
ご相談者様
ご質問にご回答申し上げます。
詳細は詳しい事情をお聞きしてからとなりますが、今教えていただいた事情からは、
一応以下のとおり言えるかと思います。
貞操権侵害(不法行為)に基づく損害賠償請求権、または婚約破棄(債務不履行)に基づく損害賠償請求権により請求することが考えられます。
すなわち、貞操権とは、性的自由に不当な干渉を受けない権利(純潔を侵害されない権利)をいい、性的な自己決定権を不法に侵害された者は、貞操権侵害(不法行為)に基づく損害賠償請求権を取得すると考えられていますので、これの侵害を主張することになります。
請求がどの程度とおるかは事情をお聞きしてからとはなりますが、
これまでの下級審裁判例の集積で、貞操権侵害の判断にあたり重要な考慮要素は、下記のとおりと考えられています。
※「+」というのが請求できる方向の事情、「-」というのが請求が難しい方向に傾く事情です。
・相手方が既婚者であることを隠して交際を迫ってきたのか(相手方による独身であるとの積極的な虚偽の言動の有無)
⇒既婚者であることを知らなかった、相手方から積極的に交際を迫られた、相手方が積極的に独身であると虚偽の言動を取った(+)
既婚者であることを知り得る機会があった、当方から積極的に交際に迫った(-)
・相手方が婚姻をほのめかしていたのか(婚姻を想定した交際であったことを基礎付ける事情)
⇒婚姻を想定した交際であった(具体的には、ⅰ当方の家族や友人にも、婚姻を想定した付き合いであることを、相手方の口からも話していたこと、ⅱ婚約指輪の授受があったこと、ⅲその他、婚姻を前提とした契約や物品の購入があったこと)(+)
⇒婚姻を想定した交際ではなかった(-)
・その他、相手方側の悪質性を基礎付ける事情
⇒(例)だまされた側の性的な判断能力が不十分であることを知りながら性交渉を迫ってきた、半ば無理やりに性交渉を行った、当方(女性)を妊娠させた
※以上の「+」の事情を基礎付ける証拠の収集を行う必要がある。
・慰謝料の器楽は、相場は100~300万円くらいかと思います。特に相手方の言動の悪質性(不誠実さ、身勝手さ)がポイントとなります。
・あと、以下の裁判例も参考としてございます。
※裁判例(東京地判平成27年1月7日(判時2256号41頁)
妻と別居中の男性が既婚者であることを告げず職場の未婚女性に交際を申し込み交際し、妻との婚姻関係修復後もそのことを隠し性的関係を継続した行為が人格権侵害の不法行為を構成するとされた事案につき、慰謝料として100万円が認められた事例。
(裁判官が重視した事情)
原告が被告を結婚の対象として考えていたことは、交際期間中の原告と被告との間のメールのやり取りから明らかであり、被告においても、そのことは容易に認識することができたはずである。それにもかかわらず、被告は、平成二三年春以降、妻との関係を修復する一方、その間、原告から別れ話を持ち出されても、「大切な花子ちゃん」「愛しているよ」などとメールを送り、原告との性的関係を維持することを望み、被告が結婚を念頭において原告と交際していることを知りながら、既婚者であることを隠し、虚偽の事実を述べ、結婚を望む原告に対しても曖昧な態度をとり続け、原告との性的関係を続けたものである。
・・・本件不法行為による原告の慰謝料について検討するに、被告が原告と交際中に妻との関係を修復しながら、原告からの別れ話に対しては、あたかも原告との将来の生活を考えているかのようなメールを送って原告の心を引き止め、妻からのメールも妹からのメールであると虚偽の事実を告げるなどして、原告との関係を維持しようとするなど不誠実かつ身勝手な態度をとっていたことその他の本件に現れた一切の事情を考慮すると、本件不法行為により原告が受けた精神的損害を慰謝するための慰謝料としては、一〇〇万円が相当・・・
・その他
相手方配偶者から不貞慰謝料の請求がなされるリスクも想定しておく必要があると思います。まだ相手方配偶者が不貞の事実を知らない場合、相手方を訴えることにより、相手方配偶者が不貞の事実を知ってしまうおそれがあるためです。
以上、より詳しく事情をお伺いし、進めるべきと思います。
よろしくお願いいたします。