マンション管理費の滞納にどう対応する?回収の流れ・法的手段・時効を解説
督促を続けても管理費を払わない区分所有者がいて、理事会としてどう動くべきか迷っていませんか。
管理費の滞納は、放置すると時効によって回収できなくなる部分が出てきます。
督促状から内容証明郵便、裁判所の手続きへと、滞納期間に応じて段階を上げていくのが基本です。
本記事では、滞納期間別の対応の流れ・回収に使える法的手段・時効を止める方法・やってはいけない対応を解説します。
読み終えるころには、自分たちのマンションがいまどの段階にいて、次に何をすべきかを判断できるようになります。
- マンション管理費の滞納とは|放置すると起こる3つの問題
- マンション管理費の滞納は「時効5年」に注意|時効を止める方法
- マンション管理費の滞納への対応の流れ|滞納期間別の5ステップ
- 滞納管理費を回収する法的手段は5つ|状況に合わせて選ぶ
- マンション管理費の滞納者の状況別の対応方法
- マンション管理費の滞納でやってはいけない3つの対応
- マンション管理費の滞納を弁護士に相談する3つのメリット
- マンション管理費の滞納を弁護士に依頼した場合の費用の目安
- マンション管理費の滞納を防ぐための4つの対策
- 管理費を滞納している方へ|払えないときは早めに管理組合へ相談を
- マンション管理費の滞納に関する悩みは「ベンナビ法律相談Q&A」で解決しよう
- マンション管理費の滞納に関するよくある質問
- まとめ
マンション管理費の滞納とは|放置すると起こる3つの問題
マンション管理費の滞納とは、区分所有者が管理規約で定められた期日までに管理費や修繕積立金を支払わない状態のことです。
区分所有者とは、分譲マンションの各部屋(専有部分)を所有している人を指します。
管理費の支払義務は、区分所有法と管理規約にもとづいて区分所有者全員が負っています。
自分が住んでいない部屋や、賃貸に出している部屋であっても、支払義務を負うのは区分所有者です。
滞納を放置すると、主に次の3つの問題が起こります。
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放置すると起こる問題 |
内容 |
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修繕・管理が滞る |
清掃や設備点検の費用、大規模修繕の積立金が不足し、建物の劣化が進む |
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区分所有者の間に不公平が生じる |
きちんと払っている人の不満が高まり、管理費の値上げなどの合意形成が難しくなる |
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時効で回収できなくなる |
古い月の分から順に時効が完成し、請求できる金額が減っていく |
滞納額が少ないうちに動くほど、選べる回収手段は多くなります。
【参考】建物の区分所有等に関する法律第19条|e-Gov法令検索
マンション管理費の滞納は「時効5年」に注意|時効を止める方法
滞納された管理費は、各支払期日から5年で時効にかかり、請求できなくなるのが原則です。
2020年4月1日施行の改正民法では、債権は「権利を行使できることを知った時から5年」で時効にかかると定められています。
改正前の民法のもとでも、最高裁判所は管理費を5年の短期消滅時効の対象と判断していました(最高裁平成16年4月23日判決)。
管理費は月ごとに支払期日が来るため、たとえば6年分たまっている場合は、最も古い1年分がすでに時効にかかっている可能性があります。
時効は、次の方法で止められます。
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方法 |
効果 |
注意点 |
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催告(内容証明郵便などでの請求) |
6か月間、時効の完成が猶予される |
猶予は1回限りで、6か月以内に裁判所の手続きへ進む必要がある |
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支払督促・訴訟の申立て |
手続き中は時効の完成が猶予され、判決などで確定すると時効が新たに進み直す |
確定後の時効期間は10年になる |
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滞納者による承認 |
時効が新たに進み直す(更新) |
一部の支払いや、滞納額を認める書面への署名が承認にあたる |
