
離婚条件を十分に理解できていなかったり、明らかに不利な条件を提示されていたりする場合は、署名・押印の前に必ず弁護士へ相談してください。
一度公正証書にした内容をあとから変更するには、原則として相手の合意が必要です。
「養育費はいらない」「財産分与を放棄する」といった合意をすると、離婚後の生活に大きな影響が及びかねません。
不安を抱えたまま署名するのは危険です。
専門家である弁護士の助言を受けてから、納得のうえで合意しましょう。
自分で作成するのが不安で法的リスクを確認したい
テンプレートや見本を使って自分で文案を作るのが不安な場合も、弁護士への相談が有効です。
ネット上のテンプレートは便利ですが、養育費・面会交流・財産分与・住宅ローン・年金分割など、家庭ごとの事情までは反映されていません。
合わない条項をそのまま使うと、かえってトラブルの原因になるおそれもあります。
全面的な依頼が難しい場合でも、初回無料相談で疑問点を解消したり、文案チェックだけを頼んだりする方法があります。
費用を抑えつつリスクを減らせるため、自作派の方こそ活用を検討してみてください。
離婚の公正証書の費用についてよくある質問
最後に、離婚公正証書の費用や作成方法に関するよくある質問に回答します。
迷ったときの判断材料として活用してください。
離婚後でも公正証書を作成できる?
離婚後でも、元夫婦の双方が合意していれば公正証書を作成できます。
ただし、離婚成立後は相手が作成に協力しなくなるリスクが高まるため、順番としては、離婚届の提出前に公正証書を完成させておくのがおすすめです。
すでに離婚しており、相手が話し合いに応じない場合は、弁護士による交渉や、家庭裁判所での養育費請求調停などの手続きを検討してください。
作成途中でキャンセルした場合に費用はかかる?
作成途中でキャンセルした場合でも、公証人が文案の作成に着手したあとであれば、それまでの作業に応じた手数料を求められる可能性があります。
弁護士や行政書士に依頼しているときも、原則として着手金は返金されません。
依頼前に、キャンセル時の費用の扱いを契約書や見積書で確認しておきましょう。
【参考元】12 手数料 | 日本公証人連合会
公正証書を作れば養育費を必ず回収できる?
公正証書を作成しても、養育費を必ず回収できるとは限りません。
強制執行認諾文言付きの公正証書があれば、未払い時に差し押さえを申し立てやすくなります。
しかし、相手の勤務先や財産が不明な場合、差し押さえる対象を特定できず、実際の回収が難しくなるケースもあるのが実情です。
未払いに備えるには、支払条件の明確化に加えて、相手の勤務先や連絡先などの情報も把握しておきましょう。
離婚時の公正証書の作り方は?
離婚公正証書は、以下の流れで作成します。
- 養育費・慰謝料・財産分与・面会交流・年金分割などの条件を夫婦で話し合う
- 合意内容をメモや離婚協議書案にまとめる
- 公証役場へ相談・予約し、公証人に文案を作成・確認してもらう
- 作成当日に夫婦本人(または代理人)が公証役場へ出向き、本人確認書類を提出して署名・押印する
未払いに備えたい場合は、強制執行認諾文言を忘れずに入れてください。
文案に不安があれば、弁護士のチェックを受けると安心です。
離婚時の公正証書には何を書けばよい?
離婚公正証書には、養育費・慰謝料・財産分与・面会交流・年金分割・清算条項など、離婚後のトラブル防止に必要な条件を記載します。
養育費は金額・支払日・支払期間・支払方法を具体的に定め、慰謝料や財産分与は一括か分割か、期限、遅延時の扱いまで明確にしておきましょう。
金銭の支払いを定める場合は、強制執行認諾文言の記載も必要です。
離婚時の公正証書はテンプレートを使って自分で作成できる?
テンプレートを参考にすれば、公正証書のたたき台を自分で作成できます。
ただし、養育費や財産分与、住宅ローン、年金分割などの事情は家庭ごとに異なり、テンプレートをそのまま使うと実態に合わない条項が残るおそれがあります。
とくに強制執行認諾文言や支払条件に不備があると、未払い時に対応できません。
テンプレートを使う場合でも、最終的には弁護士に内容を確認してもらうと安心でしょう。
まとめ|離婚時の公正証書の作成については弁護士に相談しよう
離婚公正証書の費用は、公証役場に支払う作成手数料や実費で数千円〜数万円かかります。
弁護士に公正証書の作成を依頼する場合は弁護士費用も追加で必要です。
手数料は養育費・慰謝料・財産分与などの金額に応じて変わるため、自分のケースでいくらかかるのか事前に確認しておきましょう。
自分で作成すれば費用は抑えられますが、支払条件が曖昧だったり、強制執行認諾文言が漏れていたりすると、離婚後の未払いに対応できないおそれがあります。
相手と条件面で揉めている方や、不利な合意をしないか不安な方は、署名の前に弁護士へ相談するのが確実です。
「ベンナビ離婚」なら、離婚問題に強い弁護士を地域や相談内容から探せます。
初回相談無料の法律事務所も多数掲載されているので、まずは無料相談を活用して、自分の状況に合ったアドバイスを受けてみてください。
