近くの弁護士・法律事務所を探せる検索サイト

症状固定とは?医師から診断されるまでの流れと目安、よくあるトラブル・対処法を解説

弁護士監修記事
交通事故
2025年03月27日
2025年03月27日
症状固定とは?医師から診断されるまでの流れと目安、よくあるトラブル・対処法を解説
この記事を監修した弁護士
馬場 大祐弁護士 (わたらせ法律事務所)
「任せてよかった」と思っていただけるように、結果はもちろん、解決までのプロセスも大切にし、1人のパートナーとしてご相談者様のご負担を少しでも軽減できるようにご対応いたします。
法律事務所のプロフィールを見る
  1. 「医師から症状固定の診断を受けたけど、どういう意味?」
  2. 「症状固定になったらどうすべき?」

交通事故の被害に遭ったあと、しばらく治療を続けていると「症状固定」という診断を受けることがあります。

なかには、相手方の保険会社から「そろそろ症状固定にしましょう」と打診され方もいるでしょう。

実は、症状固定はその後の治療費などの損害賠償や慰謝料にかかわる重要なキーワードです。

適切な治療費や慰謝料を受け取るためにも、しっかりと意味を理解しておく必要があります。

そこで本記事では、症状固定の基礎知識に加え、症状固定を受け入れるべき基準や症状固定後にすべきことを解説します。

治療を続けたい方や、損害賠償で損をしたくない方に役立つはずです。ぜひ参考にしてください。

今すぐ無料相談電話相談OKの弁護士が見つかる!
ベンナビ交通事故で
交通事故に強い弁護士を探す

症状固定とは?最初に知っておきたい5つの基本情報

交通事故でけがを負ったら、病院で治療をしなければなりません。

その後、治療開始から一定期間が経過すると、医師が「症状固定」と判断したり、加害者側の任意保険会社から症状固定を申し入れられたりします。

まずは、症状固定の意味について詳しく見ていきましょう。

症状固定ってどんな意味なの?

症状固定とは、治療を続けてもそれ以上の改善が見込めない状態を指します。

ただし、症状固定は医学的な概念ではありません。

あくまでも、損害賠償や慰謝料の請求などに向けた「法的な区切り」をつけるためのものだと理解しておきましょう。

交通事故に遭ったら、入通院費や精神的苦痛に対して加害者に損害賠償を請求できます。

しかし、損害賠償を請求できるのは、基本的には症状固定または完治のあとです。

そのため、これ以上治癒しない可能性が高い症状について治療を続けることは、被害者が賠償金を受け取れない状況を生むほか、加害者が負担する治療費が高額になることにつながります。

そこで、治療から一定期間が経過すると医師が症状固定と診断し、治療に区切りを付けることになるのです。

また、治癒を目指すための治療法があるとしても、被害者がその治療法を望まない場合には症状固定となるケースがあります。

とはいえ、症状固定は損害賠償金額に関係するため、被害者にとっても加害者にとっても診断の時期が重要です。

なお、症状固定になると治療を続けられないのかというと、そうではありません。

症状固定は、あくまでも損害賠償請求のための区切りです。

治療を続けても治癒していないということは、後遺障害が残っているということでもあります。

症状固定となったあとに後遺障害等級の認定を受ければ、後遺障害に対する慰謝料も受け取ることが可能です。

症状固定の診断は誰がするの?

症状固定の判断は、通常は主治医がおこなうものです。

適切な時期に症状固定の診断を受けなければ、適切な治療やリハビリを受けられないうえに、適切な損害賠償請求ができません。

しかし、交通事故の治療に詳しくない医師の場合、加害者側の任意保険会社からの申し入れなどによって早期に症状固定を判断してしまうケースもあります。

症状固定の時期は、損害賠償の金額に大きく関わるものです。

そのため、症状固定の判断を医師や保険会社に任せきりにするのではなく、自分自身でも本当に適切なタイミングなのかを考えましょう。

けがの状態や回復の具合は、レントゲンなどで全て確認できるものではありません。

画像で所見がなくても痛みが残るなど、自覚症状があるならきちんと伝えて治療を続けてもらいましょう。

なお、加害者側の任意保険会社から症状固定を申し入れられても、簡単に応じないようにしてください。

加害者側の任意保険会社は、なるべく少ない損害賠償金額で示談がまとまるように努めるものです。

そのため、治療費の支払いを打ち切ると告げられたとしても受け入れるのはおすすめできません。

症状固定を決めるのは、あくまでも主治医です。

加害者側の任意保険会社が話を聞き入れてくれない場合は、医師や弁護士に相談しましょう。

症状固定と診断されると何が変わるの?

