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仕事でうつ病になったら損害賠償は請求できる?条件や相場、事例を紹介

弁護士監修記事
労働問題 労働災害
2026年06月08日
仕事でうつ病になったら損害賠償は請求できる?条件や相場、事例を紹介
この記事を監修した弁護士
加藤 惇弁護士 (東日本総合法律会計事務所)
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  • 「仕事のストレスでうつ病になってしまったけど、会社に責任はあるのだろうか…」
  • 「損害賠償を請求できると聞いたけど、実際どんな条件が必要なの?」

このように悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

業務上の過度なストレスや長時間労働、ハラスメントなどが原因でうつ病を発症した場合、会社に安全配慮義務違反が認められれば、損害賠償を請求できる可能性があります。

本記事では、仕事が原因でうつ病になった場合に損害賠償を請求できる条件や慰謝料の相場、実際の事例までわかりやすく解説します。

請求を検討している方や、自分のケースが該当するのか知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

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仕事でうつ病に!会社に損害賠償を請求できる2種類のケースとは?

仕事が原因でうつ病を発症した場合でも、全てのケースで会社に損害賠償を請求できるわけではありません。

損害賠償が認められるかどうかは、「会社に法的な責任があるか」という点を基準に判断されます。

会社に対する損害賠償請求が認められる代表的なケースは、次の2つです。

  • 会社が従業員の心身の安全に配慮すべき義務を怠った場合
  • 上司や同僚の行為について、会社に使用者としての責任が認められる場合

ここからは、それぞれのケースについて、どのような状況で該当するのかを解説します。

会社が安全配慮義務違反をしたといえる場合

仕事でうつ病を発症した際に損害賠償ができるのは、会社が安全配慮義務違反をしたといえる場合です。

そもそも会社は、労働契約に基づいて従業員が安全かつ健康に働けるよう配慮する義務を負っています。

これを安全配慮義務といい、身体的な安全だけでなく、精神的な健康も含まれます。

業務による強いストレスや過重労働が続き、その結果としてうつ病を発症した場合、会社が適切な対応を取っていなければ、安全配慮義務違反として損害賠償責任が認められるケースも少なくありません。

安全配慮義務違反が問題となるかどうかは、主に次の2点から判断されます。

項目 内容
予見可能性 うつ病などの健康被害が生じるおそれを、会社が認識できた、または認識できたはずかどうか
結果回避性 健康被害を防ぐために、業務調整や配置転換などの措置を取ることが可能だったかどうか

そして、安全配慮義務違反に該当しやすいのは、次のようなケースです。

  • 慢性的な長時間労働が続いていたにもかかわらず、是正措置を取らなかった
  • 明らかに強いストレスがかかっている状況を把握していながら、業務量や配置の見直しをおこなわなかった
  • パワハラやモラハラが発生していることを認識していたにもかかわらず、調査や指導をおこなわなかった

このように、会社が問題を把握できる状況にありながら、何ら対応をしなかった場合には、安全配慮義務違反が認められる可能性が高くなります。

一方で、会社が速やかに調査をおこない、加害者への指導や配置転換などの対応をしていた場合には、違反が否定されることもあります。

会社に「使用者責任」を問える場合

仕事が原因で発症したうつ病について、損害賠償請求ができるもう一つのケースが、会社に対して使用者責任を問える場合です。

使用者責任とは、従業員が業務の中で他の従業員に損害を与えた場合、その使用者である会社も責任を負うという考え方です。

上司や同僚によるパワハラやモラハラが原因でうつ病を発症した場合、行為をおこなった本人だけでなく、会社に対しても損害賠償を請求できる可能性があります。

使用者責任が問題となるのは、具体的に次のようなケースです。

  • 上司からの継続的なパワハラにより、精神的な不調が生じた
  • 業務指導の範囲を超えた暴言や威圧的な言動が日常的におこなわれていた
  • ハラスメントが業務時間中や職場で発生していた

