欠陥住宅の裁判の流れと期間|勝てないといわれる理由と対策も解説
新築した家に雨漏りや床の傾きが見つかったのに、業者が補修に応じず、裁判を考え始めていませんか。
欠陥住宅の裁判は「勝てない」といわれることがあります。
実際には、証拠と期限の準備が足りないまま争うと負けやすい、という意味です。
本記事では、住宅を購入した人・建てた人の立場から、勝てないといわれる理由・誰に何を請求できるか・裁判の流れと期間・期限を解説します。
以下のいずれかに当てはまる方は、本記事を参考に弁護士への相談も検討してみてください。
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基礎・柱・屋根など構造に関わる部分や、雨漏りの不具合が見つかった
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業者が「施工に問題はない」と言って非を認めない
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不具合に気づいてから、すでに数か月以上たっている
欠陥住宅の裁判が「勝てない」といわれる3つの理由
欠陥住宅の裁判が勝ちにくいといわれる理由は、立証の負担・欠陥の判断の専門性・審理の長期化の3つです。
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欠陥の存在と原因を買主側が証明しなければならない
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「欠陥かどうか」の判断基準が専門的で争いになりやすい
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審理が2年以上かかり費用もかさみやすい
裏を返せば、3つの理由に備えて準備を整えることで、欠陥住宅の裁判でも争える可能性が高まります。
1. 欠陥の存在と原因を買主側が証明しなければならない
裁判では、請求する側が欠陥の存在・原因・損害額を証拠で示す必要があります。
立証責任(主張を裏付ける事実を証拠で証明する責任)と呼ばれるルールです。
やっかいなのは、重大な欠陥ほど壁や床の内側に隠れていて、目で見ても分からない点です。
たとえば、鉄筋の不足や耐力壁の釘の打ち方の不備は、壁をはがしたり構造計算をやり直したりしないと確認できません。
そのため、建築士による調査報告書が証拠の柱になります。
2. 「欠陥かどうか」の判断基準が専門的で争いになりやすい
欠陥かどうかは、契約書や設計図書、建築基準法令、技術的な基準などに照らして判断されます。
基準が1つではないため、業者と買主の見解が割れやすいのです。
たとえば、契約で約束した太さより細い鉄骨が使われた事案があります。
最高裁は、建築基準法上の安全性に問題がなくても、約束と違う点が瑕疵(かし・欠陥のこと)にあたると判断しました(最高裁平成15年10月10日判決)。
一方で業者側は「許容範囲内の施工誤差」「経年劣化」「住まい方の問題」などと反論してきます。
裁判所も建築の専門家ではないため、専門委員の説明や鑑定を経て判断することになり、審理が複雑になりがちです。
3. 審理が2年以上かかり費用もかさみやすい
欠陥住宅の裁判は、一般的な民事裁判よりも審理が長引きやすく、平均で2年以上かかります。
期間が延びるほど膨らむのが、建築士の調査費用や弁護士費用です。
請求額が小さい場合、回収できる金額より費用が上回る「費用倒れ」になるおそれもあります。
提訴する前に、勝てる見込みと費用の総額を弁護士と確認しておくことが先決です。
欠陥住宅の裁判は誰に請求できる?|売主・請負業者と設計者・施工業者
欠陥住宅の裁判では、売主・請負業者には「契約不適合責任」、契約関係のない設計者や施工業者には「不法行為責任」を根拠に請求します。
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請求の相手 |
根拠 |
請求できる内容 |
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売主(建売住宅・分譲マンション) |
契約不適合責任(売買) |
補修・代金減額・損害賠償・契約解除 |
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請負業者(注文住宅のハウスメーカー・工務店) |
契約不適合責任(請負) |
補修・報酬減額・損害賠償・契約解除 |
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設計者・施工業者・工事監理者 |
不法行為責任 |
損害賠償 |
建売住宅なら売買契約、注文住宅なら請負契約となり、契約の相手方も異なる点がポイントです。
契約日が2020年4月1日より前なら、改正前の民法の「瑕疵担保責任」が適用されます。
瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いは以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】瑕疵担保責任とは?契約不適合責任との違いと売主が負う期間を解説
1. 売主・請負業者|契約不適合責任で補修・減額・賠償・解除を求める
契約の相手方である売主・請負業者には、補修・代金(報酬)の減額・損害賠償・契約解除の4つを請求できます。
契約不適合責任とは、引き渡された住宅が契約で約束した種類や品質と違うときに、売主や請負業者が負う責任です。
売買は民法562条から564条に定められており、請負にも民法559条で同じルールが準用されます。
ハウスメーカーの担当者が「下請けの施工ミスなので当社の責任ではない」と説明することがあります。
しかし、責任を負うのは契約の相手方であるハウスメーカーです。
契約解除は、不適合が軽微な場合には認められません(民法541条ただし書)。
実務では、補修費用相当額を損害賠償として請求する形が一般的です。
2. 設計者・施工業者・工事監理者|契約がなくても不法行為責任を問える
建物の基本的な安全性を損なう欠陥があれば、契約関係のない設計者・施工業者・工事監理者にも不法行為責任を問える場合があります。
工事監理者とは、工事が設計図どおりに進んでいるかを確認する建築士のことです。
最高裁は、設計者や施工者が居住者などに対して、建物の基本的な安全性に配慮する注意義務を負うと判断しました(最高裁平成19年7月6日判決)。
さらに、放置すればいずれ危険が現実化する欠陥も対象になると示されました(最高裁平成23年7月21日判決)。
中古住宅を買って建てた業者と契約関係がない場合や、売主が倒産した場合、契約不適合責任の期限が過ぎた場合に役立つ考え方です。
欠陥住宅の裁判で請求できる損害の範囲
欠陥住宅の裁判で請求できる損害の中心は補修費用で、重大な欠陥なら建て替え費用相当額が認められる場合もあります。
主な損害項目と、裁判で認められやすいかどうかの目安は以下のとおりです。
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損害項目 |
認められやすさ |
ポイント |
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補修費用 |
認められやすい |
調査報告書の補修方法・見積もりが根拠になる |
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建て替え費用 |
重大な欠陥なら認められる |
構造上の欠陥で補修では足りない場合 |
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調査費用 |
認められることが多い |
欠陥の特定に必要だった範囲に限られる |
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仮住まい・引っ越し費用 |
補修や建て替えに伴うなら認められる |
工事期間中の家賃・引っ越し代など |
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慰謝料 |
認められにくい |
認められても低額にとどまることが多い |
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弁護士費用 |
不法行為では一部認められる |
損害額の1割程度が目安 |
重大な欠陥があり建て替えざるを得ない場合、注文者は建て替え費用相当額を請求できると最高裁は判断しています(最高裁平成14年9月24日判決)。
慰謝料は、補修費用などの財産的な損害が賠償されれば精神的な苦痛も回復されると考えられやすく、認められるハードルは高めです。
請求する項目ごとに、見積書や領収書などの根拠をそろえておきましょう。
欠陥住宅の裁判の流れ|提訴前の準備から判決まで6ステップ

欠陥住宅の裁判は、証拠を残す→建築士に調査を依頼→通知・交渉→提訴→争点整理→和解・判決の順に進みます。
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不具合の状況を写真や記録で残す
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建築士に調査を依頼して報告書を作る
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相手方に不具合を通知して交渉する
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地方裁判所に訴訟を提起する
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専門委員や調停で争点を整理する