実務では、滞納分のうち最も古い月が4年を超える前に、支払督促や訴訟に進むのが安全です。
滞納者と分割払いの話し合いができた場合は、滞納総額を明記した合意書に署名してもらうと、時効の更新にもつながります。
マンション管理費の滞納への対応の流れ|滞納期間別の5ステップ

マンション管理費の滞納への対応は、督促から始めて内容証明郵便・決議・裁判所の手続きの順に段階を上げていくのが基本です。
ステップ1:滞納1〜2か月|管理会社が電話・書面で督促する
滞納が始まった直後は、管理委託契約にもとづいて管理会社が電話や書面で督促するのが一般的です。
ただし、管理会社が督促を担う期間は管理委託契約で限られているのが通常です。
国土交通省のマンション標準管理委託契約書でも、一定期間の督促で支払いがなければ、その後の対応は管理組合が行う形が示されています。
理事会は管理会社から毎月の滞納状況と督促の記録を報告してもらい、滞納者を早めに把握しておきましょう。
ステップ2:滞納3か月前後|理事長名で督促状を送る
管理会社の督促でも支払われないときは、理事長名で、管理組合として正式に督促状を送ります。
督促状には、次の項目を記載するのが基本です。
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滞納している月と金額の合計
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支払期限と振込先
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遅延損害金が発生していること
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期限までに支払いがない場合は法的措置を検討すること
可能であれば、滞納者と面談して事情を聞いておくと、その後の方針を決めやすくなります。
ステップ3:滞納3〜6か月|配達証明付き内容証明郵便で請求する
督促状でも支払われなければ、配達証明付きの内容証明郵便で請求し、請求した事実と日付を証拠に残します。
内容証明郵便には、心理的に支払いを促す効果に加えて、時効の完成を6か月間猶予させる効果があります。
ただし、猶予の効果は1回限りなので、6か月以内に支払督促や訴訟へ進む準備を並行して進めることが重要です。
滞納者が受け取りを拒否する場合に備えて、同じ内容を普通郵便でも送っておきましょう。
ステップ4:滞納6か月前後|理事会・総会で法的措置を決議する
管理組合が裁判所の手続きをとるには、管理規約にもとづく理事会または総会の決議が必要です。
区分所有法では、管理者(多くのマンションでは理事長)が規約や集会の決議によって、区分所有者のために原告となって訴訟を起こせると定められています。
国土交通省のマンション標準管理規約では、理事会の決議を経て、理事長が管理組合を代表して法的措置をとれる形が示されています。
規約にもとづいて訴訟を起こしたときは、遅滞なく区分所有者へ訴訟の提起を通知することが必要です。
区分所有法59条にもとづく競売請求は総会の特別決議が必要で、通常の訴訟とは手続きが別です。
ステップ5:決議後|裁判所の手続きで支払いを求める
決議を経たら、支払督促・少額訴訟・通常訴訟のいずれかで支払いを求めます。
裁判所の手続きに進む段階では、弁護士や司法書士に相談して、手続きの選び方から確認してもらうと安心です。
滞納管理費を回収する法的手段は5つ|状況に合わせて選ぶ
滞納管理費の回収に使える法的手段は、支払督促・少額訴訟・通常訴訟・強制執行・59条競売の5つです。
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法的手段 |
向いているケース |
特徴 |
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支払督促 |
滞納の事実に争いがなく、滞納者の住所がわかる |
書類審査だけで進み、手数料は訴訟の半額 |
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少額訴訟 |
滞納額が60万円以下 |
原則1回の審理で判決が出る |
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通常訴訟 |
滞納額が大きい、争いがある、所在がわからない |
時間はかかるが、どのケースにも使える |
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強制執行 |
判決などを得ても支払われない |
預貯金・給与・区分所有権などを差し押さえる |
