瑕疵担保責任の期間は何年?売買・新築・工事別の期限と過ぎた後の対処法
購入した家で雨漏りや床の傾きを見つけたものの、「引渡しから何年も経っているし、もう売主には請求できないのでは」と迷っていませんか。
実は、現在の民法では、瑕疵担保責任(現在の契約不適合責任)の期間は「引渡しから◯年」で一律に切れるわけではありません。
不具合を知ってから1年以内に売主へ通知するのが基本で、契約の内容や取引の種類によって期限が変わる仕組みです。
本記事では、購入した側(買主・注文者)の目線で、瑕疵担保責任の期間の数え方・取引別の期限・期間内にやるべきこと・期間が過ぎた後の対処法を解説します。
読み終えるころには、自分のケースがまだ請求できる期間内かを判断し、次に何をすべきかがわかるようになります。
- 【結論】瑕疵担保責任の期間は不具合を知ってから1年以内
- 瑕疵担保責任の期間は「通知期間」と「消滅時効」の2段階で考える
- 取引・物件別の瑕疵担保責任の期間4つのケース
- 2020年3月以前の契約は旧民法の瑕疵担保責任の期間が適用される
- 特約で瑕疵担保責任の期間を短縮・免除できるケースとできないケース
- 瑕疵担保責任の期間内に買主がやるべき3つのこと
- 瑕疵担保責任の期間が過ぎた後でも請求できる可能性がある3つのケース
- 売主・施工会社が知っておきたい瑕疵担保責任の期間の注意点
- 瑕疵担保責任の期間で迷ったときの相談先
- 瑕疵担保責任の期間に関する悩みは「ベンナビ法律相談Q&A」で解決しよう
- 瑕疵担保責任の期間に関するよくある質問
- まとめ
【結論】瑕疵担保責任の期間は不具合を知ってから1年以内
瑕疵担保責任の期間は、買主が不具合を知った時から1年以内に売主へ通知することが基本です。
瑕疵(かし・不具合や欠陥のこと)に対する売主の責任は、2020年4月1日施行の改正民法で「契約不適合責任」に呼び方が変わりました。
改正民法は、期間の考え方も「1年以内に請求する」から「1年以内に通知する」へと改めました。
通知を済ませた後は、消滅時効(権利を使わないまま一定期間が過ぎると権利が消える制度)の範囲で、修補や損害賠償などを請求できます。
もっとも、売主が個人か宅建業者(不動産会社)か、物件が新築か中古かなどによって、期間のルールは次の表のように異なるのが実際のところです。
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取引・物件 |
期間の目安 |
根拠 |
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個人が売主の中古住宅・土地 |
特約で「引渡しから3か月」などに短縮されることが多い |
民法566条 |
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宅建業者が売主 |
引渡しから2年以上とする特約が一般的 |
宅地建物取引業法40条 |
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新築住宅の構造・雨漏り |
引渡しから10年・特約で20年まで延長可 |
住宅品質確保法94条・95条・97条 |
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注文住宅・リフォームなどの工事 |
知ってから1年以内の通知・約款で引渡しから2年とする例が多い |
民法637条 |
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2020年3月31日以前の契約 |
知ってから1年以内に権利行使・引渡しから10年で時効 |
旧民法 |
まずは売買契約書や工事請負契約書の契約日と、「契約不適合責任」「瑕疵担保責任」の条項を確認しましょう。
期間内であれば、買主は要件に応じて、修補(追完)・代金の減額・損害賠償・契約の解除を請求できます。
それぞれの権利の内容や、瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いは、以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】瑕疵担保責任とは?契約不適合責任との違いと売主が負う期間を解説
瑕疵担保責任の期間は「通知期間」と「消滅時効」の2段階で考える
瑕疵担保責任の期間は、「1年以内に通知する期限」と「権利そのものが時効で消える期限」の2つが重なっています。
どちらか一方を過ぎると請求できなくなるため、両方を確認しておく必要があります。
