
お問い合わせありがとうございます。
まずご質問の点から回答いたしますと、別居前の生活費は、当然婚費になりますから、原則として、互いの収入に応じてその分担義務が生じます。もっとも、今回は相手の不貞行為により夫婦関係が破綻しつつあるという状況でしょうから、その有責配偶者である相手が、婚費の分担請求をすることが認められない可能性はあると思います。
ところで、問題の本質は、そこ数か月の婚費の負担を要するかどうかではなく、一度当事者間で取り決めたはずのことが蒸し返されているという事実だと思います。
協議離婚を前提に進めていらっしゃるとのことですが、結論としては、まったくお勧めできません。なぜなら、当事者間での取り決めの多くは口頭によっていたり、不完全な文書によっていたりするため、約束を反故にされることが頻繁にあり、守ってもらえなかった側が結局泣き寝入りせざるを得ないことになりがちだからです。
ちなみに、養育費を支払ってもらえない人が4分の3程度にも上るという厚労省の調査もあるようです。
特に相手の不貞が夫婦関係の破綻の原因であれば、当初は負い目に感じた相手が好条件を提示してくることは容易に想像できます。しかし、ほとぼりが冷めた頃には意見を翻して支払いを拒否するということもあるでしょう。例えば、相手が今後再婚をするかもしれません。そして、その再婚相手との間に子を授かることもあるでしょう。そうなった場合でも、気が変わったなどと言い逃れができないように、きっちり支払ってもらえるようにしておくことが肝要です。
離婚時に取り決める金銭条件の支払総額は、1千万円を超えることが多く、場合によっては2千万~3千万円になることもしばしばあります。協議離婚というのは、一見費用を安く抑えられるように思われがちですが、数千万円のお金を貸すときに口約束やペライチの借用書だけで貸すのと同じようなものです。しっかり返済されればよいですが、返済されなかったときには口約束等の存否から裁判で立証する必要性が生じます。そして、4人中3人が支払いを受けられないリスクを負っていると言われています。目的は、費用の節約ではなく、約束させた支払いを滞りなく受け取ることだと思います。
したがいまして、既に当事者間で取り決めた条件が蒸し返されているのであれば、その他に取り決めたものについても同様に蒸し返されるリスクがあるものと考え、しっかり離婚条件を細部まで詰め、いざ支払を受けられなくなったときにも、速やかに強制執行手続きをとれるように離婚条件やその証拠を調えておくべく、弁護士に離婚交渉を依頼されることをお勧めいたします。
弁護士への依頼をご検討いただいているようでしたら、リンクより当事務所まで個別にお問い合わせいただければ幸いです。
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