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59条競売 |
長期・高額の滞納で、他の方法では回収が難しい |
総会の特別決議が必要で、住戸を競売にかける |
迷ったときは、滞納額が60万円以下かどうか、滞納者が争ってくるかどうか、所在がわかるかどうかの3点で絞り込むと判断しやすくなります。
1. 支払督促|書類審査だけで早く・安く進められる
支払督促とは、簡易裁判所の書記官が書類審査だけで、滞納者に支払いを命じる手続きです。
申立先は、原則として滞納者の住所地を管轄する簡易裁判所です。
滞納者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議を出さなければ、仮執行宣言を申し立てられます。
仮執行宣言が付くと、判決と同じように強制執行が可能です。
一方で、滞納者から異議が出れば通常の訴訟に移るため、争いが予想される相手には不向きです。
また、滞納者の住所がわからない場合には利用できません。
滞納の事実に争いがなく、住所がわかっている滞納者には、最初に検討したい手続きです。
2. 少額訴訟|60万円以下なら原則1回の審理で判決が出る
滞納額が60万円以下であれば、原則1回の審理で判決が出る少額訴訟を利用できます。
審理の場で話し合いがまとまれば、分割払いの和解をすることも可能です。
ただし、少額訴訟は同じ簡易裁判所で年10回までしか利用できません。
3. 通常訴訟|金額が大きい・争いがある・所在不明でも使える
滞納額が60万円を超える場合や、滞納者が支払義務を争っている場合は、通常訴訟で判決を得ることになります。
訴える先は、請求額が140万円以下なら簡易裁判所、140万円を超えるなら地方裁判所です。
滞納者の所在がわからない場合でも、公示送達(裁判所の掲示板に掲示することで書類を届けたものとみなす制度)を使えば訴訟を進められます。
最初から争いが予想されるなら、支払督促を経ずに通常訴訟を選ぶほうが早い場合もあります。
4. 強制執行|判決後も払われなければ財産を差し押さえる
判決などを得ても支払われない場合は、強制執行によって預貯金・給与・区分所有権などを差し押さえます。
滞納者の財産がわからないときに使えるのが、財産開示手続や、金融機関・市区町村などから情報を取得する手続です。
また、管理組合は滞納管理費について、区分所有法7条にもとづく先取特権(さきどりとっけん・ほかの債権者より優先して回収できる権利)を持っています。
先取特権を使えば、判決を得なくても滞納者の区分所有権や部屋に備え付けた動産から回収を図ることが可能です。
ただし、住宅ローンの抵当権が設定されている部屋では抵当権が優先するため、競売しても管理組合に配当が残らず、手続きが取り消されることがあります。
5. 59条競売|長期・高額の滞納者を区分所有関係から排除する
ほかの方法では回収が難しい長期・高額の滞納には、区分所有法59条にもとづいて、滞納者の住戸の競売を請求できる場合があります。
59条競売は、共同生活上の障害が著しく、ほかの方法では解決が難しい場合に、裁判所の判決を得て住戸を競売にかける手続きです。
請求には、区分所有者と議決権の各4分の3以上の賛成による総会の特別決議と、滞納者に弁明の機会を与えることが必要です。
競売の申立ては、競売を認める判決が確定した日から6か月以内に行わなければなりません。
住宅ローンの残債が多く配当が見込めない場合でも、競売が取り消されないと判断した裁判例があります。
競売で住戸を取得した新しい所有者には区分所有法8条により滞納分を請求できるため、回収につながる可能性がある手段です。
時間と費用がかかり、要件の判断も難しいため、弁護士への依頼を前提に検討しましょう。
マンション管理費の滞納者の状況別の対応方法
マンション管理費の滞納者の状況によって、請求する相手と使う手続きが変わります。
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滞納者の状況 |
請求先・対応 |
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経済的に払えない |
本人と分割払いの合意書を交わす |
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連絡がつかない・所在不明 |
登記や住民票で所在を調べ、不明なら公示送達で訴訟を進める |
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亡くなった |
相続人を調べて請求する |
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住戸が売却された |
