立ち退き交渉の進め方は?6つのステップや立ち退き料の相場を解説
賃貸アパートやマンション、テナントの建て替え・売却を考えたとき、入居者との立ち退き交渉が必要になることがあります。
立ち退きを求める理由や契約内容によっては「正当事由」が必要となり、立ち退き料の支払いを含めて借主と条件を調整する必要があります。
この記事では、貸主側の立場を中心に、立ち退き交渉の進め方と立ち退き料の相場、弁護士に依頼するメリット・費用の目安を解説します。
読み終えるころには、自分のケースでどう交渉を進めればよいか、弁護士に依頼すべきかどうかを判断できるようになります。
立ち退き交渉とは|確認しておきたい5つのポイント
まず、立ち退き交渉を始める前に以下の5点を確認しておきましょう。
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確認項目 |
確認する内容 |
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契約内容 |
普通借家契約・定期借家契約のどちらか |
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契約違反 |
家賃滞納や無断転貸などがないか |
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立ち退きを求める理由 |
老朽化・建て替え・自己使用など |
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更新時期 |
更新拒絶・解約申入れの時期を確認 |
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想定費用 |
立ち退き料・引っ越し費用・移転費用など |
特に重要なのが、「立ち退きを求める理由」です。
この違いによって、立ち退き料や交渉方法が大きく変わります。
立ち退きの理由には「大家都合」と「契約違反」の2種類がある
立ち退きを検討するときは、まず理由を整理する必要があります。
大きく分けると、次の2つがあります。
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大家側の事情によって立ち退きを求めるケース(大家都合)
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借主の契約違反を理由に契約解除を求めるケース
以下で詳しく見ていきましょう。
大家都合による立ち退きの場合|正当事由が重要になる
「大家都合」による立ち退きとは、建物の老朽化や建て替え、貸主自身が建物を使用する必要がある場合など、貸主側の事情によって立ち退きを求めるケースを指します。
この場合、借地借家法第28条にもとづく「正当事由」が必要です。
正当事由とは、貸主が契約更新を拒絶したり解約を申し入れたりするために必要な、合理的な理由を指します。
たとえば、以下のような理由が正当事由に当てはまります。
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貸主が建物を必要とする事情
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借主が建物を必要とする事情
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賃貸借に至った経緯
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建物の利用状況
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建物の状態
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立ち退き料の提示
これらの事情を踏まえて立ち退きの可否が判断されます。
立ち退き料は、正当事由を補完する要素のひとつとして考慮されます。
そのため、「立ち退き料を払えば必ず立ち退いてもらえる」「家賃○ヵ月分を払えば十分」と単純に判断できるものではありません。
借主に重大な契約違反がある場合|立ち退き料は原則不要
「契約違反」による立ち退きは、家賃の長期滞納や無断転貸など、賃貸借契約における信頼関係を破壊する契約違反があった場合を指し、貸主は正当事由がなくても契約を解除できます。
ただし、契約違反があったからといって、貸主が勝手に鍵を交換したり、荷物を撤去したりすることは避けるべきです。
契約解除や明渡しは適切な手続きを踏んで進める必要があります。
そのため、以下のような証拠を残しておくことが重要です。
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滞納期間
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滞納金額
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過去の支払状況
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催告の有無
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その他の契約違反
立ち退き交渉の進め方|基本の6ステップ
貸主から借主へ立ち退きを求める場合、いきなり退去時期や立ち退き料を提示するのではなく、順序立てて交渉することが重要です。
基本的には、以下の6つのステップで進めます。
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立ち退きを求める理由を説明する
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借主側の事情や移転先の希望を確認する
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立ち退き時期・立ち退き料・敷金などの条件を話し合う
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譲歩できる条件を整理する