このような場合、加害行為は個人の問題に見えても、業務に関連しておこなわれていれば、会社にも責任が及ぶと判断される可能性があります。

上司などの加害者個人にも損害賠償を請求できる可能性がある

上司のパワハラやセクハラが原因でうつ病を発症した場合、会社だけでなく、加害者である上司個人にも損害賠償を請求できる可能性があります。

これは、上司の言動が業務の一環としておこなわれ、うつ病との因果関係が認められたときには、本人の不法行為責任と会社の使用者責任の両方を問えるためです。

ただし、部下がうつ病を発症したという事実のみで、直ちに上司の責任が認められるわけではありません。

私生活上の事情や既往症など、仕事以外の要因が大きい場合や、上司が不調に早期に気づき適切な対応をしていた場合には、責任が否定される可能性もあります。

損害賠償を請求するには証拠が必要

うつ病を理由に会社へ損害賠償を請求するには、証拠の確保が欠かせません。

証拠がなければ、会社に法的責任を問うのは難しくなります。

そのため、勤務時間や業務量を示す記録、業務上の指示や叱責がわかるメール、ハラスメント行為を記録した音声データ、日々の状況を書き留めた記録などの有効な証拠を残しておくことが大切です。

また、うつ病を発症した事実については、医師による診断書が重要な資料となります。

これらの証拠は、損害賠償請求だけでなく、労災申請においても役立つため、安易に破棄せず整理して保管しておくことが重要です。

仕事でうつ病になった場合の賠償額(慰謝料)相場はどのくらい?

仕事が原因でうつ病を発症した場合に請求できる慰謝料の額は、一律に決まっているものではありません。

その理由は、うつ病の発症に至る経緯や、加害行為の悪質性、被害の大きさがケースごとに大きく異なるためです。

比較的軽度と評価されるハラスメントであれば、慰謝料が100万円未満にとどまることもありますが、内容が悪質で被害が深刻な場合には、数百万円規模となることもあります。

なお、被害に遭った労働者自身が、どの程度の慰謝料が妥当かを判断するのは容易ではありません。

慰謝料の相場や見通しについては、弁護士に相談して確認するとよいでしょう。

賠償額(慰謝料)が高くなる要因とは?

仕事が原因で発症したうつ病に対する慰謝料額は、複数の事情を総合して判断されます。

特に、加害行為の内容が悪質であるかどうかは重要な要素です。

うつ病の原因となった行為に、暴力的な言動や人格を否定する行為が含まれる場合には、精神的苦痛が大きいと評価されやすくなります。

また、上司と部下のように立場の差が大きい関係では、被害者が抵抗しづらいことから、慰謝料が高額になる傾向があります。

さらに、ハラスメントが長期間にわたっていたか、加害者が複数人に及んでいたか、うつ病によって退職を余儀なくされたかといった点も重要な判断材料です。

仕事でうつ病になったとして会社に損害賠償請求をした事例

ここでは、実際に仕事が原因でうつ病を発症し、会社に対して損害賠償請求をおこなった解決事例を紹介します。

パワハラが原因でうつ病になり会社に損害賠償請求をした事例

事務職として勤務していた50代女性が、上司から人格を否定する発言を繰り返し受けた結果、うつ病を発症し、長期間の休職を余儀なくされた事例です。

労災認定を受けたあと、労災保険では補償されない損害について会社に損害賠償を請求するため、弁護士に相談しました。

弁護士が治療費や休業損害、逸失利益、慰謝料などを算定し、労災給付との差額を会社に請求したところ、交渉の結果、約6か月で1,400万円の和解金を受け取る内容で解決しました。

