不法占拠とは?不法占有との違いや罪になるケースなどを解説
空き家に知らない人が住み着いていたり、契約が終わった元借主が出ていかなかったりして、どう対応すればよいか迷っていませんか。
自分の土地や建物を、正当な理由なく他人に使われている状態を「不法占拠」といいます。
所有者には明渡しを求める権利がありますが、鍵を替えて締め出すような実力行使は認められず、法的な手続で解決するのが基本です。
本記事では、不法占拠の意味、不法占拠にあたるケース・あたらないケース、罪になる場合と警察の対応を解説します。
明渡しまでの流れや、放置した場合のリスクもあわせて紹介するので、参考にしてください。
読み終えるころには、自分のケースが不法占拠にあたるかを判断し、次に何をすべきかが分かるようになります。
不法占拠とは|正当な権原なく他人の不動産を占有すること
不法占拠とは、賃借権などの正当な権原(けんげん・占有を正当化する法律上の根拠)がないのに、他人の土地や建物を占有することです。
「占有」とは、物を事実上支配している状態のことです。
権原には、所有権のほか、賃借権・地上権・使用借権(無償で借りる権利)などが含まれます。
たとえば、所有者から借りる契約を結ばずに空き家に住み着いている人は、何の権原もないため不法占拠者にあたります。
所有者は、所有権にもとづいて自分の物を自由に使用・収益・処分できます(民法206条)。
そのため、権原のない占有者に対しては、所有権にもとづいて土地や建物の明渡しを求めることが可能です。
なお、「不法占拠」は法律で定義された用語ではなく、一般に使われている言葉です。
不法占拠と不法占有の違い
不法占拠と不法占有は、どちらも「権原なく他人の不動産を占有している状態」を指し、意味はほぼ同じです。
判決文や法律の解説書では「不法占有」「無権原占有」と書かれることが多く、報道や日常会話では「不法占拠」が多く使われます。
「占拠」は、実力で居座っているというニュアンスが強い表現です。
どちらの言い方をしても、所有者が求められる明渡しや損害金の中身は変わりません。
不法占拠と不法侵入の違い
不法侵入は無断で他人の建物や敷地に立ち入る行為で、不法占拠は立ち入った後に居座って支配を続ける状態を指します。
不法侵入で問われるのは、刑法130条の住居侵入罪・建造物侵入罪です。
たとえば、空き家に一晩だけ入り込んだ場合は侵入の問題にとどまります。
一方、荷物を持ち込んで住み続けるようになれば、継続的な支配として不法占拠の問題になります。
侵入から始まって不法占拠に移るケースも多いため、気づいた時点で早めに記録を残しておくと安心です。
不法占拠にあたる4つのケース
不法占拠の典型は、無断の住み着き・契約終了後の居座り・境界を越えた土地の使用・無断転貸を受けた人の居住の4つです。
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ケース |
具体例 |
よくある場面 |
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無断の住み着き・物の放置 |
空き家に住む、空き地に資材や車を置く |
遠方に住む所有者の空き家・空き地 |
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契約終了後の居座り |
解除後も退去しない元借主 |
家賃滞納・無償で貸していた親族 |
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境界を越えた使用 |
隣地の物置・塀・建物がはみ出している |
古い住宅地・境界標がない土地 |
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無断転貸を受けた人の居住 |
借主が勝手に又貸しした相手が住む |
借主と連絡がとれない賃貸物件 |
不法占拠は、最初から権原がない型と、もともとあった権原が後から消えた型の2つに分かれます。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
1. 空き家や空き地に無断で住み着く・物を置く
所有者の許可なく住んだり、資材や車を置き続けたりする行為は、最初から権原がない不法占拠にあたります。
空き家に見知らぬ人が寝泊まりしている、空き地が勝手に資材置き場や駐車場として使われている、といったケースが代表例です。
管理が行き届いていない物件ほど狙われやすく、所有者が遠方に住んでいると発見が遅れがちです。
気づいたら、日時が分かる写真や、置かれている物の状況を記録しておきましょう。
2. 賃貸借契約や使用貸借が終わった後も居座る
契約が有効に終了・解除された後の占有は、権原がなくなるため不法占拠になります。
家賃の滞納を理由に賃貸借契約を解除された後も退去しない元借主が、典型的な例です。
無償で貸していた親族や知人が、使用貸借の期間が満了したのに出ていかない場合も同じです。
分かれ目は「契約がすでに終わっているかどうか」で、契約が続いている間は不法占拠になりません(次の見出しで解説します)。