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合意内容を書面に残す
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交渉がまとまらない場合の対応を検討する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ステップ1:立ち退きを求める理由を説明する
まずは、なぜ立ち退きを求める必要があるのかを借主に説明します。
たとえば、以下のような事情が考えられます。
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建物の老朽化
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耐震性の問題
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建て替え
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貸主自身による建物の使用
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土地や建物の利用計画の変更
建物の老朽化や耐震性を理由とする場合は、耐震診断結果や修繕状況など、客観的な資料を用意しておくと説明しやすくなります。
この段階で重要なのは、「退去してください」と一方的に通告するのではなく、事情を説明したうえで理解を求めることです。
理由の説明があいまいなままだと、借主側に不信感を持たれ、その後の条件交渉が難しくなる可能性があります。
立ち退きを希望する大まかな時期についても、この段階で伝えておくとよいでしょう。
ステップ2:借主側の事情や移転先の希望を確認する
次に、借主がどのような事情を抱えているのか確認します。
住宅であれば、借主の生活状況や転居先の希望条件、引っ越し可能な時期などを聴き取ります。
店舗や事務所の場合は、移転先だけでなく、休業期間や営業への影響も確認する必要があります。
借主側の事情を把握しておくことで、以下に関してより検討しやすくなります。
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退去までどの程度の期間が必要か
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どのような費用負担が発生するか
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どの条件なら合意できそうか
必要に応じて、不動産会社から移転先候補を紹介してもらうことも選択肢のひとつです。
ステップ3:立ち退き時期・立ち退き料・敷金などをまとめて話し合う
借主の事情を確認したら、具体的な条件交渉に進みます。
主に話し合うのは以下の項目です。
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退去日
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立ち退き料
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立ち退き料の支払時期
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敷金の精算
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原状回復の範囲
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引っ越し費用などの負担
これらの条件は、個別に決めるよりも全体をひとつの条件として提示したほうが交渉しやすくなります。
たとえば、立ち退き料だけを見ると希望額に届かなくても、「退去までの期間を長くする」「敷金を早めに返還する」といった条件を組み合わせることで合意できる場合があります。
立ち退き料を提示する際には、金額だけでなく、どのような考え方で算定したのかも説明できるようにしておきましょう。
ステップ4:どこまで譲歩できるか決めておく
立ち退き交渉では、最初の提示条件だけで合意できるとは限りません。
そのため、交渉を始める前に、譲歩できる上限も決めておくことが重要です。
たとえば、以下のような条件が考えられます。
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立ち退き料を増額する
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支払時期を早める
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移転先を紹介する
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退去期限を延ばす
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引っ越し費用の一部を負担する
複数の選択肢を準備しておけば、立ち退き料だけを上げ続ける交渉になりにくくなります。
一方で、実際には実行できない条件を提示してしまうと、後からトラブルになる可能性があります。
譲歩案についても、実現可能性を確認しておきましょう。
ステップ5:合意内容は書面に残す
立ち退きについて合意できた場合は、口頭だけで終わらせず、合意内容を書面に残します。
最低限、以下のような項目を明確にしておきましょう。
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退去日
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立ち退き料の金額
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立ち退き料の支払時期
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敷金の精算方法
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原状回復の範囲
