ご質問について一般的な範囲で回答いたします。まず、アメリカの刑事判決に基づく財産刑が課せられた場合でも、アメリカの刑事判決は原則としてアメリカ国内でしか適用されません。また、外国判決の確認手続に関する日本国の民事訴訟法118条は、基本的に、民事判決のみ適用されるものであって、外国の刑事判決には適用がないと解されるため、この刑事判決を日本国内で執行することは基本的にありません。(ただし、国によっては、刑事裁判手続の中で、民事上の被害賠償を命じる法制度をとっている場合もあり、一概には言えません。)
また、「引き渡し条約などにより移送された場合」とは、ご質問の文脈から、日米犯罪人引渡条約(1980年発効)により、日本に居住する方が同条約に基づき米国に引き渡された場合に、米国政府が日本国内に残された財産を差押えられるか?とのご趣旨であると理解しました。財産刑ということですので、そもそも上記の犯罪人引渡条約の対象(条約別表1)とならない軽罪も考えられますが、仮に対象となるとしても、上記のとおり、アメリカで財産刑を命じる刑事判決はアメリカ国内でのみ適用されて、日本国内には原則として効力は及びませんので、やはり、日本国内に残された財産を米国政府が刑事処分として差し押さえることは基本的にありません。
もっとも、アメリカで罰金刑の刑事判決が下されたということは、アメリカ国内に被害者が存在し(個人の場合も行政の場合もあり得ます)、それに基づきアメリカ国内で刑事判決のみならず民事判決も下されるような場合には、日本国で上記の民事訴訟法118条の適用の可能性が出てきます。この場合は、刑事上の財産刑による徴収ではなく、民事上の損害賠償請求の執行という形で、差押えを受ける可能性があるということになります。
補足ながら、仮に、日本に残された財産それ自体が違法である場合(犯罪収益物、マネーロンダリング等)には、別の論点として、日米の刑事共助条約に基づき、日本国内でも捜査共助の対象となる可能性も出て来ます。
日本の法律や条約においては、一部例外的な規定も存在します。具体的な状況によってその適用が変わる可能性があるため、詳細な対応を検討される場合は、専門家の助けを借りることをおすすめします。国際法に知見のある弁護士と綿密に相談することで、具体的な解決策を見つけることが可能です。
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