3. 境界を越えて建物・塀・資材を置く
隣地の所有者が境界を越えて物置・塀・建物を設けている場合、はみ出した部分について不法占拠にあたる可能性があります。
越境部分の撤去と土地の明渡しを求められるのが原則です。
ただし、境界の位置そのものに争いがあるときは、筆界特定制度や境界確定訴訟で境界を確定させる手続が先になります。
【関連記事】境界トラブルの解決方法5選!状況別の選び方も解説
4. 借主から無断で又貸しを受けた人が住む
所有者の承諾なく借主から又貸しを受けた人(転借人)は、所有者との関係では権原がなく、不法占拠者になり得ます。
借主は、貸主の承諾を得なければ物件を第三者に転貸できません(民法612条1項)。
無断で転貸された場合、貸主は借主との契約を解除できます(同条2項)。
借主との契約を解除したうえで、実際に住んでいる転借人にも明渡しを求めることになるため、誰が住んでいるのかを正確に確認しておくことが重要です。
不法占拠にあたらない・判断が分かれる4つのケース
占有している人に何らかの権原があれば、不法占拠にはあたらず、明渡しを求めるにはまず契約を終わらせる必要があります。
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ケース |
不法占拠か |
理由 |
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借主の家族・従業員が住んでいる |
あたらない |
借主の占有を補助しているだけ |
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口約束で貸した・無償で住ませている |
あたらない(契約中) |
賃貸借・使用貸借は口頭でも成立する |
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家賃を滞納しているが解除していない |
あたらない |
契約が続いており賃借権がある |
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共有者の1人が住んでいる |
原則あたらない |
共有者は持分に応じて全体を使える |
見知らぬ人が住んでいるからといって不法占拠と決めつけると、明渡しを求める相手を誤り、手続のやり直しになることもあります。
それぞれについて確認していきましょう。
1. 借主の家族や従業員が住んでいる
借主の家族・同居人や、法人借主の従業員は「占有補助者」にあたり、独立した不法占拠者にはなりません。
占有補助者とは、他人の占有を手伝う立場で物を使っている人をいいます。
占有補助者がいる物件で明渡しを求める相手は、借主本人または借主である法人です。
借主が退去した後も家族だけが住み続けている場合などは、個別の事情で判断が分かれるため、弁護士に確認してもらうと安心です。
2. 口約束で貸した・無償で使わせている
賃貸借や使用貸借は口頭の合意でも成立するため、契約書がないことだけを理由に不法占拠とはいえません。
たとえば、知人に「しばらく使っていいよ」と伝えて住まわせている場合、使用貸借が成立している可能性があります。
明渡しを求めるには、まず期間の満了や解約によって契約を終わらせる手順が必要です。
契約が終わった後も居座れば、契約終了の時点から不法占拠にあたります。
3. 家賃を滞納しているが契約を解除していない
契約が続いている間は借主に賃借権があるため、家賃を滞納していても不法占拠ではありません。
明渡しを求めるには、相当の期間を定めて支払いを催告(書面などで履行を求めること)し、それでも払われなければ契約を解除する必要があります。
賃貸借の解除は、当事者の信頼関係が壊れたといえるかで判断されるため、1か月程度の滞納では認められにくいのが一般的です。
【関連記事】立ち退き交渉の進め方は?6つのステップや立ち退き料の相場を解説
4. 共有者の1人が住んでいる
各共有者は持分に応じて共有物の全体を使えるため、共有者の1人が住んでいても当然には不法占拠になりません(民法249条1項)。
判例でも、他の共有者は住んでいる共有者に対して当然には明渡しを求められないとされています(最高裁昭和41年5月19日判決)。
ただし、2023年4月1日施行の改正民法により、共有物の使用方法は持分の過半数で決められるようになりました(民法252条1項)。
過半数で別の使い方を決めた場合は、決めた使い方にもとづいて明渡しを求められる可能性があります。
ただし、以前に共有者間で決めた使い方にもとづいて住んでいる共有者に特別の影響を及ぼす場合は、住んでいる共有者本人の承諾が必要です(民法252条3項)。
一方、共有者ではない第三者が不法占拠している場合は、共有者の1人が単独で明渡しを請求することも可能です。
不法占拠は罪になる?問われる可能性がある3つの犯罪
不法占拠は、不動産侵奪罪、住居侵入罪・建造物侵入罪、境界損壊罪にあたる可能性があります。
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行為 |
犯罪 |
法定刑 |