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明渡し方法
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その他、双方で合意した事項
口頭だけで合意していると、退去直前になって「その条件には同意していない」といった問題が起こる可能性があります。
特に立ち退き料が高額になる場合や店舗・テナントの立ち退きでは、合意書の内容について弁護士へ確認を依頼することも検討しましょう。
ステップ6:交渉がまとまらない場合の対応を検討する
任意交渉で合意できない場合、貸主側は建物明渡し訴訟などの法的手続きを検討することになります。
ただし、訴訟には時間と費用がかかります。
そのため、「交渉を続けたほうがよいのか」「条件を変更して合意を目指すのか」「訴訟に進むのか」を総合的に判断する必要があります。
交渉が長期化すると、建て替えや売却のスケジュールにも影響します。
当事者同士での交渉が難しくなってきた段階で、一度弁護士へ相談して今後の見通しを確認するとよいでしょう。
立ち退き交渉は誰に依頼できる?4つの相談先と特徴
立ち退き交渉は、貸主・借主本人はもちろん、弁護士や司法書士、不動産会社・管理会社にも相談できますが、対応できる範囲はそれぞれ異なります。
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相談先 |
対応できる範囲 |
特徴・注意点 |
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貸主・借主本人 |
自分自身で借主と交渉 |
費用はかからないが、専門知識や交渉力が必要 |
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弁護士 |
法律相談、交渉代理、書面作成、訴訟対応など |
交渉を含むほぼすべての範囲に対応できる唯一の専門家 |
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認定司法書士 |
請求額140万円以下の民事事件 |
立ち退き料が高額になりやすい店舗・テナントでは対応が難しいことが多い |
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不動産会社・管理会社 |
物件情報の提供、移転先の紹介、連絡調整など |
有償の交渉代行はできない |
特に不動産会社・管理会社への依頼には、弁護士法上の注意点があります。
以下で詳しく確認していきましょう。
貸主・借主本人|直接交渉することはできる
貸主自身が借主と交渉することには問題ありません。
費用を抑えられる一方で、
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正当事由の判断
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立ち退き料の算定
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借主との条件交渉
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合意書の作成
などを自分で進める必要があります。
交渉がこじれた場合は、途中から弁護士へ依頼することも可能です。
その場合に備え、借主とのメールや書面、話し合った内容などは記録として残しておくことをおすすめします。
弁護士|交渉から訴訟まで一貫して依頼できる
弁護士は、貸主の代理人として借主との交渉を含む、あらゆる範囲に対応できる唯一の専門家です。
交渉で解決しなかった場合も、そのまま建物明渡し訴訟などの手続きを依頼できる点が特徴です。
特に、以下の状況に該当する場合は、早めに相談を検討するとよいでしょう。
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借主との関係がすでに悪化している
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立ち退き料について大きな開きがある
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テナントの立ち退きで金額が高額になりそう
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建て替えや売却の期限が決まっている
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訴訟になる可能性がある
認定司法書士|140万円以下の民事事件のみ依頼できる
法務大臣の認定を受けた認定司法書士は、請求額が140万円以下の民事事件について、簡易裁判所における代理業務などを行うことができます。
立ち退き交渉についても、代理権が認められる範囲内で相談や交渉を依頼できる場合があります。
一方で、立ち退き料などの請求額が140万円を超える事件については、認定司法書士の代理権の範囲を超えるため注意が必要です。
特に店舗・テナントの立ち退きでは、移転費用や内装費、休業による損失などが含まれ、立ち退き料が高額になることがあります。
依頼を検討する際は、想定される立ち退き料などを確認したうえで、認定司法書士の対応範囲に含まれるかを確認しましょう。
金額が140万円を超える可能性がある場合や、訴訟を含めて一貫して依頼したい場合は、弁護士への相談を検討すると良いでしょう。
不動産会社・管理会社|物件情報の提供や連絡調整などを依頼できる
不動産会社や管理会社は、移転先の紹介や物件に関する情報提供、貸主と借主の連絡調整などをおこなうことができます。
一方で、弁護士ではない事業者が報酬を得て法律上の交渉を代理する場合、弁護士法違反(弁護士法第72条)にあたるおそれがあります。
そのため、管理会社などの「立ち退き交渉代行」といったサービスを利用する場合は、注意が必要です。
非弁行為(弁護士資格を持たない者による法律事務の取扱い)に該当すると判断された場合、交渉によって成立した合意内容が無効と判断されるリスクもあります。
法的な交渉を第三者へ任せたい場合は、弁護士への依頼を検討しましょう。
以下のサイトから依頼前に、相談先が弁護士本人かどうかを確認することをおすすめします。
立ち退き料の相場は?