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和解または判決で決着する
結果を大きく左右するのは、裁判を起こす前のステップ1から3の準備です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ステップ1:不具合の状況を写真や記録で残す
不具合に気づいたら、日付入りの写真・動画と、業者とのやり取りを保存しておきましょう。
残しておきたい主な記録は以下のとおりです。
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不具合の写真・動画(撮影日がわかるもの)
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不具合に気づいた日と、その後の変化のメモ
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業者とのメール・LINE・打ち合わせ記録
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売買契約書・工事請負契約書・設計図書・見積書
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建築確認済証・検査済証・住宅性能評価書
雨漏りであれば、雨が降っている最中のしみや水滴の様子を撮影しておくと、状況が伝わりやすくなります。
ステップ2:建築士に調査を依頼して報告書を作る
次に、施工した会社と利害関係のない建築士に調査を依頼し、報告書にまとめてもらいます。
報告書には、少なくとも次の4点を入れてもらうのが基本です。
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欠陥の箇所と状態
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欠陥の原因(設計・施工・材料のどこに問題があるか)
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違反している基準(契約内容・建築基準法令など)
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必要な補修方法と補修費用の見積もり
建築トラブルに注力する弁護士の多くは連携している建築士がいるため、先に弁護士へ相談して紹介してもらう方法もあります。
ステップ3:相手方に不具合を通知して交渉する
調査結果がまとまったら、不具合を知ってから1年以内に、内容証明郵便など記録に残る方法で通知します。
通知の期限を過ぎると、補修や損害賠償の請求ができなくなるおそれがあるためです(民法566条・637条)。
通知では、不具合の内容と、補修または損害賠償を求めることをはっきり伝えます。
業者が補修に応じる場合は、補修方法・工事の時期・費用負担を必ず書面で取り決めておきましょう。
口約束のまま補修を任せると、不十分な工事で終わってしまっても、あとから争うのが難しくなります。
ステップ4:地方裁判所に訴訟を提起する
交渉がまとまらなければ、請求額が140万円を超える場合は地方裁判所に訴状と証拠を提出して訴訟を起こします。
主に必要になるのは、訴状・証拠(調査報告書・写真・契約書など)・請求額に応じた手数料(印紙代)です。
東京地方裁判所や大阪地方裁判所のように、建築関係の訴訟を集中して扱う部を置いている裁判所もあります。
ステップ5:専門委員や調停で争点を整理する
裁判が始まると、専門委員の説明を聞いたり、建築士の調停委員が入る調停に回したりして争点を整理するのが一般的です。
専門委員とは、裁判官が専門的な事項について説明を受けるために手続きに関与させる専門家のことです(民事訴訟法92条の2)。
建築関係の訴訟では、裁判所の判断で事件を調停に回すこともあります。
調停では建築士の調停委員が現地を確認し、不具合ごとに欠陥かどうかと補修費用を整理するのが一般的です。
それでも争いが残る場合は、裁判所が選んだ専門家による鑑定がおこなわれることもあります。
鑑定費用は申し出た側が前払いするのが原則なので、事前に見込んでおきましょう。
ステップ6:和解または判決で決着する
欠陥住宅の裁判は、判決まで進まず、途中で和解して終わることも多いのが特徴です。
和解であれば、判決より早く解決でき、補修の方法や支払い時期も柔軟に決められます。
和解できなければ判決が出され、不服があれば判決の送達を受けた日から2週間以内の控訴が可能です。
判決が確定しても相手が支払わない場合は、強制執行で相手の財産を差し押さえることになります。
欠陥住宅の裁判にかかる期間の目安
建築瑕疵を理由とする損害賠償訴訟の平均審理期間は、令和5年で26.8か月と、2年を超えています。
最高裁判所が公表している統計の推移は以下のとおりです。
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年 |