症状固定の前と後では、損害賠償として請求できる項目が異なります。

まず、治療費などの損害賠償が認められるのは、原則として症状固定までです。

症状固定の診断は、これ以上治療を続けても症状が改善しないと判断されたことを意味します。

そのため、症状固定以降は事故に関連する損害とは認められず、治療費は請求できないのです。

しかし、固定された症状を維持するために治療を続けなければならないケースは例外です。

その場合は、症状固定のあとでも治療費などの請求が認められる可能性があります。

たとえば、重度後遺障害が残ってしまい、生命を維持するために治療を継続する必要がある場合などです。

なお、症状固定後は、精神的苦痛に対して後遺障害逸失利益や後遺障害慰謝料を請求できるようになります。

ただし、これは後遺障害等級が認定された場合のみです。

症状固定と診断されたあとは何をするの?

症状固定と診断されたら、後遺障害等級の認定を受ける準備をしましょう。

症状固定となったあとは、傷病の治療に対する慰謝料請求はできなくなりますが、後遺障害等級の認定を受ければ、後遺障害に対しての慰謝料請求が可能です。

後遺障害等級には、第1級〜第14級までが定められており、数が小さいほど重い障害であることを意味します。

たとえば、第14級は次のような症状です。

  1. 眼のまぶたの一部が損傷している
  2. 歯が3本以上インプラントになった
  3. 1メートル以上の距離があると小声が聞こえない
  4. 肌の見える場所に手のひらサイズの傷などが残った など

また、最も重い障害である第1級に該当するのは、次のようなものです。

  1. 両方の目が見えなくなった
  2. 話すことができなくなった
  3. 手足を失ってしまった など

後遺障害等級の認定を受けるには、加害者側の保険会社に任せる方法と自分で手続きをする方法があります。

おすすめなのは、自分で手続きをする方法です。

保険会社に手続きを任せれば手間はかかりませんが、最低限の資料しか提出してもらえない可能性があります。

適切な後遺障害認定を受けるためにも、自分で手続きをおこなうか、弁護士へ相談するようにしましょう。

症状固定後は通院やリハビリも終了するの?