パワハラが原因で精神疾患を発症した場合、労災申請だけでなく、会社や加害者に対して損害賠償請求が可能であることを示す事例です。

【事例】【損害賠償請求】パワハラが原因でうつ病になったとして損害賠償請求をした事例

長時間労働が原因でうつ病になり会社に損害賠償請求をした事例

佐賀県内の運送会社でトラックドライバーとして勤務していた40代男性が、月100~200時間に及ぶ長時間労働を続けた結果、うつ病を発症し、退職に至った事例です。

労災申請の結果、長時間労働が原因としてうつ病の労災認定を受けました。

その後、未払い残業代の請求とあわせて、労災で補償されない慰謝料などについて会社に損害賠償請求をおこないました。

交渉の結果、解決金1,000万円の支払いを受ける内容で和解が成立しています。

長時間労働による精神疾患の場合でも、労災認定を前提として会社に損害賠償請求が可能であることを示す事例です。

【事例】【残業代、損害賠償】1,000万円の支払いを受ける和解が成立した事例

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仕事でうつ病になった場合に会社へ損害賠償請求をする流れ

仕事が原因でうつ病を発症し、会社に損害賠償を請求する流れは、以下のとおりです。

  1. 労災の申請をする
  2. 会社と示談交渉をおこなう
  3. 示談が成立しない場合は労働審判や訴訟を提起する

ここでは、それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。

1.労災の申請をする

仕事が原因でうつ病を発症した場合、まずは事業場の所在地を管轄する労働基準監督署に対し、労災保険給付の申請をおこないます。

もし労災認定を受けられれば、治療費や休業補償などの給付を受けられるだけでなく、会社に対する損害賠償請求を検討するうえでも重要な前提となります。

申請にあたっては、医療機関を受診し、医師の診断を受けることが必要です。

受診時には健康保険証を使用せず、業務による受診であることを伝えてください。

労災指定医療機関で受診した場合は、治療費の自己負担は原則として発生しません。

なお、労災申請では、請求書に事業主証明欄への記載を求めることが一般的ですが、会社が協力しない場合でも、労働者本人が労働基準監督署に請求することは可能です。

その場合、申請書の事業主証明欄が空欄であっても、労働基準監督署は申請を受理し、必要に応じて会社側への調査をおこないます。

うつ病による労災申請の方法については、以下の記事もあわせて参考にしてください。

【関連記事】労災(労働災害)とは?適用条件・補償内容・申請方法の解説

2.会社と示談交渉をおこなう

労災申請と並行して、会社に対する示談交渉をおこないます。

示談では、労働者と会社がそれぞれ条件を提示し、話し合いによって解決を目指します。

示談は、裁判に比べて短期間で解決できる可能性があり、精神的・時間的な負担を抑えやすい点が特徴です。

弁護士に依頼すれば、会社とのやり取りを一任できるため、交渉に伴う負担を軽減できます。

3.示談が成立しない場合は労働審判や訴訟を提起する

示談による解決が難しい場合は、労働審判や訴訟といった法的手続きによって、引き続き損害賠償を請求します。

これらの手続きでは、労働者側の主張が法的に合理的であることを、労働審判委員会や裁判所に理解してもらうことが必要です。

そのため、法的根拠に基づいた主張と立証をおこなうことが不可欠であり、弁護士を代理人として手続きを進めることが、現実的な選択肢となります。

うつ病の損害賠償請求や訴訟などを個人でするのは難しい?弁護士に相談・依頼すべき?

仕事が原因でうつ病を発症し、会社に損害賠償を請求する場合、個人で対応するのは容易ではありません。

会社との交渉や、労働審判・訴訟といった法的手続きでは、法律の知識や実務的な判断が求められます。

特に、慰謝料の適正な金額や、どのような主張・証拠が必要かを個人で判断することは容易ではありません。

当事者同士の交渉では感情的な対立が生じやすく、本来請求できる額よりも低い内容で合意してしまうおそれもあります。

弁護士に相談・依頼すれば、会社との交渉を任せることができ、精神的な負担を軽減できます。

また、示談がまとまらず労働審判や訴訟に進む場合でも、書類作成や手続きを一任できるため、治療や生活の立て直しに専念しやすくなります。

早い段階で弁護士に相談し、進め方を整理することが現実的な選択といえるでしょう。

さいごに|うつ病になって損害賠償請求をするなら弁護士に相談を!

仕事が原因でうつ病を発症した場合、損害賠償請求の可否や金額は個別の事情によって判断されます。

実際の手続きでは、労災申請や示談交渉など複数の段階を踏む必要があり、精神的にも大きな負担がかかります。

うつ病の治療を続けながら、これらを一人で進めることは容易ではありません。

そのため、会社に対する損害賠償請求を検討する場合には、早い段階で弁護士に相談し、自身の状況で何ができるのかを整理することが重要です。

弁護士に相談することで、請求の見通しや進め方が明確になり、無理のない形で対応を進めやすくなります。

会社の対応に疑問を感じている場合や、このまま泣き寝入りしてよいのか迷っている場合は、一人で抱え込まず、専門家への相談を検討してください。

状況を整理することが、次の一歩につながります。

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