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他人の土地・建物を自分の支配下に置く |
不動産侵奪罪(刑法235条の2) |
10年以下の拘禁刑 |
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無断で住居・建物に入る、退去を求められても出ない |
住居侵入罪・建造物侵入罪、不退去罪(刑法130条) |
3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金 |
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境界標を動かす・壊して境界を分からなくする |
境界損壊罪(刑法262条の2) |
5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
※2025年6月1日施行の改正刑法により、懲役・禁錮は「拘禁刑」に一本化されています。
不動産侵奪罪は、他人の不動産を自分の支配下に移す行為を処罰するものです。
たとえば、他人の空き地に無断で建物を建てたり、塀で囲って独占したりする行為が典型例です。
一時的に使っただけの場合は、侵奪にあたらないと判断されることもあります。
また、契約にもとづいて入居した元借主が解除後も居座っているケースは、他人の占有を新たに奪ったわけではないため、原則として不動産侵奪罪の対象外です。
所有者の物を壊した場合は、器物損壊罪(刑法261条)にあたる可能性もあります。
不法占拠で警察は動いてくれる?
警察には「民事不介入」の原則があるため、不法占拠者を退去させるところまで警察が動くケースは限られます。
民事不介入とは、個人間の権利や契約をめぐる争いには、警察が原則として立ち入らないという考え方です。
土地や建物の明渡しを実現する手段は、裁判所の判決と強制執行です。
そのため、相談しても「当事者同士で話し合ってください」「弁護士に相談してください」と案内されることが少なくありません。
一方で、侵入の直後や、鍵を壊された・脅されたといった刑事事件にあたる事情があれば、警察に相談できます。
被害状況の写真や会話の録音など、具体的な証拠をそろえて相談するとスムーズです。
緊急ではない相談は、警察相談専用電話「#9110」も利用可能です。
不法占拠を解消するまでの流れ
不法占拠者に明渡しを求めるときは、以下の順に進めるのが基本です。
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内容証明郵便で明渡しを請求する
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占有移転禁止の仮処分で相手を固定する
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明渡請求訴訟を起こし、損害金もあわせて請求する
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強制執行で明渡しを実現する
話し合いで出ていけば数週間から数か月で解決しますが、訴訟になると判決まで半年から1年程度かかることもあります。
それぞれの手続を見ていきましょう。
ステップ1:内容証明郵便で明渡しを請求する
まずは、期限を決めて明渡しを求める書面を内容証明郵便で送ります。
内容証明郵便は、いつ・誰が・どのような内容の文書を送ったかを日本郵便が証明する制度です。
書面に記載するのは、主に次の4点です。
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対象の物件
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明渡しを求める根拠
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明渡しの期限
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期限までに応じない場合は法的手続に移ること
明渡しの催告には、時効の完成を6か月間猶予する効果もあります(民法150条1項)。
相手が退去に合意した場合は、簡易裁判所の「訴え提起前の和解(即決和解)」で合意内容を和解調書にしておくと、約束が破られたときに強制執行へ進めます。
ステップ2:占有移転禁止の仮処分で相手を固定する
占有移転禁止の仮処分は、訴訟の途中で占有者が入れ替わっても、判決にもとづいて明渡しを実行できるようにする手続です。
仮処分をしないまま別の人に占有を移されると、現在の相手に対する判決では新しい占有者を退去させられないおそれがあります。
仮処分の執行後に占有した人に対しても、判決にもとづいて明渡しの強制執行が可能です(民事保全法62条)。
誰が住んでいるか分からない空き家などでは、債務者を特定しないで仮処分を申し立てる方法もあります(民事保全法25条の2)。
申立てには、裁判所が定める担保(保証金)を納める必要があります。