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通知期間:不具合を知ってから1年以内に売主へ通知する
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消滅時効:知ってから5年、または引渡しから10年のいずれか早いほうで権利が消える
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
1. 通知期間|不具合を知ってから1年以内に売主へ伝える
買主は、種類や品質に関する不具合を知った時から1年以内に、不具合があることを売主へ通知しなければなりません。
通知期間の起点は引渡しの日ではなく、買主が不具合に気づいた日です。
たとえば、引渡しから3年後に雨漏りに気づいた場合は、気づいた日から1年以内に通知すれば権利を残せます。
通知では、不具合の種類とおおよその範囲を伝えれば十分で、請求する金額まで決めておく必要はないとされています。
例外として、売主が引渡しの時点で不具合を知っていた場合や、重大な過失で知らなかった場合は、1年の制限がかからないというルールです。
面積が足りない場合や他人の権利が付いていた場合など、品質以外の不適合も1年の通知期間の対象外で、消滅時効だけが問題になります。
2. 消滅時効|知ってから5年・引渡しから10年で権利が消える
通知を済ませた後の請求権は、不具合を知った時から5年、または引渡しから10年のいずれか早いほうで時効により消滅します。
民法166条1項が定める、債権の消滅時効の一般ルールが適用されるためです。
「1年以内に通知したから、もういつでも請求できる」というわけではありません。
通知した後も、5年以内に交渉・調停・訴訟などで請求を進めておくことが大切です。
引渡しから10年を過ぎてから見つけた不具合は、原則として売主に請求できません。
具体例|引渡しから3年後に雨漏りを見つけた場合

期間は、「気づいた日から1年」と「気づいた日から5年・引渡しから10年の早いほう」の2つを順に数えます。
たとえば、2023年4月1日に中古住宅の引渡しを受け、2026年6月1日に雨漏りに気づいたとします。
通知期限は、気づいた日から1年後の2027年6月1日までです。
請求権の時効は、気づいた日から5年の2031年6月1日と、引渡しから10年の2033年4月1日のうち、早い2031年6月1日になります。
一方、2021年4月1日に引渡しを受け、2030年10月1日に気づいた場合は、引渡しから10年の2031年4月1日が先に到来します。
通知期限の2031年10月1日を待たずに時効が完成するため、2031年4月1日までに請求の手続きを進めましょう。
個人間の売買では、売主と買主が特約で通知期間を「引渡しから3か月」などに短縮しているケースが多く、特約がある場合はその期間が優先します。
取引・物件別の瑕疵担保責任の期間4つのケース

瑕疵担保責任の期間は、売主が個人か不動産会社か、新築か中古か、売買か工事かによって変わります。
期間の数字は冒頭の早見表のとおりで、以下では各ケースで「特約によって期間がどう変わるか」に注目して解説します。
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個人が売主の中古住宅・土地:特約での短縮・免除が原則できる
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宅建業者が売主:引渡しから2年未満にはできない
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新築住宅の構造・雨漏り:10年より短くできない(20年までの延長は可能)
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注文住宅・リフォームなどの工事:消費者に一方的に不利な特約は無効になりうる
自分の取引がどれに当てはまるかを確認したうえで、契約書の該当条項を読んでみてください。
1. 個人が売主の中古住宅・土地|特約で数か月に短縮されることが多い
個人どうしの売買では、契約書の特約で通知期間を「引渡しから3か月以内」などに短縮したり、責任を免除したりすることが認められています。
民法の期間のルールは任意規定(当事者の合意で変えられる規定)であるためです。
築年数の古い建物では、「現況有姿で引き渡し、売主は契約不適合責任を負わない」とする免責特約もよく使われます。
例外は、売主が知りながら告げなかった不具合で、特約があっても売主は責任を免れません(民法572条)。