立ち退き料の相場は、法律で一律の金額が決められているわけではありません。
また、住宅か店舗・テナントかによって金額は大きく異なります。
そのため、以下の金額はあくまで交渉を検討する際の目安として考えてください。
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物件種別 |
相場の目安 |
主な内訳 |
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住宅 |
家賃6ヵ月分程度+引越費用 |
引っ越し費用、賃料差額など |
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店舗・テナント |
家賃の1〜3年分相当 |
移転費用、内装費用、休業による損失、賃料差額など |
実際の立ち退き料は、正当事由の強さや物件の立地、営業年数などの個別事情によって増減します。
特に店舗・テナントの立ち退き料は、業種や営業実態によって金額が大きく変わるため、専門家に相談することをおすすめします。
立ち退き交渉が難航しているときに検討したい対処法
何ヵ月も交渉が進まないままだと、建て替えや売却の計画自体が遅れ、金銭的な負担も膨らんでいきます。
行き詰まりを感じた段階で、次にどう動くかを整理しておくことが重要です。
対処法は大きく2つに分かれます。
1つは弁護士に交渉そのものを任せて早期決着を図る方法、もう1つは交渉を経ずに物件を売却してしまう方法です。
どちらが適しているかは、物件の状況や貸主自身の希望によって変わります。
弁護士に交渉を一任し長期化を防ぐ
自分で交渉を続けることに限界を感じてきた場合は、早い段階で弁護士に交渉を一任することで、時間的・精神的な負担を抑えられます。
交渉が長引くほど、空室による家賃収入の損失や、建て替え・売却計画の遅れといったコストがかさんでいきます。
初回相談から着手までの流れは事務所によって異なりますが、多くの場合、まずは無料相談で状況を伝えるところから始まります。
交渉が行き詰まっていると感じたら、早めに無料相談を利用しましょう。
これまでのやり取りの記録(通知書・メール・メモ等)を整理しておくと、弁護士への説明がスムーズになり、着手までの時間を短縮できます。
複数の事務所で無料相談を受け、対応方針や費用感を比較してから依頼先を決めることも、納得感のある選択につながります。
入居者がいる状態のまま物件を売却するという選択肢もある
立ち退き交渉そのものを避けたい場合、入居者がいる状態のまま(オーナーチェンジ物件として)専門の買取業者に売却するという方法もあります。
買主が交渉を引き継ぐ形になるため、貸主自身が立ち退き交渉にかかる時間や精神的な負担、非弁行為のリスクを負わずに済む場合があります。
共有名義になっている物件や相続が絡む物件など、権利関係が複雑なケースでも、司法書士・弁護士と連携した買取に対応できる業者であれば相談できます。
交渉の負担そのものをなくしたい場合は、入居者がいる状態での売却も検討してみましょう。
売却価格は、立ち退き交渉を経て更地・空室で売却する場合と比べると低くなる傾向がありますが、交渉にかかる時間・費用・精神的な負担を差し引いて考えると、総合的に見て有利になる場合もあります。
立ち退き交渉を弁護士に依頼するメリット
立ち退き交渉を弁護士へ依頼する主なメリットは、以下の4つです。
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借主と直接交渉する負担を減らせる
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法的な見通しを踏まえて条件を検討できる
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合意書作成から訴訟まで任せられる
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立ち退き料を裁判例に基づいた合理的な金額に設定できる
一方で、弁護士費用というコストが発生する点はデメリットといえます。
メリットについて詳しく見ていきましょう。
借主と直接交渉する負担を減らせる
立ち退き交渉では、貸主と借主の利害が正面から対立します。
特に長期間入居している借主や、過去に家賃・修繕などをめぐるトラブルがあった借主とは、話し合いが感情的になりやすいことがあります。
弁護士を代理人にすることで、貸主自身が借主と直接やり取りする機会を減らせます。
法的な見通しを踏まえて条件を検討できる
立ち退き料は、単純な相場だけで決められるものではありません。
正当事由の程度や借主側の事情なども踏まえて検討する必要があります。
弁護士に相談することで、以下のような点を整理しやすくなります。
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現在の提示額が妥当か
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どこまで譲歩するべきか
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交渉を続けるべきか
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訴訟に進んだ場合にどのような見通しになるか
合意書作成から訴訟まで任せられる
交渉がまとまった場合には合意書を作成する必要があります。
一方、合意できない場合は訴訟に進む可能性があります。
弁護士へ依頼していれば、交渉だけでなく、合意書の作成や訴訟への移行まで対応を依頼できます。
立ち退き料を裁判例に基づいた合理的な金額に設定できる
立ち退き料には一律の相場があるわけではなく、物件の状況や立ち退きを求める理由、借主側の事情などによって金額が変わります。
弁護士に依頼すれば、過去の裁判例や類似案件を参考にしながら、妥当な立ち退き料を検討してもらえます。
貸主側であれば過大な請求を避けやすくなり、双方が金額面の納得感を高めるうえで有効だといえます。
立ち退き交渉を弁護士に依頼した場合の費用相場
弁護士に立ち退き交渉を依頼した場合の費用相場を紹介します。
事前に費用の全体像を把握しておくと、依頼するかどうかの判断がしやすくなります。
費用体系は「相談料」「着手金」「報酬金」の3つに分かれるのが一般的です。