建築瑕疵損害賠償の平均審理期間 |
既済件数 |
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令和元年 |
26.1か月 |
449件 |
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令和2年 |
27.6か月 |
378件 |
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令和3年 |
29.3か月 |
489件 |
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令和4年 |
27.0か月 |
517件 |
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令和5年 |
26.8か月 |
485件 |
平均審理期間は、地方裁判所に訴えを起こしてから終わるまでの期間です。
実際には、建築士の調査や業者との交渉に、提訴前からさらに数か月から1年ほどかかることも珍しくありません。
引っ越しや住宅ローンの返済計画も含めて、長期戦を前提にスケジュールを考えておくことが大切です。
【参考】建築関係訴訟事件の処理状況及び平均審理期間|最高裁判所
欠陥住宅の裁判には期限がある|通知期間と時効に注意
欠陥住宅の請求には、根拠ごとに異なる期限があります。
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根拠 |
期限 |
起算点 |
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契約不適合責任(通知) |
1年以内に通知 |
不具合を知った時 |
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契約不適合責任(時効) |
5年または10年 |
知った時から5年・引渡しから10年 |
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品確法の瑕疵担保責任 |
10年 |
引渡しの時 |
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不法行為責任(時効) |
3年または20年 |
損害と加害者を知った時から3年・不法行為の時から20年 |
契約日が2020年4月1日より前の場合は、改正前の民法の期間が適用されます。
1. 契約不適合責任|不具合を知ってから1年以内に通知する
契約不適合責任は、不具合を知ってから1年以内に相手方へ通知しなければなりません(民法566条・637条)。
1年以内に裁判を起こす必要まではなく、不具合の内容を通知しておけば足ります。
通知をしたあとも時効は進むため、知った時から5年、引渡しから10年のうち早いほうまでに請求する必要があります(民法166条)。
例外として、売主や請負業者が引渡しの時点で不具合を知っていた場合や、重大な過失で知らなかった場合は、1年の制限はかかりません。
また、不動産会社(宅地建物取引業者)が売主のときは、通知期間を引渡しから2年以上とする特約を除き、買主に不利な特約は無効になります(宅地建物取引業法40条)。
契約書に「引渡しから◯年」と期間が書かれていないか、まず確認しておきましょう。
2. 品確法|新築住宅の構造と雨漏りは引渡しから10年保護される
新築住宅の構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分は、引渡しから10年間、売主や請負業者に責任を問えます。
根拠は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)94条・95条です。
構造耐力上主要な部分とは、基礎・柱・梁・壁・床・屋根など建物を支える部分のことです。
雨水の浸入を防止する部分には、屋根・外壁・窓などの開口部が含まれます。
品確法による10年の責任を契約で短くする特約は、買主や注文者に不利なものとして無効です。
建売住宅の場合、10年は建設業者から売主へ引き渡された時から数えます。
品確法の責任を追及する場合も、欠陥を知ってから1年以内に通知が必要な点は契約不適合責任と同じです。
品確法の新築住宅とは、完成から1年以内で、まだ誰も住んだことのない住宅を指します。
3. 不法行為責任|知ってから3年・行為の時から20年で時効になる
不法行為責任にもとづく損害賠償請求権は、損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年で時効になります(民法724条)。
人の生命や身体が害された場合は、3年が5年に延びます。
契約不適合責任や品確法の10年を過ぎてから欠陥が見つかった場合に、請求の余地を残すのが不法行為責任です。
もっとも、基本的な安全性を損なう欠陥であることを立証する必要があるため、ハードルは高くなります。