新しい所有者と前の所有者の両方に請求できる |
1. 経済的に払えない|分割払いの合意書を交わす
支払う意思はあるものの一括では払えない滞納者とは、分割払いの合意書を交わして少しずつ回収するのが現実的です。
合意書に記載するのは、滞納総額・毎月の支払額・支払期限・支払いが遅れた場合に残額を一括で請求できる旨の4点です。
滞納者が合意書に署名すると、滞納を認めたこと(承認)になり、時効が新たに進み直します。
合意書を強制執行認諾文言付きの公正証書にしておけば、支払いが止まったときに訴訟を経ずに強制執行できます。
強制執行認諾文言とは、支払いを怠った場合は強制執行を受けても異議がないと債務者が認める一文です。
2. 連絡がつかない・所在不明|登記や住民票で所在を調べる
滞納者と連絡がつかないときは、登記事項証明書や住民票で所在を調べます。
登記事項証明書は法務局で誰でも取得できますが、住民票は管理組合が取得できる場面が限られています。
弁護士に依頼すれば、職務上請求(弁護士が業務のために戸籍や住民票を取得できる制度)で調べてもらうことが可能です。
それでも所在がわからない場合は、公示送達を使って訴訟を進めることになります。
2026年4月1日施行の改正区分所有法では、海外に住む区分所有者が国内に管理人を選任できる制度が設けられました。
3. 滞納者が亡くなった|相続人に請求する
滞納者が亡くなった場合、滞納管理費の支払義務は相続人に引き継がれるため、相続人を調べて請求します。
遺産分割が終わるまでは、相続人全員に法定相続分に応じて請求するのが基本です。
相続人全員が相続放棄をした場合は、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立て、清算人に請求します。
相続財産清算人は、2023年4月1日施行の改正民法で「相続財産管理人」から名称が変わった制度です。
4. 住戸が売却された|新しい所有者にも請求できる
滞納のある住戸が売却や競売で別の人の手に渡った場合でも、区分所有法8条により、新しい所有者(特定承継人)に滞納分を請求できます。
中古マンションの売買では、重要事項説明で管理費の滞納の有無が説明されるのが通常です。
滞納者が住戸を売りに出していると知ったら、仲介業者を通じて決済時に滞納分を精算するよう求めておきましょう。
マンション管理費の滞納でやってはいけない3つの対応
マンション管理費の滞納でやってはいけないのは、次の3つの対応です。
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滞納者の氏名や部屋番号を掲示板などで公表する
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電気・水道を止める、共用設備の利用を制限する
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勤務先や家族に滞納を知らせて支払いを迫る
いずれも、対応を急ぐあまり管理組合の側が損害賠償を請求されるおそれがある行為です。
1. 滞納者の氏名や部屋番号を掲示板などで公表する
滞納者の氏名や部屋番号を掲示板などで公表すると、名誉毀損やプライバシー侵害として損害賠償を請求されるおそれがあります。
管理規約に公表の定めがある場合でも、公表の方法や範囲によっては違法と評価される可能性があります。
総会で法的措置を決議する際には、対象となる住戸を特定する必要がありますが、資料の記載や配布の範囲は必要最小限にとどめましょう。
全体への報告は「滞納している住戸がある」という事実と、組合としての対応方針にとどめるのが無難です。
2. 電気・水道を止める、共用設備の利用を制限する
管理組合が独断で電気や水道を止めたり、共用設備を使えなくしたりする行為は、違法な自力救済にあたるおそれがあります。
自力救済とは、裁判所の手続きによらず、自分の力で権利を実現しようとすることです。
実際に、滞納者への給湯や電気の供給を止めた管理組合が、損害賠償を命じられた裁判例もあります。
駐車場の使用契約の解除などは、管理規約や使用契約にもとづく範囲であれば認められる場合もありますが、判断は慎重に行う必要があります。
3. 勤務先や家族に滞納を知らせて支払いを迫る
滞納者の勤務先や家族に連絡して支払いを迫ると、プライバシー侵害や名誉毀損として損害賠償を請求されるおそれがあります。
管理費の支払義務を負うのは区分所有者本人で、連帯保証人などでない限り、家族に支払義務はありません。
本人と話ができないときは、書面での請求と裁判所の手続きに切り替えましょう。
マンション管理費の滞納を弁護士に相談する3つのメリット
マンション管理費の滞納を弁護士に相談すると、回収の可能性を高めながら、理事の負担を大きく減らせます。
