誓約書のサインはどうしたらよいか。ラインのやりとりと一度食事しただけです。

良い行為だったかというとなんともいえませんが、食事をしただけでは不貞行為ではありませんから、違法とまではいえません。
また、その状態で、相手の誓約書へのサインに応じる必要はありません。
そのような誓約書の内容かにもよりますが、そこで不貞行為があったかのような内容になっていた場合、取り返しが付かなくなる可能性もありますから、サインをすること自体、止めた方がいいです。
もし会社に乗り込んで来た場合、面会を拒否するよう、会社の人に協力してもらうこともお考えになられたほうがいいですし、場合によっては弁護士名で会社に来ないよう注意する通知を送ることもお考えになられた方がいいです。

危険かどうかは、内容によります。

【１】結論

　①問題がないケース

　　「今後、二度と会わない」、「二人きりで食事しない」という内容を誓約するだけなら、問題はありません。
　　サインして、大丈夫です。

　②問題があるケース

　これに対し、「今後会ったら、又は二人きりで食事したら、違約金（又は賠償金、慰謝料等）として、〇〇万円支払う。」という内容を含む場合は、サインするのは危険です。
　
　たまたま街で偶然見かけて会話しただけで、「会ったから、〇〇万円払え。」と言われるリスクもあります。

　また、本件がそれに該当するかはわかりませんが、例えば、その男性と奥様が共謀して、男性から、わざと再びしつこく食事に誘い、奥様に場所を伝えて、それを偶然発見した体を装って、違約金等を請求される可能性も否定できません。
　もちろん、男性と奥様がそのような悪だくみをしているとは限りませんので、あくまで可能性の問題です。

　もう１つ、今回は、食事をしただけですが、その二人での食事のことを、「不貞行為」だと言い換えられ、「私は〇〇氏（男性の名前）と不貞行為をしたことを認める。」という条項が入っている場合も、サインしてはいけません。

　奥様との会話の中では、「二人で食事するのも不貞行為だから、それは認めなさい。」と言われて、サインしてしまっただけだとしても、裁判所や弁護士は、肉体関係もあったことを認めたと誤解しますので、後からそれを覆すのが、大変になります。

　以上のような内容を含む場合は、訂正を求めるなどして、①のような、ただの会わないことの誓約にとどめるような内容にするべきです。

【２】補足

　以前は、争いがありましたが、現在、「不貞行為」というのは、肉体関係のみをいうというのが、判例・実務の一致した見解です。
　したがって、既婚者と二人きりで食事をしただけでは不貞行為になりませんし、慰謝料も発生しませんし、民法上、違法でもありません。

　ただ、今後のトラブルを防止するため、会わないという誓約書を書くのは、問題ありませんが、その違法ではない行為（今後、会ったり、食事をしたりすること）を再びしたら、違約金を払うという約束は、不合理だと思います。

　そのような観点から、上記のように、サインさせられる誓約書の内容に応じて、応じるか否か、検討するのがよろしいかと思います。　

お問い合わせありがとうございます。

署名するリスクは、どのようなことが記載されているのかにもよりますが、約束できないことが少しでも書かれているのであれば、原則的に、署名されない方がよろしいかとは思います。

食事に行くこと自体は何ら違法な行為ではないので、そもそも何かを書面で誓約しなくてはいけないほどのことではないとも考えられます。

また、意に反して署名を強要されるなどした場合は、相手が犯罪に当たる可能性も生じます。

ご不安があるようでしたら、一度書面を預かりたい旨相手にお伝えいただき、署名するリスクがないかご相談いただくのもよろしいかと思います。なお、書面のチェックは有料となりますので、予めご了承ください。

よろしくご検討ください。