
合意の成立後に子の妊娠が分かった場合に、慰謝料の増額を請求出来るかどうかについては、どういう事実関係を前提にどれだけの慰謝料を支払ってもらうことにしたのかという合意内容によって結論を異にするのではないかと思います。
一般的に不倫慰謝料は、相手配偶者とその交際相手との間に性的関係を伴う場合に不貞慰謝料として比較的、高額になり、性的関係が伴わなかった場合には慰謝料の金額も低額に抑えられています。その扱いの違いは、性的関係を伴う交際をすることによって、婚姻外の子を妊娠するリスクがあり、そのことも含めて不貞をされた側の配偶者の精神的苦痛が大きくなると考えられるからではないかと思われます。
このように考えるとすれば、もともと性的関係が伴う不貞行為であったことを前提に比較的高額な慰謝料について合意が成立していたのであれば、後に子を妊娠していたことが判明したからといって、慰謝料の増額を請求するのは難し言うように思います。これに対し、性的関係を伴う交際をしていたことまでは確認することができず、比較的、低額な不倫慰謝料を合意しただけであるときには、前提となる事実が全く違っていたということになりますので、慰謝料の増額を請求することができるかと思います。