それぞれの目安を表にまとめましたので、依頼を検討する際の参考にしてください。
事務所によって設定が異なるため、必ず見積もり時に個別に確認しましょう。
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費用項目 |
目安金額 |
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相談料 |
30分5,000円程度(無料相談を実施する事務所も多い) |
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着手金 |
30万円前後 |
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報酬金 |
経済的利益に応じて設定 |
このほか、郵送費や印紙代などの実費が発生する場合があります。
実際に依頼をする際は、以下の費用を事前に確認しておくと良いでしょう。
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着手金
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報酬金
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訴訟になった場合の追加費用
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実費
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日当
借主は立ち退きを拒否できる?貸主側も知っておきたいポイント
貸主側が立ち退き交渉を進める際は、「借主にはどの程度拒否する余地があるのか」も理解しておく必要があります。
正当事由が十分でない場合は交渉が難しくなりやすい
普通借家契約で貸主都合による立ち退きを求める場合、正当事由が重要になります。
正当事由が弱い場合や、借主側の負担に対して立ち退き料などの条件が十分でない場合は、借主が退去に応じない可能性があります。
その場合は、
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立ち退きを求める理由
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退去時期
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立ち退き料
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移転費用
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その他の条件
を見直し、合意できる余地がないか検討する必要があります。
定期借家契約や重大な契約違反では事情が異なる
定期借家契約や借主側の重大な契約違反があるケースでは、普通借家契約における貸主都合の立ち退きとは考え方が異なります。
ただし、定期借家契約であっても契約終了に必要な手続きがあります。
また、契約違反を理由に解除する場合も、実際に解除が認められるかどうかは個別事情によって異なります。
契約内容やこれまでの経緯を確認したうえで判断しましょう。
立ち退き交渉トラブルなら「ベンナビ法律相談Q&A」で解決
立ち退き交渉は、当事者同士の話し合いだけでは感情的な対立に発展しやすく、正当事由の有無や立ち退き料の算定方法によって、解決までの道のりが大きく変わります。
早い段階で弁護士に相談することで、交渉の代理や合意書の作成、訴訟に発展した場合の対応まで、具体的な選択肢が見えてきます。
とはいえ、「これって弁護士に相談すべきレベルの話なのか」判断がつかない、という方も多いでしょう。
ベンナビ法律相談Q&Aでは、質問を投稿すると、立ち退き交渉などの分野を得意とする弁護士が無料で回答してくれるため、解決に向けた具体的な対処方法がわかります。
まずは無料相談を活用し、自分の状況で何ができるのかを確認してみましょう。
立ち退き交渉に関するよくある質問
さいごに、立ち退き交渉についてよく寄せられる質問を紹介します。
立ち退き交渉で失敗した例にはどんなものがある?
相場を確認せずに低い立ち退き料を提示して交渉が決裂したケースや、口頭のみで合意し、後から「言った、言わない」のトラブルになるケースが典型的です。
感情的な対立に発展した場合は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
立ち退き交渉の弁護士費用は経費にできる?
賃貸経営にともなう立ち退き交渉であれば、弁護士費用は不動産所得の必要経費として計上できるのが一般的です。
ただし計上の可否は個々の事情によって異なるため、詳しい取り扱いは税理士に確認することをおすすめします。
立ち退き交渉は誰ができる?
貸主・借主本人が自分で交渉すること自体は問題ありません。
報酬を得て交渉を代行できるのは原則として弁護士のみで、不動産会社や管理会社による有償の交渉代行は弁護士法違反になる可能性があります。
立ち退き交渉の文例はある?
立ち退きを求める通知は、理由・希望時期・立ち退き料の考え方を記載した書面で送るのが基本です。
内容証明郵便を利用すると、通知した事実と内容を証拠として残せます。
文面は個別の事情によって変わるため、弁護士に確認しながら作成することをおすすめします。
立ち退き交渉の代行費用はいくら?
弁護士に依頼する場合、着手金30万円前後、報酬金は経済的利益に応じて設定されるのが一般的です。
詳しい費用体系は「立ち退き交渉を弁護士に依頼した場合の費用相場」で解説しています。
まとめ
立ち退き交渉を円滑に進めるためには、いきなり立ち退き料の金額を提示するのではなく、立ち退きを求める理由と借主側の事情を整理したうえで条件を調整することが重要です。
当事者間での交渉が難しい場合や、高額な立ち退き料を請求されている場合、建て替え・売却の期限が迫っている場合は、早めに弁護士へ相談することも検討しましょう。
立ち退き交渉を続ける負担が大きい場合は、入居者がいる状態で物件を売却する方法もあります。
交渉・訴訟・売却それぞれにかかる費用と時間を比較し、自分の物件に合った方法を検討することが大切です。