滞納額が140万円以下であれば、簡易裁判所での訴訟代理ができる認定司法書士に依頼する方法もあります。
規約の見直しや管理組合の運営面の相談であれば、マンション管理士も頼れる相談先です。
まずは一般的な助言がほしい段階なら、公益財団法人マンション管理センターや自治体のマンション相談窓口を利用する方法もあります。
1. 弁護士名義の内容証明で支払いに応じる滞納者は少なくない
管理組合からの督促に応じなかった滞納者でも、弁護士名義の内容証明郵便が届くと支払いに応じることがあります。
交渉の段階で分割払いの合意に至り、訴訟まで進まずに解決するケースもあります。
2. 時効の管理と、費用倒れにならない手続きを選べる
弁護士に相談すると、どの月の分が時効に近いか、どの手続きを選べば費用倒れにならないかを判断してもらえます。
滞納額、滞納者の財産、住宅ローンの残債などをもとに、強制執行で回収できる見込みまで検討してもらえる点は大きな利点です。
3. 理事の手間と精神的な負担を減らせる
弁護士に依頼すれば、書面の作成から裁判所への出廷までを任せられるため、理事の負担を大きく減らせます。
多くのマンションでは理事が1〜2年の輪番で交代するため、対応を管理組合だけで続けると途中で途切れがちです。
弁護士が窓口になることで、同じマンションに住む住民同士が直接対立する場面も避けられます。
マンション管理費の滞納を弁護士に依頼した場合の費用の目安
マンション管理費の滞納を弁護士に依頼した場合の費用は、相談料・着手金・報酬金・実費の4つに分かれます。
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費用の種類 |
目安 |
内容 |
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相談料 |
30分5,000円程度(初回無料の事務所もある) |
依頼前の法律相談の費用 |
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着手金 |
10万円〜30万円程度 |
依頼時に支払う費用。結果にかかわらず返金されない |
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報酬金 |
回収額の10〜20%程度 |
回収できた金額に応じて支払う費用 |
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実費 |
数千円〜数万円程度 |
内容証明郵便の費用、裁判所の手数料、郵便切手代など |
※上記は旧日本弁護士連合会報酬等基準を参考にした目安で、実際の金額は事務所によって異なります。
管理規約に「違約金としての弁護士費用を滞納者に請求できる」という定めがあれば、弁護士費用を滞納者に負担させることが可能です。
国土交通省のマンション標準管理規約にも、遅延損害金や違約金としての弁護士費用、督促や徴収にかかった費用を加算して請求できる旨の定めがあります。
自分たちの管理規約に同じ定めがあるかを、依頼前に確認しておきましょう。
マンション管理費の滞納を防ぐための4つの対策
マンション管理費の滞納は、日頃のルールづくりで防ぎやすくなります。
主な対策は、次の4つです。
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管理費の支払いを口座振替にする
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管理規約に遅延損害金と弁護士費用の負担を定める
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滞納発生時の督促ルールを決めておく
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組合員名簿と連絡先を最新にしておく
1. 管理費の支払いを口座振替にする
管理費の支払い方法を振込ではなく口座振替にすると、払い忘れによる滞納を防げます。
振込払いが残っている場合は、理事会から口座振替の依頼書を配布し、切り替えを呼びかけましょう。
2. 管理規約に遅延損害金と弁護士費用の負担を定める
管理規約に、遅延損害金の利率と、回収にかかった弁護士費用を滞納者の負担とする定めを置くと、滞納の抑止と回収費用の確保につながります。
管理規約に遅延損害金の定めがない場合の計算に使うのは、民法の法定利率である年3%です。
法定利率は3年ごとに見直されますが、2026年4月1日からの3年間も年3%に据え置かれています。
管理規約の変更には、区分所有者と議決権の各4分の3以上の賛成による総会の特別決議が必要です。
