非常に悩ましい問題です。
現在の家庭裁判所の実務においては、離婚を前提に別居をすることになった際、子供の監護養育を続けている側に親権を認めることが少なくないため(親の都合で、これまでの特に問題のなかった生活環境を変えさせるべきではないという考え)、家を出るときには子供を連れて出るのが定石であるというのも事実です。
しかしながら、日本もハーグ条約を締結して以降、国際結婚をした夫婦の間では、離婚するからと言って子供を連れ帰ることが違法であるとされるのであるならば、日本人同士の夫婦の場合でも同じように考えなければおかしいという考え方が説得力を持つようになり、別居に際して、子供を連れて行くことも違法な連れ去りであると非難されることも次第に多くなってきているという状況です。
ご相談のご主人の場合も、あなたが子供を連れて家を出た場合、違法な連れ去りをされたとの非難を強めるとが予想されます。
そこで次のような対応をすることをご提案します。
1 子供を連れて別居することは断念する。そもそも別居することを急がない。
2 別居を決める以前に、監護者指定の調停、子の引渡しを求める調停及び子の引渡しについての審判前の保全処分の申立準備を進める。
3 いつでも申立ができる程度にまで準備が進んでから、まずは子を連れずに単身で別居する。
4 別居したら速やかに、監護者指定の調停、子の引渡しを求める調停及び子の引渡しについての審判前の保全処分の申立を行う。
要するに裁判所のお墨付きを得て、子供を引き取るということです。
とはいえ、この方法で上手くいくかは私も実行したことがないので分かりません。ですが、ハーグ条約を締結して以降の新たな定石になるのではないかと考えています。