症状固定後も、通院やリハビリをすることは可能です。

しかし、症状固定後は基本的に加害者側の任意保険会社から治療費を支払ってもらうことはできません。

とはいえ、症状固定後に後遺障害認定を受ける場合は、認定が下りるまで通院を続けるのがおすすめです。

なぜなら、認定が下りなかった場合や認定内容に納得がいかない場合、「症状固定後も通院を続けていること」を根拠に異議を申立てられるからです。

逆に、症状固定後にまったく通院していないと、後遺障害認定が認められなくなるリスクもあるでしょう。

治療費は自己負担になってしまいますが、医師と相談のうえで定期的に通院するように心がけてください。

なお、後遺障害等級の認定を受けたあとに治療やリハビリを続けるかどうかは本人次第です。

通院の必要があるかどうか医師に相談してみましょう。

事故発生から症状固定と診断されるまでの流れ|3ステップ

事故に遭ってしまったあと、症状固定になるまでにはどのようなステップを踏むのでしょうか。

以下では、主な流れについて紹介します。

1.事故後に医療機関を受診する

交通事故に遭ってしまったら、必ず医療機関を受診しましょう。

症状固定になるようなけがの場合は自覚症状があることが多いですが、交通事故直後は興奮状態になり、痛みを感じにくくなることも少なくありません。

また、目に見える症状だけでなく、レントゲンやMRIを撮影しなければわからないけがもあります。

被害に遭ったらなるべく日をあけずに病院やクリニックへ行きましょう。

もしも当日行けなかった場合でも、遅くとも2~3日以内に受診してください。

がをしてすぐに医療期間に行かなければ、けがとの因果関係を証明しづらくなります。

そうすると、保険会社に治療が必要なかったと判断され、損害賠償請求ができなくなってしまうおそれがあります。

なお、受診する医療機関が決まったら、加害者側の任意保険会社にどこで受診するかを伝えましょう。

保険会社に連絡したあと、次のような書類が届くため、記入や署名をして提出してください。

  1. 一括対応の同意書
  2. 通院交通費明細書
  3. 休業損害証明書
  4. 個人情報取得に関する同意書 など

また、けがをした場合は警察へ人身事故として届け出をすることも忘れてはいけません。

けがを申し出なければ物損事故として処理されてしまう可能性があります。

けがに気づかず、受診後にけがが発覚した場合は、警察に届け出をし直しましょう。

2.医師の指示に従い治療を続ける

医療機関を受診したら、医師の指示に従って治療を受けましょう。

治療を続けなければならない場合は、少なくとも1ヵ月に1度以上は通院をしてください。

損害賠償金額には、症状固定までの期間だけでなく通院日数も関わります。

通院が滞ると、治療の必要がなくなったと捉えられ、保険会社から治療費の支払いが打ち切られてしまうリスクがあります。

ただし、必要以上に通院することはやめましょう。

保険会社にはこれまでの患者情報が蓄積されており、症状に対してあまりに通院日数が多いと不自然に損害賠償金額を引き上げようとしていると考えられてしまいかねません。

3.医師から症状固定の診断を受ける

症状が治癒しないまま一定が過ぎ、それ以上は治療しても改善が見込めなくなれば、医師から症状固定が診断されます。

症状固定になれば治療費の支払いは終了し、次は入通院の慰謝料や後遺障害に関する補償について、保険会社と交渉をすることになります。

また、症状固定となったあとは後遺障害等級の認定を受ける手続きを進めましょう。

後遺障害等級の認定を受ければ、後遺障害に対する慰謝料を受け取ることができます。

今すぐ無料相談電話相談OKの弁護士が見つかる!
ベンナビ交通事故で
交通事故に強い弁護士を探す

【症状別】症状固定と診断されるまでの期間の目安

症状固定が診断されるまでの期間には、目安があります。

以下では、むちうち・骨折・醜状障害・高次脳機能障害の場合の目安期間を見てみましょう。

なお、以下で紹介するのはあくまでも目安の期間であり、実際の期間は症状の重さや医師の判断によって異なります。

むちうち|6ヵ月~1年6ヵ月程度

むちうちの症状固定までの治療期間は、6ヵ月~1年程度が目安です。

むちうちの症状は目に見えず、レントゲンやMRIなどでも明確な所見が見られないケースが多いです。

そのため、後遺障害等級の認定においても実際の症状に加えて、症状の経過が重視される傾向にあります。

骨折|6ヵ月~1年6ヵ月程度

骨折の場合は、手術をするかどうかによって期間は大きく変わります。

手術をしなかった場合では6ヵ月程度が多いのに対し、手術をしなければならなかった場合は1年6ヵ月程度で症状固定となる例が多いです。

ただし、骨折は部位や程度がさまざまです。ネジやプレートを入れる手術が必要だった場合は症状固定までさらに長い期間を要するでしょう。

醜状障害|6ヵ月程度

醜状障害とは、頭・顔・首などの人目につく部分に目立つ傷跡が残ってしまう状態です。

醜状障害では、6ヵ月程度で症状固定となるのが一般的です。

ただし、傷の大きさや深さによって異なります。

なかかでも顔に傷が残った場合は、6ヵ月の時点で症状固定として後遺障害等級の認定の審査を受けるのがよいとされています。

顔の傷跡は時間が経つと縮みやすく、傷跡の大きさによって受けられる等級が異なるからです。

高次脳機能障害|1~2年程度

高次脳機能障害とは、脳に損傷を受けたことによって記憶力・注意力・行動力などに問題が発生してしまった状態をいいます。

リハビリに時間がかかることに加え、脳の変化を待つ必要があるため、症状固定までには数年かかることが多いです。