3. 滞納発生時の督促ルールを決めておく
「何か月で督促状、何か月で内容証明郵便、何か月で法的措置」という督促のルールを理事会で決めておくと、理事が交代しても対応が途切れません。
ルールは細則にまとめ、管理会社との役割分担もあわせて明記しておくことが重要です。
4. 組合員名簿と連絡先を最新にしておく
区分所有者の住所や連絡先を定期的に更新し、所在不明になる前に連絡手段を確保しておくことも重要です。
相続や賃貸で所有者や居住者が変わったときは、届出をしてもらうよう周知しておきましょう。
2026年4月1日施行の改正区分所有法にあわせて、国土交通省のマンション標準管理規約にも、組合員名簿の作成や国内管理人の届出に関する規定が加わっています。
管理費を滞納している方へ|払えないときは早めに管理組合へ相談を
管理費を滞納している方は、払えないとわかった時点で、管理組合や管理会社に分割払いを相談することが先決です。
滞納を放置すると、支払督促や訴訟を起こされ、給与や預貯金の差押え、住戸の競売に進む可能性があります。
遅延損害金に加え、管理規約によっては弁護士費用まで上乗せされるため、支払う金額そのものも膨らむ一方です。
住宅ローンの返済も苦しい場合は、債務整理を含めて弁護士に相談すると、生活を立て直す方法が見えてきます。
連絡を絶つのではなく、自分から事情を伝えて相談することが、負担を抑える近道です。
マンション管理費の滞納に関する悩みは「ベンナビ法律相談Q&A」で解決しよう
マンション管理費の滞納は、同じ建物に住む住民同士の問題なだけに、感情的な対立に発展しやすいトラブルです。
また、時効の進み具合や滞納者の財産の状況によって、選ぶべき手続きと回収の見込みが大きく変わります。
早い段階で弁護士に相談することで、時効を止める方法から、費用倒れにならない手続きの選び方まで、具体的な選択肢が見えてくるのが利点です。
とはいえ、「弁護士に相談すべきレベルの話なのか」判断がつかないケースも少なくありません。
ベンナビ法律相談Q&Aでは、質問を投稿すると、不動産トラブルを得意とする弁護士が無料で回答してくれるため、具体的な対処方法がわかります。
まずは無料相談を活用し、自分たちのマンションで何ができるのかを確認してみましょう。
マンション管理費の滞納に関するよくある質問
さいごに、マンション管理費の滞納についてよく寄せられる質問を紹介します。
管理費を2か月滞納されたら、もう法的措置をとれる?
法律上は、滞納が1か月でも支払督促や訴訟を起こすことは可能です。
ただし、2か月程度であれば、管理会社や理事長名の督促で支払われるケースが多いため、まずは督促から始めるのが現実的です。
督促しても支払いがないまま半年近くたつようであれば、法的措置の決議を検討しましょう。
滞納管理費の遅延損害金はどう計算する?
遅延損害金は「滞納額×利率×滞納日数÷365日」で計算するのが一般的です。
たとえば、管理規約に定めがなく法定利率の年3%で計算する場合、60万円を1年間滞納すると遅延損害金は1万8,000円です。
管理規約で年14.6%などの利率を定めている場合は、規約の利率で計算します。
滞納者が自己破産したら管理費はどうなる?
破産手続きの開始前に滞納していた管理費は、免責が認められると本人には請求できなくなるのが原則です。
ただし、住戸が売却されれば、区分所有法8条により新しい所有者に滞納分を請求できます。
破産手続きの通知が届いたら、債権の届出をしたうえで、弁護士に今後の対応を確認しておくと安心です。
滞納がある中古マンションを買ったら、滞納分を払う必要がある?
はい、支払う必要があります。
区分所有法8条により、住戸を買った人(特定承継人)は前の所有者の滞納分を支払う義務を負います。
支払った分は前の所有者に請求できますが、購入前に重要事項説明で滞納の有無を確認しておくことが大切です。
管理会社が滞納を回収してくれないのはなぜ?
管理会社が担う督促の範囲は、管理委託契約で定められているためです。
一般的には、一定期間の督促を超えた対応は管理組合が行う形になっています。
また、管理会社は弁護士ではないため、管理組合の代理人として訴訟を起こすことはできません。
まとめ
マンション管理費の滞納は、各支払期日から5年で時効にかかるため、早めの対応が欠かせません。
対応は、督促状・内容証明郵便・理事会や総会の決議・裁判所の手続きと、滞納期間に応じて段階を上げていくのが基本です。
一方で、氏名の公表や水道を止めるといった対応は、管理組合の側が損害賠償を請求されるおそれがあるため避けましょう。
一人で抱え込まず、早めに専門家へ相談することが、理事の負担を軽くし回収につなげる近道です。
対応に迷ったら、ベンナビ法律相談Q&Aで弁護士に質問してみてください。