土地の地中埋設物や土壌汚染なども同じ枠組みで判断されるため、まずは特約の有無と期間を確認しましょう。
2. 宅建業者が売主|引渡しから2年以上
不動産会社が自ら売主となって個人に売る場合、通知期間を「引渡しの日から2年以上」とする特約以外の、買主に不利な特約は無効です。
そのため、宅建業者が売主の契約書では「引渡しから2年」と定めるのが一般的です。
「引渡しから1年」のように2年未満とした特約や、責任を負わないとする特約は無効となり、民法の原則(知ってから1年以内の通知)に戻ります。
注意したいのは、不動産会社が仲介しただけで、売主が個人の場合はこのルールが適用されない点です。
契約書の「売主」欄が誰になっているかを、あわせて見ておくことが大切です。
3. 新築住宅|構造と雨漏りは引渡しから10年
新築住宅の構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分の瑕疵については、売主や施工会社が引渡しから10年間責任を負います。
住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保法)が定めるもので、10年より短くする特約は無効です。
売主が施工会社から引渡しを受けて販売した建売住宅などでは、施工会社から売主への引渡しの時から10年を数えます。
対象は基礎・柱・梁・床・屋根・外壁・開口部などで、内装や給湯器などの設備は対象外です。
特約を結べば、責任を負う期間を引渡しから20年まで延ばすこともできます。
10年の期間内でも、不具合を知ってから1年以内に通知する必要がある点は、通常の売買と同じです。
2009年10月1日以降に引き渡された新築住宅については、売主・施工会社に保険への加入か、保証金を法務局などに預けることが義務づけられています。
根拠は、住宅瑕疵担保履行法(特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律)です。
そのため、売主や施工会社が倒産していても、保険法人などに補修費用を請求できる場合があります。
【参考】住宅の品質確保の促進等に関する法律(e-Gov 法令検索)・特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(e-Gov 法令検索)
4. 注文住宅・リフォームなどの工事|請負は知ってから1年+約款の定め
工事を依頼した場合(請負契約)も、注文者が不具合を知ってから1年以内に施工会社へ通知するのが民法の原則です(民法637条)。
実際の期間は、工事請負契約書や約款の定めで決まるのが一般的です。
民間の工事請負契約の約款では、引渡しから2年(設備機器や内装は1年)とする例が見られます。
ただし、新築住宅の構造や雨漏りにかかわる部分については、住宅品質確保法の10年が優先です。
施工会社が事業者で、注文者が個人の場合は消費者契約法も適用されるため、消費者に一方的に不利な短い期間の特約は無効になる可能性があります。
【参考】民法第637条(e-Gov 法令検索)・消費者契約法(e-Gov 法令検索)
2020年3月以前の契約は旧民法の瑕疵担保責任の期間が適用される
2020年3月31日までに結んだ契約には、旧民法の瑕疵担保責任のルールがそのまま適用されます。
改正民法の経過措置により、施行日より前に締結された売買契約や請負契約には、改正前の規定が使われるためです。
新旧の違いは次のとおりです。
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項目 |
旧民法・2020年3月31日以前の契約 |
改正民法・2020年4月1日以降の契約 |
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名称 |
瑕疵担保責任 |
契約不適合責任 |
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期間の起点 |
瑕疵を知った時 |
不適合を知った時 |
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1年以内にすること |
損害賠償・解除などの権利行使 |
売主への通知 |
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時効 |
引渡しから10年 |
知ってから5年・引渡しから10年の早いほう |
旧民法では、1年以内に単に不具合を伝えるだけでは足りず、損害賠償などを請求する意思を具体的に示す必要があるとされていました(最高裁平成4年10月20日判決)。
