離婚するに際して子供を連れて別居をするという点については、この10年数年の間に、価値判断が大きく揺らいでいるところです。以前は、これは当然の対応で、いわば離婚をするための定石という扱いでした。それで文句をいう方がおかしいというわけです。このような対応が定石となっていたのは、離婚に際しての親権者を決めるに当たって、子供を適切に監護養育できているという実績が重視されることから、子供を置いて別居をすると、父親に親権が認められることになってしまうということが理由とされています。
ところがその後、子連れ別居をするというのは日本独自のルールで、全く国際標準からは外れていること、実際、日本もハーグ条約について批准しているのであって、国際結婚した夫婦の離婚の場合には、子供が連れ戻されてしまうことになるのに、日本人夫婦の場合には、子供を連れて別居するのが当たり前というのは、おかしいだろうという主張が説得力を持ってきたのです。
ですので、別に犯罪ということにはなりませんが、ご主人が強く反発し、子供を無断で連れ去られたなどと誘拐扱いした主張をされることは覚悟しなければなりません。
しかしだからといって子供を置いて自分だけが別居することにした場合、子供の親権を失う可能性が高くなることは何も変わっていません。本当に悩ましいところです。
しかし、とはいえ、DVや子供への虐待が頻繁に存在したという場合については、今でも子供を連れて別居するのは当然で、今日にあっても価値判断が揺らいではおらず、むしろ子連れ別居は当然であるとされています。
ですので、
>逆上したら、手がつけられなくなると思う
という危惧が本当に予測されることであると、裁判所で争点となったときでも立証できるように、今までの夫婦関係の整理をしておくことが肝要です。
予め、あなたのお立場に理解を示してもらえる弁護士を選んで代理人になってもらうことも考えた方がよろしいかと思います。