最低でも1〜2年とされています。

交通事故の被害者が子どもだった場合は、5~8年の経過を見たうえで症状固定に至ることもあります。

症状固定に関するよくあるトラブルとそれぞれの対処法

症状固定においては、加害者側とトラブルになったり、医師の診断に納得できなかったりというケースも少なくありません。

以下では、症状固定に関するよくあるトラブルと対処法を解説します。

1.保険会社から症状固定の打診を受けた場合

医師から症状固定の診断を受けておらず、治療を続けていると、加害者側の任意保険会社から症状固定を提案されるケースは少なくありません。

なぜなら、症状固定となれば保険会社は治療費の支払いを打ち切れるからです。

最終的な症状固定を判断するのは医師ですが、保険会社には症状ごとの症状固定の時期に関する情報が蓄積されています。

そのため、たとえば「通常、むちうちなら6ヵ月経てば症状固定にするものです」などと打診されることがあるのです。

しかし、実際に症状固定とすべきかどうかは、患者の症状によります。

あくまでも診断を決めるのは医師であり、保険会社が決めてよいものではありません。

保険会社から症状固定の打診を受けた場合は、まずは医師に相談しましょう。

医師が、まだ症状固定の段階ではないと判断したら保険会社に説明するべきです。

医師に意見書を作成してもらい、保険会社へ提出するとよいでしょう。

それでも聞き入れてもらえず、治療費を打ち切られた場合は弁護士に相談するのが賢明です。

また、たとえ治療費の支払いが打ち切られても、医師が症状固定の判断をしていないなら、立て替えて治療を継続してください。

続けるべき治療をやめてしまうと、あとから請求することもできず、後遺障害認定をしなければならなくなったときにも不利になってしまいます。

2.まだ改善の余地があるのに医師から症状固定の診断をされた場合

医師から症状固定だと診断され、納得いかないこともあるでしょう。

自覚症状として強い痛みやしびれが残っているなら、治療を続けたい旨を医師に伝えましょう。

なお、医師に相談すると「症状固定にしたうえで治療を続けましょう」といわれることもあります。

しかし、症状固定が決まってしまえば、その後の治療費を加害者に請求することができません。

治療費が打ち切られては困る場合は、明らかに症状固定にしなければならない状態なのかどうか、医師に確認することをおすすめします。

それでも症状固定を先延ばしにしてもらえないときは、別の病院でセカンドオピニオンを求めるのがおすすめです。

また、弁護士に相談し、医師と話し合ってもらうのもよいでしょう。

さいごに|症状固定に関する悩み・不安があれば弁護士に相談しよう!

症状固定は、加害者への損害賠償請求や後遺障害等級の認定において重要な意味を持ちます。

そのため、症状固定の判断や手続きは、慎重におこなわなければなりません。

加害者側の保険会社との交渉が不安なときや症状固定に納得がいかないときは、交通事故トラブルの解決実績が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士のアドバイスやサポートを受け、適切な損害賠償や等級認定を受けましょう。

交通事故の案件に詳しい弁護士を探すなら、ポータルサイト「ベンナビ交通事故」の利用がおすすめです。

全国各地の多くの法律事務所が登録しているため、相談しやすい法律事務所が見つかるでしょう。

初回無料相談・休日相談・オンライン相談などを受け付けている事務所も少なくありません。

ベンナビ交通事故経由でそのまま連絡することも可能です。

ぜひ活用して、信頼できる弁護士を見つけてください。

今すぐ無料相談電話相談OKの弁護士が見つかる!
ベンナビ交通事故で
交通事故に強い弁護士を探す
編集部
本記事はベンナビを運営する株式会社アシロが企画・編集をおこないました。
  • ※ベンナビに掲載されているコラムは、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。
  • ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドライン をご覧ください。
交通事故に関するコラム
交通事故で弁護士と相談する前にやるべき準備と注意点|初めての法律相談でも心配なし
本記事では、交通事故について弁護士に相談する前にすべきことや知っておくべきことについて、詳しく解説します。
交通事故の被害者がやるべきこと|補償される費用や利用できる保険の種類も解説
本記事では、交通事故の被害者になったときの対応策や注意事項、交通事故の被害者が弁護士に相談・依頼をするメリットなどについてわかりやすく解説します。
示談書のテンプレートと書き方|損をしないための示談書作成時の注意点
示談書(じだんしょ)とは、主に交通事故などの民事上の紛争において、加害者と被害者が紛争を解決するために示談した際の内容を記載した文書です。今回は、示談を作成する際の記載内容や注意点、さらに示談金が支払われない際の対策を記載したいと思います。
法テラスなら交通事故の弁護士無料相談や費用立替・免除が使える?注意点も解説
本記事では、費用が理由で弁護士への相談をためらっている方に向けて、法テラスが実施しているサービス内容や利用方法について詳しく解説します。法テラスをうまく活用することで、費用負担を抑えて弁護士へ依頼できる可能性があるので、ぜひ最後までチェックしてください。
もっとみる
地域から弁護士を探す
法律相談を投稿する
離婚・不倫問題 交通事故 相続・遺産トラブル 労働問題 刑事事件 債権回収 借金減額・債務整理 ネット誹謗中傷 企業法務 その他
弁護士の方はこちら