また、瑕疵担保責任にもとづく損害賠償請求権は、引渡しから10年で時効にかかるとされています(最高裁平成13年11月27日判決)。
契約日が2020年4月1日をまたぐかどうかで期限の考え方が変わるため、売買契約書の契約締結日を確認しておきましょう。
特約で瑕疵担保責任の期間を短縮・免除できるケースとできないケース
期間を短くしたり責任を免除したりする特約は、原則として有効ですが、法律で無効とされる場面が4つあります。
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ケース |
特約の効力 |
根拠 |
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売主が不具合を知りながら告げなかった |
その不具合については無効 |
民法572条 |
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宅建業者が売主で、通知期間が引渡しから2年未満 |
無効 |
宅地建物取引業法40条 |
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新築住宅の構造・雨漏りで10年より短い |
無効 |
住宅品質確保法94条・95条 |
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事業者と消費者の契約で、責任を全部免除するなど消費者に一方的に不利 |
無効になりうる |
消費者契約法8条・10条 |
個人が売主の中古住宅で「引渡しから3か月」と定めた特約は、上の4つに当たらなければ有効です。
一方、特約が無効と判断されると、民法の原則である「知ってから1年以内の通知」と消滅時効のルールに戻ります。
「契約書に3か月とあるから、もう請求できない」と決めつける前に、売主が誰か、売主が不具合を知っていなかったかを確認することが重要です。
特約の有効性は契約書の文言や交渉の経緯によっても変わるため、判断に迷う場合は弁護士に確認してもらうと安心です。
瑕疵担保責任の期間内に買主がやるべき3つのこと

不具合に気づいたら、記録を残し、書面で通知し、時効が近ければ止める手続きをとるの3つを順に進めましょう。
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不具合の状況を写真と日付で記録する
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売主・施工会社へ書面で通知する
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時効が近いときは協議の合意や訴訟で時効を止める
それぞれの進め方を解説します。
1. 不具合の状況を写真と日付で記録する
不具合に気づいたら、発見した日・場所・状態を写真と日付つきで記録しておきましょう。
記録は、「いつ知ったか」と「どんな不具合か」の両方を証明する根拠になるためです。
雨漏りなら、天井のしみや雨の日の水滴の様子を、日付がわかる形で撮影しておきます。
修理業者に見てもらった場合は、見積書や調査報告書も保管しておきましょう。
自分で修理を済ませる前に記録を残すことも大切で、修理後は原因や範囲を確認できなくなります。
原因がはっきりしない場合は、インスペクション(専門家による建物状況調査)を利用するのも一つの方法です。
2. 売主・施工会社へ書面で通知する
売主・施工会社への通知は、証拠が残る内容証明郵便やメールなどの書面で行うのが確実です。
通知は口頭でも法律上は有効ですが、「聞いていない」と争われたときに通知した事実を示せなくなります。
通知書には、物件の所在地・不具合に気づいた日・不具合の内容と範囲を書き、写真を添えます。
請求する金額まで決める必要はありませんが、修補などの対応を求める意思ははっきり書いておきましょう。
仲介した不動産会社に伝えただけでは、売主本人に届いていない場合があるため、売主宛てにも送るのが安全です。
3. 時効が近いときは協議の合意や訴訟で時効を止める
通知後の時効が近づいている場合は、時効の完成を猶予させる手続きをとります。
売主と「協議を行う」旨を書面で合意すれば、原則として合意から1年間は時効が完成しません(民法151条)。
内容証明郵便などで支払いや補修を求める催告(書面での請求)をすれば、催告の時から6か月間は時効の完成が猶予されます(民法150条)。
調停や訴訟を起こせば、手続きが終わるまで時効は完成せず、判決などで権利が確定すれば時効はあらためて進み直します。
売主が不具合を認めて補修を約束するなど、権利を承認した場合も時効は更新されます。