欠陥住宅の裁判の前に検討したい3つの解決方法
欠陥住宅のトラブルは、裁判のほかに住宅紛争審査会・民事調停・弁護士会の紛争解決センターでも解決を目指せます。
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解決方法 |
申し立て先 |
費用の目安 |
向いているケース |
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住宅紛争審査会 |
各地の弁護士会 |
申請手数料1万円 |
評価住宅・保険付き住宅のトラブル |
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民事調停 |
簡易裁判所 |
訴訟より安い手数料 |
相手が話し合いに応じそうなとき |
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弁護士会の紛争解決センター |
各地の弁護士会 |
センターごとに異なる |
評価住宅以外で、柔軟な解決を目指したいとき |
いずれも話し合いが前提のため、相手方が応じなければ解決には至りません。
どの手続きが使えるか迷ったら、電話相談窓口「住まいるダイヤル」(03-3556-5147)に相談してみましょう。
住まいるダイヤルは、国土交通大臣の指定を受けた「住宅リフォーム・紛争処理支援センター」が運営する相談窓口です。
消費者ホットライン(188)から、最寄りの消費生活センターにつないでもらう方法もあります。
1. 住宅紛争審査会|評価住宅・保険付き住宅なら申請手数料1万円
建設住宅性能評価書が交付された住宅(評価住宅)や、住宅瑕疵担保責任保険が付いた住宅(保険付き住宅)なら、住宅紛争審査会にあっせん・調停・仲裁を原則1万円で申請できます。
住宅紛争審査会は全国の弁護士会に設置された機関で、弁護士と建築士が手続きを担当するのが特徴です。
原則として現地調査費などの追加費用もかからないため、裁判に比べて費用を大きく抑えられます。
契約時の書類で、住宅性能評価書や保険証券(保険付保証明書)があるかを確認してみましょう。
【公式サイト】住宅紛争審査会の紛争処理|住宅リフォーム・紛争処理支援センター
2. 民事調停|簡易裁判所で話し合いによる解決を目指す
民事調停は、簡易裁判所で調停委員を交えて話し合い、合意による解決を目指す手続きです。
合意が成立すると調停調書が作られ、確定判決と同じ効力を持ちます。
申立ての手数料は訴訟より安く、手続きも比較的簡単です。
相手方が出席しなかったり合意しなかったりすると調停は不成立となり、改めて訴訟を起こすことになります。
【公式サイト】民事調停|裁判所
3. 弁護士会の紛争解決センター|評価住宅以外でも使えるADR
各地の弁護士会が運営する紛争解決センターでは、住宅の種類を問わず、あっせんや仲裁を申し立てられます。
ADR(裁判外紛争解決手続)と呼ばれる仕組みの1つで、弁護士があっせん人として当事者の間に入るのが特徴です。
費用は申立手数料や成立手数料などで構成され、金額はセンターごとに異なります。
【公式サイト】紛争解決センター|日本弁護士連合会
欠陥住宅の裁判で不利にならないためにやってはいけない2つの対応
欠陥住宅のトラブルで、裁判になったときに不利に働きやすい対応は次の2つです。
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調査前に自分で補修したり業者に直させたりする
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残代金を一方的に支払わない
1. 調査前に自分で補修したり業者に直させたりする
補修してしまうと欠陥の状態を確認できなくなり、証拠が失われるおそれがあります。
業者に補修を任せた場合も、どこをどう直したかが分からなくなり、本来の原因があいまいになりがちです。
雨漏りなどで応急処置が必要なときは、写真と動画で状態を残してからおこないましょう。
本格的な補修は、建築士の調査報告書がまとまってから進めるのが原則です。
2. 残代金を一方的に支払わない
欠陥を理由に残代金の支払いを止めると、欠陥の程度によっては遅延損害金を請求されるおそれがあります。
請負契約では、注文者は欠陥の損害賠償を受けるまで報酬の支払いを拒めるのが原則です。
ただし、欠陥が軽微なのに高額な残代金の全額を拒むことは、信義則(信頼を裏切らないよう誠実に行動すべきという原則)に反するとされる場合があります。
損害賠償と残代金を相殺(互いの債権を差し引くこと)した場合にも、遅延損害金の問題が生じます。
最高裁は、相殺後に残る代金には、相殺を伝えた日の翌日から遅延損害金がつくと判断しました(最高裁平成9年7月15日判決)。
支払いを止める前に、どこまで拒めるかを弁護士に確認しておきましょう。
欠陥住宅の裁判は建築トラブルに詳しい弁護士への相談がおすすめ
