離婚後の親権者変更は家庭裁判所の判断が必要(民法819条6項)です。坂邸裁判所は、子の幸福という観点から検討するので、たとえ相談者がその同意書に署名したからといって、それだけで夫の希望で親権者変更が可能になるわけではありません。まして、夫の信仰や主義だけで決められるものでもありません。少なくとも日本においては信教の自由があり、単一の信仰を強制させられる社会ではないからです。
むしろ、親権者が自信の信仰を子に強制していたようなケースで、非親権者からの親権者変更を認めたような事案はあります。
上記のように同意書だけで親権者変更が安易に認められるようなことはないと思いますが、同意してしまえば、トラブルの原因になったり、認められるかは別として不利な材料として夫の主張の根拠に据えられる可能性はあるので、子にとって不利益と考えるなら同意すべきではないでしょう。
夫も子の父である以上、彼の宗教観や信仰に対する配慮も無視してよいとまでは考えませんが、突き詰めれば子がどのような環境や社会で今後生きていくかの問題であって、少なくとも裁判所も同様に考えるものと推察します。
したがって、ひとまずの方策としては、夫への配慮も考えるが、子の幸福の観点から夫の意向に全て同意するかは別問題として、それで夫が納得できないなら、離婚調停、離婚訴訟と、家庭裁判所で親権の所在を争っていくほかないように思います。