期限の計算に少しでも不安があれば、時効が迫る前に弁護士へ相談しておくと安心です。
瑕疵担保責任の期間が過ぎた後でも請求できる可能性がある3つのケース
期間が過ぎたように見えても、売主の認識・施工会社の責任・保証や保険の有無によっては、まだ請求できる場合があります。
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売主が不具合を知っていた場合
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施工会社に不法行為責任を問える場合
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保証や保険の対象になっている場合
「もう期限切れだ」と決めつける前に、それぞれ当てはまらないか確認してみてください。
1. 売主が不具合を知っていた場合
売主が引渡しの時点で不具合を知っていた、または重大な過失で知らなかった場合は、1年の通知期間の制限がかかりません。
たとえば、売主が雨漏りの補修跡を隠していた、告知書に以前のシロアリ被害を書かなかったといったケースです。
売主に悪質な事情がある場合は、短縮特約や免責特約があっても、売主は責任を免れません。
もっとも、知ってから5年・引渡しから10年の消滅時効は別に進むため、気づいた時点で早めに動くことが大切です。
売主の認識を示すには、告知書・修繕履歴・近隣の証言などの証拠が重要になります。
売主が知っていたことをどう立証するかは事案ごとの判断になるため、証拠をそろえたうえで弁護士に見てもらうと、請求できるかどうかの見通しが立てやすくなります。
2. 施工会社に不法行為責任を問える場合
建物に基本的な安全性を損なう欠陥がある場合は、設計者や施工会社に不法行為として損害賠償を請求できる可能性があります(最高裁平成19年7月6日判決)。
不法行為責任は契約とは別の責任のため、中古で買った建物でも、建てた施工会社に請求できる余地があります。
時効は、損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年です(民法724条)。
構造の欠陥や、人の生命・身体に危険が及ぶような不具合が対象になるため、認められるハードルは高い点も知っておきましょう。
3. 保証や保険の対象になっている場合
法律上の責任期間とは別に、アフターサービスやメーカー保証、瑕疵保険で補修を受けられる場合があります。
分譲マンションや新築住宅では、売主が部位ごとに1年〜10年程度の期間を定めたアフターサービス規準を設けているのが一般的です。
給湯器やエアコンなどの設備は、メーカー保証の期間内なら無償修理の対象になることもあるため、保証書の確認も欠かせません。
中古住宅でも、既存住宅売買瑕疵保険に加入していれば、保険期間内(1年・2年・5年など)の補修費用が保険でまかなわれます。
契約時に受け取った保証書や保険証券を探して、期間と対象を確認しておきましょう。
売主・施工会社が知っておきたい瑕疵担保責任の期間の注意点
売主や施工会社の立場でも、引渡しから時間が経っていれば責任がなくなるとは限りません。
特約がなければ、買主が不具合を知ってから1年以内に通知すれば、引渡しから数年後でも責任を問われる可能性があります。
そのため、契約書には「引渡しの日から3か月以内に通知されたものに限り責任を負う」のように、起算点と期間を具体的に書いておくことが重要です。
あわせて、告知書・付帯設備表・修繕履歴・工事写真などは、時効を考えて少なくとも引渡しから10年は保管しておくと安心です。
買主から通知を受けたときは、無視したり、事実を確認する前に独断で補修や返金に応じたりせず、契約書と通知内容を照らし合わせて対応を検討しましょう。
売主が通知を受けたときの対応は、次の記事も参考にしてください。
【関連記事】不動産売却トラブルの原因と対処法を解説|共有名義・契約・金銭のケースまで紹介
瑕疵担保責任の期間で迷ったときの相談先
瑕疵担保責任の期間をめぐる悩みは、内容に応じて住宅の専門窓口・消費生活センター・弁護士を使い分けると、解決に向けて動きやすくなります。
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相談先 |
向いている場面 |
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住まいるダイヤル・0570-016-100 |
住宅の不具合が欠陥にあたるか、どう対応すればよいか知りたい |