欠陥住宅の裁判は、建築士と連携して立証を組み立てられる弁護士に早めに相談するのがおすすめです。
勝てる見込みや費用倒れのリスクを、裁判を起こす前に判断しやすくなります。
弁護士に依頼すれば証拠集めから訴訟まで一貫して任せられる
弁護士に依頼すると、請求の根拠と期限の判断から、交渉・訴訟の代理まで一貫して任せられる点が大きなメリットです。
具体的には、次のようなサポートを受けられます。
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契約不適合責任・不法行為責任のどれで請求するか、期限は間に合うかを判断してもらえる
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欠陥住宅の調査に慣れた建築士と連携し、裁判で使える証拠を整えられる
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業者との交渉から訴訟、和解の条件調整まで代理してもらえる
業者側も弁護士を立てて反論してくるのが一般的なので、交渉の段階から相談しておくと安心です。
依頼前に費用倒れにならないか見通しを確認する
弁護士に依頼する前に、回収できる見込み額と費用の総額を比べ、費用倒れにならないか確認しておくことが重要です。
相談の際は、次の点を確認しておきましょう。
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欠陥住宅や建築トラブルを扱った実績があるか
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着手金・報酬金・実費・調査費用の総額はいくらか
不動産トラブル全般の相談先については以下の記事も参考にしてください。
【関連記事】不動産トラブルは弁護士に相談できる?種類・費用・選び方を解説
欠陥住宅の裁判に関する悩みは「ベンナビ法律相談Q&A」で解決しよう
欠陥住宅のトラブルは、業者との話し合いだけでは平行線になりやすく、証拠の残し方や請求の期限によって、解決までの道のりが大きく変わります。
自己判断で補修を進めたり代金の支払いを止めたりすると、裁判で不利な立場に置かれかねないので注意しましょう。
早い段階で弁護士に相談することで、請求の根拠や建築士への調査依頼、裁判以外の手続きまで、具体的な選択肢が見えてきます。
とはいえ、「これって弁護士に相談すべきレベルの話なのか」判断に迷う方も多いでしょう。
ベンナビ法律相談Q&Aでは、質問を投稿すると、欠陥住宅などの分野を得意とする弁護士が無料で回答してくれるため、解決に向けた具体的な対処方法がわかります。
まずは無料相談を活用し、自分の状況で何ができるのかを確認してみましょう。
欠陥住宅の裁判に関するよくある質問
さいごに、欠陥住宅の裁判についてよく寄せられる質問を紹介します。
欠陥住宅裁判の勝率は?
欠陥住宅の裁判の勝率を示す公的な統計はありません。
建築関係の訴訟は判決まで進まず、補修費用の一部を支払う内容の和解で終わることも多いため、勝ち負けで単純には分けられません。
調査報告書などの証拠がそろっているかで見通しは大きく変わるため、提訴前に弁護士へ確認してもらうと安心です。
中古住宅でも欠陥を理由に裁判できる?
はい、中古住宅でも欠陥を理由に裁判を起こせます。
ただし、売主が個人の場合は契約不適合責任を負わない、または期間を短くする特約が結ばれていることが多く、契約書の確認が欠かせません。
売主が欠陥を知りながら告げなかった場合は、特約があっても責任を免れません(民法572条)。
ハウスメーカーや工務店が倒産したらどうなる?
業者が倒産すると、裁判で勝っても賠償金を回収するのは難しくなります。
2009年10月1日以降に引き渡された新築住宅であれば、業者には原則として住宅瑕疵担保責任保険への加入か保証金の供託(法務局に預けること)が義務です。
業者が倒産した場合でも、保険法人に補修費用をまかなう保険金を直接請求できる場合があります。
設計者や工事監理者に不法行為責任を問える可能性もあるため、弁護士に確認してみてください。
弁護士に頼まず自分で裁判できる?
弁護士に依頼せず、本人だけで裁判を起こすこともできます。
欠陥住宅の裁判は専門的な主張と立証が必要で、業者側は弁護士を立てるのが一般的です。
本人で進める場合でも、訴状の作成や証拠の整理について、事前に弁護士へ相談しておくと、手続きの負担を減らせます。
まとめ
欠陥住宅の裁判が勝ちにくいといわれるのは、立証の負担が重く、判断が専門的で、審理が2年以上かかるためです。
写真や記録を残し、建築士の調査報告書を整えて期限内に通知しておけば、十分に争える余地があります。
評価住宅や保険付き住宅であれば、裁判の前に住宅紛争審査会を利用する方法も検討できます。
自己判断で補修したり代金の支払いを止めたりする前に、早めに専門家へ相談することが、負担を軽くする近道です。
欠陥住宅のトラブルに不安がある方は、ベンナビ法律相談Q&Aをご活用ください。