ステップ3:明渡請求訴訟を起こし、損害金もあわせて請求する
訴訟では、所有権にもとづく明渡しと、占拠されていた期間の賃料相当損害金をあわせて請求します。
所有者が主張・立証するのは、自分が所有者であることと、相手が占有していることの2点です。
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状況 |
請求の内容 |
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相手が土地・建物そのものを占拠している |
土地(建物)明渡請求 |
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自分の土地の上に相手が建物を建てている |
建物収去土地明渡請求 |
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その建物に建物所有者以外の人が住んでいる |
建物退去土地明渡請求 |
土地の明渡しを命じる判決だけでは、土地の上の建物を取り壊す強制執行はできません。
そのため、相手の建物が建っている場合は「建物の収去」まで請求しておく必要があります。
あわせて、物件を貸していれば得られたはずの賃料相当額を、不法行為による損害賠償(民法709条)や不当利得の返還(民法703条)として請求することも可能です。
ステップ4:強制執行で明渡しを実現する
判決が出ても相手が出ていかない場合は、執行官による強制執行で明渡しを実現します。
申立てを受けた執行官は、まず現地で明渡しを催告し、原則として催告の日から1か月後を引渡し期限と定めます(民事執行法168条の2)。
期限を過ぎても退去しなければ、執行官の立会いのもとで荷物を搬出し、占有を解きます(断行)。
費用は、裁判所に納める予納金と、荷物の搬出・保管などの作業費がかかります。
東京地方裁判所の執行官室では、明渡しの予納金の標準額を65,000円としています(2020年3月版の標準表)。
強制執行の費用は相手に請求できますが、相手に資力がなければ回収できないこともあります。
不法占拠されたときにやってはいけない3つの対応
自分の不動産であっても、鍵の交換・荷物の撤去・脅しての追い出しは「自力救済」として違法になり得ます。
自力救済とは、裁判所の手続を経ずに、自分の力で権利を実現しようとすることです。
最高裁判所は、自力救済を原則として禁止しています(最高裁昭和40年12月7日判決)。
例外が認められるのは、法的手続を待っていては権利を守れない、緊急やむを得ない特別の事情がある場合だけです。
「明らかに不法占拠だ」「連絡がとれない」という程度では、例外にはあたりません。
1. 無断で鍵を交換する・開ける
占拠者を締め出すために鍵を交換する行為は、不法行為として損害賠償を請求されるおそれがあります。
不法占拠者であっても、事実上の占有は法律で一定の保護を受けるためです。
契約書に「滞納したら鍵を交換できる」といった条項があっても、条項を理由に自力救済が正当化されるわけではありません。
締め出しではなく、仮処分や訴訟によって明渡しを求めましょう。
2. 占拠者の荷物を運び出す・処分する
室内や敷地に残された荷物の所有権は占拠者にあり、無断で処分すると器物損壊罪や損害賠償の対象になり得ます。
「ゴミにしか見えない」という判断を、所有者の側で下すことはできません。
荷物の搬出・保管は、強制執行の手続のなかで執行官の立会いのもと行うのが正しい順序です。
相手と連絡がとれない場合でも、訴訟を起こし、所在が分からなければ公示送達(裁判所の掲示板に書類を掲示して届いたものとみなす方法)で手続を進められます。
3. 脅したり暴力を使ったりして追い出す
「出ていかないとどうなるか分かっているのか」といった発言は脅迫罪(刑法222条)、身体を押すなどの行為は暴行罪(刑法208条)にあたるおそれがあります。
相手がやりとりを録音していれば、交渉や裁判で所有者側が不利になります。
感情的になるのは自然なことですが、相手とのやりとりは書面や弁護士を通じて行うのが安全です。
不法占拠を放置するリスク|取得時効で所有権を失うおそれがある
不法占拠を長く放置すると、占拠者が所有の意思をもって占有を続けた結果、取得時効によって所有権を失うおそれがあります。
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占有を始めたときの状態 |
時効取得までの期間 |
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自分の物だと信じ、そう信じたことに過失がない |
10年 |
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他人の物と知っていた、または知らないことに過失がある |
20年 |
いずれも、所有の意思をもって平穏かつ公然と占有を続けることが条件です(民法162条)。
借りて住んでいるだけの占有には所有の意思がないため、元借主の居座りで時効取得が成立することは基本的にありません。