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弁護士会の住宅紛争審査会 |
瑕疵保険付きの新築住宅などで、売主・施工会社と話し合いで解決したい |
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消費生活センター・188 |
不動産会社やリフォーム会社など、事業者との契約トラブル |
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法テラス |
収入が一定以下で、弁護士の無料相談を利用したい |
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弁護士 |
期限が過ぎたかの判断、特約の有効性、通知書の作成、交渉や訴訟 |
住まいるダイヤルは、国土交通大臣が指定した住宅専門の相談窓口で、電話で一級建築士などに相談できるのが特徴です。
保険が付いた新築住宅などの紛争は、住宅紛争審査会の紛争処理を申請手数料1万円で利用できます。
一方、期限が過ぎているかどうかや、特約が有効かどうかの判断は、法律の専門家である弁護士に相談するのが確実です。
弁護士に相談すれば、期間の計算や特約の有効性を整理してもらえるだけでなく、通知書の作成から売主・施工会社との交渉、訴訟まで任せられます。
時効が迫っている場合ほど取れる手段は限られるため、早い段階で弁護士への相談を検討してください。
【関連記事】不動産トラブルは弁護士に相談できる?種類・費用・選び方を解説
瑕疵担保責任の期間に関する悩みは「ベンナビ法律相談Q&A」で解決しよう
瑕疵担保責任の期間は、契約日・特約の内容・売主が不具合を知っていたかどうかによって、結論が大きく変わります。
「もう期限切れだ」と自己判断であきらめると、本来は請求できた修補や損害賠償の機会を失うことにもなりかねないのが難しいところです。
とはいえ、「弁護士に相談すべきレベルの話なのか」判断がつかない、という方も少なくありません。
ベンナビ法律相談Q&Aなら、質問を投稿するだけで、瑕疵担保責任・契約不適合責任などの分野を得意とする弁護士が無料で回答してくれます。
まずは無料で質問を投稿し、自分の契約がまだ請求できる期間内かを確認してみましょう。
瑕疵担保責任の期間に関するよくある質問
さいごに、瑕疵担保責任の期間についてよく寄せられる質問を紹介します。
瑕疵担保責任の期間は2年ですか?
一律に2年と決まっているわけではありません。
「2年」は、不動産会社が売主の場合に宅地建物取引業法で認められる最短の期間で、多くの契約書がこの期間を採用しています。
個人が売主の場合は、特約で数か月に短縮されていることもあるため、契約書を確認しましょう。
新築住宅の瑕疵担保責任は10年を過ぎたらどうなる?
構造や雨漏りにかかわる部分の責任は、引渡しから10年で終わるのが原則です。
ただし、特約で20年まで延長している場合や、施工会社に不法行為責任を問える場合は、10年を過ぎても請求できる余地があります。
瑕疵担保期間は平均してどのくらい?
法律で決まった平均はなく、取引の種類によって大きく異なります。
目安として、個人間の中古住宅は数か月、宅建業者が売主の物件は2年、新築住宅の構造・雨漏りは10年が多くなっています。
土地の瑕疵担保責任の期間は?
土地も建物と同じく、不具合を知ってから1年以内に通知するのが民法の原則です。
地中埋設物や土壌汚染が見つかった場合も同じ枠組みで判断されますが、個人間の売買では特約で期間が短縮されていることが多くなっています。
中古マンションの瑕疵担保責任の期間は?
売主が個人なら特約で定めた期間(数か月程度が多い)、不動産会社なら引渡しから2年以上が一般的です。
共用部分の不具合は、売主ではなく管理組合が対応するケースもあるため、管理会社にもあわせて確認しましょう。
雨漏りの瑕疵担保責任の期間は?
新築住宅の雨漏りは、雨水の浸入を防止する部分の瑕疵として、引渡しから10年間責任を問えます。
中古住宅の雨漏りは、契約書の特約で定めた期間か、特約がなければ知ってから1年以内の通知が基準になります。
まとめ
瑕疵担保責任の期間は、不具合を知ってから1年以内に売主へ通知することが基本です。
通知後も、知ってから5年・引渡しから10年のいずれか早いほうで時効にかかるため、請求は早めに進める必要があります。
期限は取引の種類によって変わり、2020年3月以前の契約には旧民法が適用されることも押さえておきたいポイントです。
期間が過ぎたように見えても、売主が不具合を知っていた場合などは請求できる可能性があります。
期限や特約の判断に迷ったら、ベンナビ法律相談Q&Aで弁護士に相談してみてください。
