法定相続人である長男(相談者の叔父)が被相続人の財産を管理していたのに、その方から連絡がないとすれば、その理由は、①忙しいなどの原因で相続財産についての調査や手続が進んでいない可能性、②遺言公正証書が作成されていたたため、他の法定相続人の協力なく不動産や預貯金の名義変更ができる可能性の2つが考えられます。
②の場合には、遺言公正証書で定められた遺産の処理が相談者の遺留分を侵害していないかどうかを確認し、侵害されていれば、遺留分侵害額請求を検討する必要があります。遺言書の有無やその内容は、叔父様に直接お尋ねすることも考えられますが、それを避けたいのであれば、最寄りの公証役場に対し、被相続人の法定相続人であることを示して遺言公正証書の検索を依頼することで、比較的容易に調査することができます。
①の場合、遺産に属する預金や株式等の有無や金額、その状況等については、法定相続人であれば、金融機関等に対し、戸籍謄本等により被相続人の法定相続人であることを示して請求することにより、残高証明や取引履歴の交付を受けることができます。ご自身でおやりになるのが面倒であれば、弁護士を代理人に選任して行わせることもできます。
ただし、弁護士に依頼して遺産の調査や各種手続・交渉等を依頼した場合には、結果として遺産がなかったとしても、少なくとも弁護士に対する着手金は負担しなければならず、他の相続人らが、弁護士費用を分担することに同意しない場合には、相談者だけがこれを負担しなければならないことになるものと思われます。
こちらが何もせずに逡巡している間に、遺言公正証書に基づき遺産に属する財産の名義が変更された上、これらが処分され、費消されたり隠匿されたりしてしまう場合、あるいは、相続人の1人が勝手に遺産に属する預金や現金等を費消してしまう場合等が考えられますし、そのような場合には、後で遺留分侵害額請求や遺産分割調停の申立て等の法的な権利行使に及んでも、手遅れとなり、実際には回収できなくなってしまう虞もありますから、お1人で悩まれれるのではなく、とにかく、早めに一度弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士 坂田吉郎拝
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