一方、空き地を塀で囲って自分の土地として使い続けているようなケースでは、現実的なリスクになります。
時効の完成を止めるには、内容証明による催告(6か月の完成猶予)や、明渡請求訴訟の提起(民法147条)が有効です。
占拠が続く間は賃料収入も得られず、固定資産税の負担だけが続くため、気づいた時点で早めに動くことが大切です。
不法占拠を未然に防ぐための対策
不法占拠を防ぐには、「管理されている物件」だと外から分かる状態を保つことが最も効果的です。
具体的には、次のような対策があります。
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定期的に見回り、郵便物の整理・換気・草刈りをする
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門や扉を施錠し、敷地に「立入禁止」「私有地」の表示をする
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防犯カメラやセンサーライトを設置する
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遠方で通えない場合は、空き家管理サービスや近所の人に見回りを頼む
当面使う予定がない物件は、賃貸に出す、売却するなどの活用を検討することも、空き家の放置による不法占拠のリスクを減らす方法の一つです。
空き家の管理に困っている場合は、自治体の空き家相談窓口に問い合わせてみてください。
不法占拠に関する悩みは「ベンナビ法律相談Q&A」で解決しよう
不法占拠は、相手に権原があるかどうか、どの手続から始めるかによって、解決までの時間と費用が大きく変わります。
早い段階で弁護士に相談することが、内容証明の送り方から仮処分・訴訟の要否まで、具体的な選択肢を把握する第一歩です。
とはいえ、「弁護士に相談すべきレベルの話なのか」判断がつかない、という方も少なくありません。
ベンナビ法律相談Q&Aでは、質問を投稿すると、不動産トラブルなどの分野を得意とする弁護士が無料で回答してくれるため、解決に向けた具体的な対処方法が分かります。
まずは無料相談を活用し、自分の状況で何ができるのかを確認してみましょう。
不法占拠に関するよくある質問
さいごに、不法占拠についてよく寄せられる質問を紹介します。
不法占拠の読み方は?
「ふほうせんきょ」と読みます。
不法占拠者は「ふほうせんきょしゃ」、似た言葉の不法占有は「ふほうせんゆう」です。
不法占拠されてから時間がたつと明渡しを求められなくなる?
所有権にもとづく明渡請求権そのものは、消滅時効にかかりません。
ただし、占拠者が取得時効の条件を満たすと、所有権そのものを失うおそれがあります。
詳しくは「不法占拠を放置するリスク|取得時効で所有権を失うおそれがある」をご確認ください。
一方、賃料相当損害金は日々の損害ごとに時効が進みます。
不法行為の損害賠償として請求する場合は損害と加害者を知った時から3年(民法724条)、不当利得の返還として請求する場合は原則5年(民法166条1項)を過ぎた分から請求できなくなるため、早めに動くことが大切です。
不法占拠者にも居住権はある?
権原のない不法占拠者に、住み続ける権利は認められません。
ただし、事実上の占有は法律で一定の保護を受けるため、所有者が実力で追い出すことはできません。
退去させるには、訴訟と強制執行という法的手続が必要です。
親族が家に居座っている場合も不法占拠になる?
無償で住むことを認めていた場合は使用貸借が成立していることが多く、すぐには不法占拠になりません。
期間も使い道も決めずに住まわせていたなら、貸主はいつでも契約を解除できます(民法598条2項)。
解除を伝えた後も出ていかなければ、解除後の占有は不法占拠にあたります。
親族が共有者や相続人である場合は共有のルールで判断されるため、早めに弁護士へ相談してください。
道路の「不法占用」とは違う?
道路の不法占用は、道路管理者の許可を受けずに道路に看板や物を置くなどして使うことを指します。
道路法にもとづく行政上の問題で、個人の所有する土地や建物の不法占拠とは扱いが異なります。
明渡しにかかる費用はどれくらい?
自分で手続をする場合も、訴訟の印紙代・郵便切手代、仮処分の担保金、強制執行の予納金と作業費がかかります。
弁護士に依頼する場合は着手金・報酬金も加わり、金額は事務所や事案の難しさによって異なります。
相談の段階で、総額の見積もりを確認しておきましょう。
まとめ
不法占拠とは、正当な権原がないのに他人の土地や建物を占有することです。
ただし、借主の家族が住んでいる、契約がまだ続いているなど、権原があるケースは不法占拠にあたりません。
不法占拠であっても、鍵の交換や荷物の処分といった自力救済は違法となるため、内容証明・仮処分・訴訟・強制執行の順に法的手続で解決するのが基本です。
放置すると取得時効で所有権を失うおそれもあるため、気づいた時点で早めに専門家へ相談することが、負担を軽くする近道です。
自分のケースでどう動けばよいか迷ったら、ベンナビ法律相談Q&Aをご活用ください。
